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放射線被曝と生命の進化(断章) 2014/04 [放射能汚染]

東電核災害で、放出された、放出されている放射性セシウムやストロンチウムなどの放射能。それらで食品や水、空気が汚染されます。そうした食品などを介して体に放射能が取り込まれます。それによる影響を考える基礎に地球での生命の誕生と進化に放射線被曝の関わりを顧みて検討してみます。 
 
自然界には、地球誕生の時に宇宙から凝集し以来地殻に存在するものや宇宙線により生成されたものなど、さまざまな放射性核種が存在し、これらの核種を含む物質は、自然起源の放射性物質「自然放射性物質」(NORMa : Naturally Occurring Radioactive Materials)と呼ばれています。
14-0501f2a.jpg原始の海の深い所で生命が誕生したのは約40億年から38億年前といわれています。グリ-ンランドで、38億年前の畳半畳ほどの小さな岩に幅30cmの黒い帯、生命が這い回った痕跡が発見されています。38億年前にはここは水深数百mの静かな海の底です。体長は1mmの百分の一位の現在のバクテリアのようなもので、水中を漂いながら、海中から炭素を含む栄養分を採って生きていたと考えらています。
 最も豊富にある自然起源の放射性核種はカリウム40ですが、半減期が約12.8億年ですから、現在の8倍ほどのカリウム40が有り、ベータ・β線やガンマ・γ線をだしていた。トリウム232は半減期141億年で約1.2倍。アルファ・α線を出すウラン235は半減期7億年ですから、現在の43~52倍位あった。ウラン238は半減期44.7億年だから、現在の約1.8倍ありました。これが崩壊で生成するウラン234、ラジウム226、ラドン222なども現在よりも多くあった。原始の生命に現在より多い、内部被曝や外部被曝させていたのでしょう。

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宇宙からの放射線

原始の海の深い所で生命が誕生した約40億年から38億年前の地球には、宇宙から放射線が飛び込んできます。大半は太陽からのものです。それはガンマ線などの電磁波と原子核が飛んでくる粒子線に大別されます。
電子レンジで使われる波長12センチのマイクロ波も、レントゲン撮影やCT検査のX線も、放射線のガンマ線(γ線)も放射線殺菌でつかう波長が10億分の1センチ以下のガンマ線も、私たちが目で捉える可視光線と同じ電磁波です。
 光のエネルギー、強弱は何で決まるのでしょうか。光は波の性質があります。海の波の強弱は波高、つまり振幅の大きさです。可視光領域の光を出す電球を用意し、光をどんどん強くして振幅を大きくして太陽光からの紫外線と同じくらいのエネルギーをもった光を人体に当てれば、日焼けが起こるはずです。しかし、そのようなことは現実には起こりません。
 これは光が実際は波長により異なるエネルギーを持っている粒子であり、それが幾つあるかでその光のエネルギーがきまると考えられています。このエネルギー量子を光子と言います。日焼け実験でわかるように、光子のエネルギーが物に与える影響の性質を基本的に決めます。光が強いと、影響を与える光子の数が多いので、影響を受ける数・量が増えます。
 光子のエネルギーは、周波数(振動数)に比例します。その比例定数をプランク定数といいます。光の速度は1秒間に約30万㎞(真空中)と決まっていますから、波長が短いほど周波数(振動数)が大きくなり光子のエネルギーは大きくなります。

 
光、私たちが目で捉えられる光は電磁波の中の波長が400nm(青)~800nm(赤)(ナノメータ、1メートルの10億分の1、周波数750から400THz・テラヘルツ)です。赤色よりも波長の長い赤外線~1mm(1メートルの千分の1)の暖める作用を電気コタツなど暖房器に使っていますが、これより波長の長い波長12cmの電磁波は、水分子をゆすって振動を強め、温度を上げ蒸発させます。
14-0430h46.png これを調理に応用したのが電子レンジ。波長12cm(周波数2.45GHz)の電磁波を照射して食品に含まれる水分の一部を蒸発・100度にして、その蒸気状態の水で食品全体を加熱する、内側から蒸すのです。この電磁波は、マイクロ波に分類されるので、物理学者は「電子レンジという名前が何とも紛らわしい。あれは本当は”マイクロ波調理器”と言うべきもの。」といいます。

 可視光線の波長が短い青・紫よりさらに短い電磁波の紫外線は、良くご存知のように日焼けや白内障、物質の分解を起します。これは、電磁波の波長が短いほど=周波数が大きいほど光子のエネルギーが高いためです。この性質を利用して、紫外線ランプによる殺菌装置が病院などで用いられています。市販の紫外線ランプは254nmの紫外線を86%放射します。この波長の紫外線の光子は、染色体・遺伝子のDNAに吸収されます。そのエネルギーはDNAを壊します。病原菌など微生物のDNAにこうした欠陥が十分に蓄積すれば、遺伝情報が毀損します。たとえが死滅しないとしても、微生物の増殖は抑えられます。ウイルスなら不活性化します。つまり、無害になるのです。
 それで、紫外線よりも波長の短い電磁波なら、よりエネルギーが高いので、より強力な殺菌作用があるのです。紫外線よりも短い電磁波、光はX線とガンマ線(γ線)です。X線は波長は約100~0.1Å(1オングストローム=1メートルの100億分の1)、ガンマ線(γ線)は約0.1Å以下です。市販の紫外線ランプの254nmの紫外線に比べ周波数は、X線が25~25000倍、ガンマ線はそれ以上です。光子のエネルギーは、周波数(振動数)に比例します。電子ボルトというエネルギーの単位では、ガンマ線の光子は1万電子ボルト以上です。例えば、セシウム137は、約95%の確率で約66万電子ボルトのガンマ線を出してバリウム137に崩壊します。原子や分子が結合しているエネルギーは、共有結合約4電子ボルト、イオン結合で1電子ボルト、生体に重要な水素結合で0,2電子ボルトです。殺菌装置の254nmの紫外線の光子は約4.9電子ボルトですから、DNAに吸収されるとDNAの結合を壊してしまいます。原子や分子が結合している化合物、無機であれ有機であれ、X線やγ線の光子がぶつかれば、その結合が壊れてしまいます。
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街灯が暗くなると自動的に点くようになっています。これは原子に光が当たると、光子のエネルギーを吸収した電子が原子から出てくる光電効果を利用した回路が使われています。この光電効果ででる電子が流れる方向を整える、整流するようにしたものが太陽電池です。原子ごとに電子が飛び出してくるのに必要なエネルギー量が違いますし、光も波長・周波数の大小で光子のエネルギー量が違います。ある原子には光電効果を起こす光・光子の波長・周波数の限界があります。
leafanim.gifその限界以下の光・光子からエネルギーを得た場合、その電子は原子から出ませんが前よりもエネルギーが大きい状態、原子核から遠方の軌道に移ります。これを励起と言います。植物の葉緑素は主に青い光(波長435 nm前後・ナノメータ、1メートルの10億分の1)と赤い光(波長680 nm前後)の光を吸収して励起状態の電子が生成します。その励起状態を移動してエネルギーを集めて、水H₂Oから水素を引きはがします。残った酸素は排出。引き剥がした水素を二酸化炭素に結合して炭水化物を作り光子の得たエネルギーを化学的形態で蓄えます。
γ線は波長が約0.1Å以下(オングストローム=1メートルの100億分の1)。周波数が光合成の光の約100倍以上ですから光子のエネルギーも100倍以上あります。葉緑素の励起移動などなくとも、水にγ線が当たると光子の持つエネルギーのほんの一部で、水分子は光電効果で電子が飛び出た電離状態や電子が励起した状態になります。千億分の一秒以内に分解します。その結果、電子を失った水素原子(陽子)、水素分子、水酸基・OH⁻、過酸化水素・H₂O₂などの活性酸素が生じます。
 この水の分解は、原子炉では冷却水の分解による活性酸素による機器の腐食や水素ガスの爆発の危険性という運転および保守上悪影響を及ぼします。生体の約80%は水です。ですから、生体にγ線が照射された時、タンパク質などに当たるより、水にγ線は当たる確率は高い。それで生成する活性酸素を介して間接的に影響を与える場合が多いと考えられます。
14-0430ah.gifガンマ線など放射線の照射の量は、照射によって物質に吸収されたエネルギー量で示されます。放射線によって1キログラムの物質に1ジュール(0.24カロリー)のエネルギーが吸収されたときの吸収線量を1グレイ(gray、記号:Gy)と表します。1ジュールは、光子のエネルギーでの電子ボルトでは624万×10の12乗(兆)電子ボルトです。生活で馴染み深い加温でいえば1kg・1リットルの水が0.00024℃上がるエネルギー量です。
 私たち人間など哺乳動物のガンマ線の致死線量は、5~10Gy・グレイ、細菌の胞子で10,000~50,000Gy、ウイルスで10,000~200,000Gyです。10Gyに相当するエネルギーをコタツで赤外線の光子で受けても、私たちは何の異変も起きない。しかし、X線やγ線で、その高エネルギーの光子で受けると死んでしまいます。コタツの赤外線の光子のエネルギーは0.9~1.7電子ボルトです。生体のタンパク質や水の化学的結合を壊すには不足で、それらの運動エネルギーつまり熱になってしまう。ガンマ線の光子は1万電子ボルト以上、例えば、セシウム137のガンマ線は約66万電子ボルトですから、吸収されるとタンパク質や水の化学的結合を壊してしまう。
 10Gyに相当するエネルギーは、コップ一杯・200㏄の水を0.012℃だけ温めるだけです。日常的にお湯を沸かすのに費やすエネルギー量に較べれば極々微量です。しかし、それが、私たちの体の化学的結合の部分にピンポイントに働き、結合を壊してしまいます。その結果、生体を構成するタンパク質などが壊れ変性して、機能を失って死に至るのです。
さて、宇宙から地球にやってくるγ線やX線の電磁波の放射線は、地表に到達しません。それを見るためには成層圏まで行かなくてはなりません。(参照・・http://www.cr.ynu.ac.jp/calet.html)地球を包む大気の窒素などにぶつかって、光電効果を起こして吸収されなくなってしまうためです。光電効果で電子を失い電離状態のイオンになった気体原子は、地上50kmから500kmあたりにあって、電離層を作っています。(参照・・http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2013/04/001316.html
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宇宙から渡来する放射線には、もう一つ、アルファ線と同じ原子核が飛んでくる粒子線があります。起源から銀河宇宙線、太陽粒子、銀河外からの宇宙放射線の3つに分けられますが、宇宙線被曝量の大半は太陽からのもの、太陽表面の大爆発の結果として太陽表面から放出される高エネルギー粒子に因ります。粒子の約90%は水14-0430supe.jpg素の原子核の陽子が飛んでいる陽子線で、約8%がヘリウムの原子核が飛んでくるアルファ線、重い鉄などの原子核が飛んでいる重粒子が約1%です。概ね約25km以下の高度から気体分子と衝突してしまいます。それで2次宇宙線が生成します。
一次宇宙線は窒素、酸素、アルゴン等の原子核にぶつかり、バラバラにします。原子核から、陽子が、中性子が、それらを結びつけている中間子が飛び出します。陽子や中性子が別の原子核にぶつかれば、それを壊します。岩場を段になって流れる滝、カスケードのようなので「核カスケード反応」といいます。
 中間子にはプラスとマイナスの電荷を持ったもの、電荷の無いもの、という三種類があります。電荷を持たないものは即2つの光子になり、その光子が電子を産む。その電子から光子が生まれ、そのプロセスを繰り返します。(電磁カスケード)
 電荷を持った中間子は1千万分の1秒程度でμ粒子(ミュー)にかわります。μ粒子(ミュー)は電子の約207倍の質量をもった電荷をもった粒子です。エネルギーが高い=速度が光速にちかいものは、生成してから6Kmほど飛びます。その間、通過する原子の電子に電気的な力を及ぼし、飛び出せたります。この振る舞いはベータ線と同じですが、質量が207倍ですからμ粒子の軌道はあまり変わらないで通過します。エネルギーが低い=速度が遅いものは、百万分の1秒ほどで崩壊して、電子などがでます。その電子で電磁カスケードが始まります。
14-0430u02.gifジェト旅客機が飛ぶ高度では、中性子線、陽子線と電磁カスケードの電子と光子(γ線)が被曝をもたらすます。地表には、主にμ粒子と電磁カスケードの電子と光子(γ線、X線)と中性子線が被曝をもたらします。世界平均では、μ粒子と電磁カスケードの電子と光子から平均実効線量率は0.28mSv/年、中性子線では0.1 mSv/年、宇宙線全体では0.39mSv/年程度とされています。この被曝量は、現在のカリウム40による内部被曝、0.19~0.17の約2倍です。(参照・・http://c-navi.jaea.go.jp/ja/background/everyday-exposures-to-ionising-radiations/natural-background/cosmic-rays.html http://www.nagoyaseikatsuclub.com/essay/syokuhinnzyouhou/191.html
地球に生命が生まれた40~38億年前は、現在の倍の宇宙線による被曝線量があったとみられます。水深数百mの静かな海の底で化石が見つかっています。宇宙線の中性子線は水に入ると急速にエネルギーを失います。高速な電子は、周囲の原子の影響を受けます。通り道の原子核があるとそのプラスの電荷に引き寄せられますし、電子があると斥力が働くからです。ですから、大気中に比べ密度が高い水中では飛程圏が百分の一程度に小さくなります。電磁カスケードの電子やμ粒子が飛びさせる電子の被曝は、水中の方が避けれます。μ粒子も光速に近いものは、できてから6kmも飛びますが、低ければ数キロです。μ粒子が生まれる空から距離をとればとるほど被曝は小さくなります。
 生命棲息の地が水深数百mの静かな海の底だったのは、宇宙線を水深で遮蔽できたからと考えられています。つまり当時の生物は、当時の浅い海での宇宙線や紫外線被曝には対処できないが、カリウム40などによる被曝でできる損傷を受けても、子孫を残す期間は生き延びられるように修復できる能力をもった者が繁栄したのです。放射線によるタンパク質やDNAなどの生体構造の化合物を直接破壊する直接的損傷と水H₂Oの放射線分解で生じる活性酸素などのラジカルによる間接損傷、DNAへの水素・Hや水酸基・OHの付加(化学修飾)を取り除き修復できる能力を持つ。それが少なくとも子孫を残す期間は生存を可能にする生物が棲息できたのです。
光合成細菌の繁殖と宇宙線被曝
 時がたつにつれて、カリウム40などの量は崩壊で減っていきます。30億年前ではカリウム40は現在の約8倍から約5倍に減り、ウラン235は現在の43~52倍から約20倍に、ウラン238は現在の約1.8倍から1.6倍に減っています。このような自然放射性物質(NORMa )の減少によって被曝量が減り、それで修復能力に余力が生まれます。修復能力で宇宙線など被曝にも対処できるようになります。
 宇宙線が多いが、注ぎ込む太陽光のエネルギーを利用できるより浅い所に進出します。現在の宇宙線被曝量から試算すると、地表、海抜ゼロ付近では0.7mSv/年位、現在のカリウム40の内部被曝の約3.9倍です。ただ、紫外線がそのまま入射します。オゾン層ができていませんので、危険なUV-Cが吸収されずに海面に届いています。
 紅色細菌(こうしょくさいきん)があらわれます。紅色細菌の光合成色素は、バクテリオクロロフィルといいます。この色素は、この色素は赤外線領域の波長もよく吸収しますが、紫外線の領域のUV-Aという波長域も吸収します。
 
 海水では太陽光のうち赤い波長は水深10mほどで100%減衰しますが、緑色や青色の波長が短い光は減衰が35%程度です。海水での光の吸収係数からUV-Cでも特に危険な250nmの紫外線が1%以下になるのは水深25㍍です。この水深では、赤外線は届きませんゼロです。緑色や青色の可視光線も約70%は吸収されます。UV-Aは約75%は届きます。ですから、30億年前の紅色細菌(こうしょくさいきん)はUV-A紫外線で光合成したと考えられます。(参照・・吸収係数はhttp://omlc.ogi.edu/spectra/water/abs/ の1988年のShifrinのデータを参照した。
 http://nationalgeographic.jp/nng/member/0505/f_1_ss2.shtml

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紅色細菌は嫌気性か通気性で酸素があると生存、増殖できませんから、水面付近は棲息できません。バクテリオクロロフィルでは水を酸化するだけの高いエネルギー、電位が得られず,硫化水素などを利用する。そのため、光合成を行っても酸素を発生しなかった。
 地球の冷却によって28億~27億5千万年前に、地球内部のコアに強い地電流が発し強い地磁気が発生するようになりました。地球が一個の巨大な磁石のようになり、バンアレン帯が形成され地球の外側の周囲に磁気圏が作られました。(参照・・ http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/qanda.html#12 )
14-0501f2b.jpg 宇宙線の粒子線は原子核ですからプラスの電荷を持っています。高速で飛んでくる電子はマイナスの電荷を持っています。運動する電荷は電流が流れているのと同じですから、磁場を作ります。この磁場と地球に出来た磁気圏の相互作用で、宇宙線の多くの部分、荷電粒子は地磁気線に沿って周回運動を繰り返しながら、一部はオーロラを出現させて、マイナスの電荷の電子は東方向に陽子などプラスの電荷をもつものは西方向に拡散し多くが到達しなくなりました。

 これで、大気に入ってくる粒子線が減ります。核カスケード反応が減ります。2次宇宙線被曝が減りました。現在の地磁気がつくる磁気圏の遮蔽効果は、世界平均で宇宙線被曝で0.31mSv/年と試算されています。この被曝量は現在の宇宙線被曝量の80%、現在のカリウム40による内部被曝の1.7倍です。(参照・・http://edu.jaxa.jp/seeds/pdf/2_radiation.pdf http://www.nagoyaseikatsuclub.com/essay/syokuhinnzyouhou/191.html
水深が浅くなるとUV-Cの被曝が増え、DNAが損傷します。DNAの損傷を修復する能力は、宇宙線被曝の減少で余力が生じています。浅く太陽光が燦々と降り注ぐ浅い海に生命が進出できます。浅い水深では、赤い波長も減衰が少ない。水深1メートルで赤い波長の減衰は約30%、青と緑の波長は約5%です。それで赤い波長と青い波長を吸収利用し、緑の波長は反射するつまり緑色に見える葉緑素で光合成を行うシアノバクテリアが繁殖します。

葉緑素の色素はバクテリオクロロフィルの一部が構造変化したのです。「バクテリオクロロフィルaの合成系を持った光合成細菌は、2,3の遺伝子を失うだけで、クロロフィルaの合成が可能である。クロロフィルaの出現には時間がかかったが、代謝系としては昔から完成していた」(田中 歩、http://sourui.org/pdf-files/04Tanaka.pdf )このような変異は、数億年の間に紅色細菌でいく度も起きていたと思います。この変異が生存に有利になる環境、浅く太陽光が燦々と降り注ぐ浅い水深に進出、生息できなかった。バンアレン帯が形成され宇宙線被曝の半減という環境変化が、進出を可能にしたのです。それでシアノバクテリアが繁殖したのです。
紫外線と酸素呼吸
 シアノバクテリアの光合成は、クロロフィルに依ります。このクロロフィルでは水から水素を引きはがすのに十分なエネルギーを光・光子から獲得できます。この地球上にはじめて水を分解して酸素が発生する光合成が広く、浅い海で行われるようになりました。
14-0501a01.jpg シアノバクテリアの細胞では、非光合成細胞と比較して、酸素濃度が一万倍程度にも高まったと見積もられています。酸素は化学的活性が強いので、タンパク質やDNAを損傷します。 放射線被曝による水の分解で、酸素やより化学的活性の高いラジカルな活性酸素が発生します。ですから、その損傷を修復する能力、システムはあります。しかし、一万倍程度にもなった酸素濃度には力不足だったのでしょう、酸素に耐える代謝系が整備されて行ったのだと思います。
 それには、光合成の前に出来ていた酸素呼吸の仕組みを取り入れる事でした。シアノバクテリア(酸素発生光合成)の光合成は2段階になっています。一段目と2段目を繋ぐ経路は、酸素呼吸での酵素が担っています。酸素呼吸は、真正細菌、古菌どちらの系統にもみられ、シアノバクテリア以前に出現したと推定されています。シアノバクテリアが出現する以前から地上には低濃度ではあるが酸素が存在していて、酸素を消費(除去)する代謝系が発達していたようです。分子の進化を調べると、酸素呼吸の電子伝達系の酵素(シトクロム酸化酵素)が非常に古く、その酵素が進化して光合成のタンパク質の一部になった。
 
のエネルギーを電子の励起で捕獲し、それを10から8ヶ
海水中の酸素濃度が高まります。
 酸素は化学的活性が強いので、呼吸でより多くのエネルギーを取り出せます。酸素呼吸では1~2%の酸素分子が活性酸素になります。活性酸素は、生物を傷つけます。活性酸素は放射線被曝で生成するので、それによる損傷、DNAへの水素・Hや水酸基・OHの付加(化学修飾)を取り除き修復する能力を持っています。生命誕生のころに比べ30億年前ではカリウム40は現在の約8倍から約5倍に減り、ウラン235は現在の43~52倍から約20倍に、ウラン238は現在の約1.8倍から1.6倍に減っています。自然放射性物質(NORMa )の減少によって被曝量が減り、それで修復能力にの: Naturally Occurring Radioactive Materials)と呼ばれています。この余力が生まれた環境に海水中に酸素が豊富に含まれ、酸素呼吸が盛んにすれば、後者の活性酸素損傷の経路が昂進することです。
 環境が酸素豊富に変って、3つの適応パターンになっています。一つは酸素があると死滅する嫌気性、一つは酸素がなければ生存できない好気性、その中間の酸素が有っても無くてもOKの条件的嫌気性。好気性はカタラーゼなどなどの活性酸素を無毒化する酵素を持つように進化した生物です。それでも、活性酸素は無害化しきれない。磁気圏の形成で放射線被曝での損傷を修復する能力に余力が生まれたましたが、新たな負荷、酸素呼吸で発生する活性酸素がかかり活用されている。
 海中から大気中に出た酸素が現在の十分の一、約2%になると高空にオゾン層ができはじめます。約4億~4億5千万年前にオゾン層で太陽光の紫外線、特にDNAを損傷するUVC(波長280~100ナノメートル)が完全に、UV-B(315~280ナノメートル)は一部、遮断されるようになります。そして生物が上陸します。
上陸によって放射線被曝はどう変化したでしょうか?外部被曝は増えたのではないかと思います。カリウム40のβ線は、水中にでは約1センチほどしか飛びません。γ線も約1mです。陸上ではβ線は大気中を約10mほど飛びます。γ線は約100mです。水中では、半径1mの球形の内部にあるカリウム40などの出す放射線で外部被曝します。上陸すると、半径約100mの大地から出るγ線と10m以内のβ線を浴びることになる。宇宙線も水中にいれば、水で遮蔽・減衰します。
 この約4億年前時点でカリウム40などは随分減っています。カリウム40は生命誕生時に現在の8倍ありましたが1.25倍に減り、ウラン235は現在の43~52倍位が1.5倍位に、ウラン238は現在の約1.8倍から1.06倍に減っています。これらによる内部被曝は、この減少で減っています。しかし、ラドン222の呼吸による内部被曝は増えたと思います。
 2007年に海洋地球研究船「みらい」の観測航海で水深4.5mの海水ラドン濃度が測られています。1.5~0.5Bq/?で「風速が弱いと1.5Bq/m3 と大きく、表層海水中ラジウム濃度1.6 Bq/m3とほぼ等しい。」「風が強くなると海洋表層の混合層が発達して、海水中ラドンが大気に散逸するため」のラドン欠損現象・低下が見られました。新潟県放射線環境センターの柏崎刈羽地域での調査では、ラドン濃度は夏から秋に高く冬低い季節変動を示し、月平均値で 4~8 Bq/?の範囲です。つまり、陸上の大気中の方が、海水中よりもラドン222濃度が大きい。それで、ラドンを呼吸で取り込む量が上陸によって増えたから、それによる内部被曝も増えたと思います。
そしてX線とガンマ線(γ線)は、放射線です。紫外線は影になった部分は殺菌できませんが、ともに、物への浸透性が高いので容器に入れたままで内部の食品などの殺菌ができます。食品では、もっとも多く使用されているのが、放射能のコバルト60から発生するγ線です。

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 ガンマ線が、食品に照射されると電離作用で、食品中の物質が変化、壊されます。それが微生物のDNAならDNAを傷つけられて微生物が死滅するわけです。人間に照射しても同様です。放射線の照射量は、照射によって物質に吸収されたエネルギー量で示されます。放射線によって1キログラムの物質に1ジュールの放射エネルギーが吸収されたときの吸収線量を1グレイ(gray、記号:Gy)と表します。10kGy(キログレイ、千グレイ)は、1kgの食品(1リットルの水)の温度を2.4℃上昇させるエネルギー量です。

 私たち人間など哺乳動物のガンマ線の致死線量は、5~10Gy、細菌の胞子で10,000~50,000Gy、ウイルスで10,000~200,000Gyです。なんと私たちの脆いことか!赤外線で10Gyの相当する熱エネルギー、1リットルの水の温度を0.0024℃上昇させるエネルギーを赤外線であびても私たちは何も感じないでしょうが、ガンマ線なら死んでしまいます。
マイクロ波は電子レンジのように物を暖めます。解凍や加熱調理に使っています。100万倍も強い、大きいエネルギーをもったガンマ線の光子がぶつかるのですから、食品の成分物質や細菌などは“温められる”ではなく“壊され”ます。
 
引用=マイクロシンメトリーという微視的な線量吸収を計測する分野での研究によると、たとえばエックス線やガンマ線などでの1mGyは、直径8μmの細胞核に平均して1本の飛跡が通る量になります。飛跡が1本通った時、細胞内に引き起こされる障害は、・・(中略)・・一般に使われる診断用エックス線1本の飛跡のエネルギーは、体を構成する物質の結合エネルギーの1万5000倍から2万倍もありますから、1本飛跡が通ると複雑な電離を起こし、DNAの損傷を起こします。=崎山比早子(科学、岩波書店、2009年6月)


 我々の自然状態では宇宙線、宇宙から来る放射線で被曝しています。月地表面で100~500mSv/年、火星で70~300mSv/年で、宇宙空間で1日当たり1mSv位です。月の表面で1年間に受ける宇宙線(放射線)の量は、地球地上で浴びる宇宙線の300?1400倍です。宇宙空間や太陽から降ってくる、高いエネルギーを持ったX線、ガンマ線や電子や粒子です。粒子の約90%は水素の原子核の陽子が飛んでいる陽子線で約8%がヘリウムの原子核が飛んでくるアルファ線、重い鉄などの原子核が飛んでいる重粒子が約1%です。また、放射線に分類されませんが紫外線の被曝も多い。
 この宇宙線が、地球に侵入すると大気の様々な気体分子と衝突します。そして、新たな放射能・炭素14などができたり、γ線やβ線が多数生成(2次宇宙線)します。この2次宇宙線のγ線やβ線を被曝します。陽子線の生体に与える影響(線質係数)はγ線やβ線の5倍、アルファ線は、生体に与える影響(線質係数)がγ線やβ線の20倍。高地、高空では大気層が薄くなりますから、陽子線など生体に与える影響大きい宇宙線が多くなり、概ね宇宙放射線の線量強度が1,500m刻みで2倍になります。約25km以上の高度から気体分子と衝突もおきなくなり2次宇宙線がなくなります。
 宇宙線は水深1000m相当の深さでも検出されるものもあり、紫外線の一部は1000m付近まで届きます。つまり、太陽の光が余り届かない深い水域が宇宙線や紫外線被曝では安全です。生命誕生の舞台が水深数百mの静かな海の底だったのは、宇宙線を水深で遮蔽できたからと考えられています。つまり、当時の浅い海での宇宙線や紫外線被曝には対処できないが、カリウム40などによる被曝でできる損傷を、子孫を残せる期間は生き延びられるように修復できる能力をもった者が繁栄したのです。
 時がたつにつれて、カリウム40などの量は崩壊で減っていきます。30億年前ではカリウム40は現在の約8倍から約5倍に減り、ウラン235は現在の43~52倍から約20倍に、ウラン238は現在の約1.8倍から1.6倍に減っています。余力が生まれた修復能力で宇宙線など被曝にも対処できるようになり、宇宙線が多いが注ぎ込む太陽光のエネルギーを利用できるより浅い所に進出します。太陽光のうち赤い波長は水深10mほどで100%減衰しますが、緑色や青色の波長のは減衰が35%程度が緑色や青色の波長の光を吸収利用する紅色細菌があらわれます。
 地球の冷却によって28億~27億5千万年前に、地球内部のコアに強い地電流が発し強い地磁気が発生するようになりました。地球が一個の巨大な磁石のようになり地球の外側の周囲に磁気圏が作られました。宇宙線の粒子線は原子核ですからプラスの電荷を持っています。高速で飛んでくる電子はマイナスの電荷を持っています。運動する電荷は電流が流れているのと同じですから、磁場を作ります。この磁場と地球に出来た磁気圏の相互作用で、宇宙線の多くの部分、荷電粒子は地磁気線に沿って周回運動を繰り返しながら、一部はオーロラを出現させて、マイナスの電荷の電子は東方向に陽子などプラスの電荷をもつものは西方向に拡散し多くが到達しなくなりました。

 宇宙線被曝が減りました。現在の地磁気がゼロになり磁気圏がなくなると、世界平均で宇宙線被曝が倍増すると試算されています。現在の海上では、1年で0.26mSv程度です。浅く太陽光が燦々と降り注ぐ浅い海に生命が進出できます。浅い水深では、赤い波長も減衰が少ない。水深1メートルで赤い波長の減衰は約30%、青と緑の波長は約5%です。それで赤い波長と青い波長を吸収利用し、緑の波長は反射するつまり緑色に見える葉緑素で光合成を行うジアゾバクテリアが繁殖します。
 光合成は酸素を作り出し、海水中の酸素濃度が高まります。酸素は化学的活性が強いので、呼吸でより多くのエネルギーを取り出せます。しかし、活性酸素といわれる形態は、生物を傷つけます。酸素呼吸では1~2%の酸素分子が活性酸素になります。放射線は生物のDNAなどを直接切断する損傷と水を分解し水素と活性酸素を作り出し、その活性酸素が傷つけるという二つの経路で生物を傷つけます。環境に海水中に酸素が豊富に含まれ、酸素呼吸が盛んにすれば、後者の活性酸素損傷の経路が昂進することです。
 環境が酸素豊富に変って、3つの適応パターンになっています。一つは酸素があると死滅する嫌気性、一つは酸素がなければ生存できない好気性、その中間の酸素が有っても無くてもOKの条件的嫌気性。好気性はカタラーゼなどなどの活性酸素を無毒化する酵素を持つように進化した生物です。それでも、活性酸素は無害化しきれない。磁気圏の形成で放射線被曝での損傷を修復する能力に余力が生まれたましたが、新たな負荷、酸素呼吸で発生する活性酸素がかかり活用されている。
 海中から大気中に出た酸素が現在の十分の一、約2%になると高空にオゾン層ができはじめます。約4億~4億5千万年前にオゾン層で太陽光の紫外線、特にDNAを損傷するUVC(波長280~100ナノメートル)が完全に、UV-B(315~280ナノメートル)は一部、遮断されるようになります。そして生物が上陸します。
上陸によって放射線被曝はどう変化したでしょうか?外部被曝は増えたのではないかと思います。カリウム40のβ線は、水中にでは約1センチほどしか飛びません。γ線も約1mです。陸上ではβ線は大気中を約10mほど飛びます。γ線は約100mです。水中では、半径1mの球形の内部にあるカリウム40などの出す放射線で外部被曝します。上陸すると、半径約100mの大地から出るγ線と10m以内のβ線を浴びることになる。宇宙線も水中にいれば、水で遮蔽・減衰します。
 この約4億年前時点でカリウム40などは随分減っています。カリウム40は生命誕生時に現在の8倍ありましたが1.25倍に減り、ウラン235は現在の43~52倍位が1.5倍位に、ウラン238は現在の約1.8倍から1.06倍に減っています。これらによる内部被曝は、この減少で減っています。しかし、ラドン222の呼吸による内部被曝は増えたと思います。
 2007年に海洋地球研究船「みらい」の観測航海で水深4.5mの海水ラドン濃度が測られています。1.5~0.5Bq/?で「風速が弱いと1.5Bq/m3 と大きく、表層海水中ラジウム濃度1.6 Bq/m3とほぼ等しい。」「風が強くなると海洋表層の混合層が発達して、海水中ラドンが大気に散逸するため」のラドン欠損現象・低下が見られました。新潟県放射線環境センターの柏崎刈羽地域での調査では、ラドン濃度は夏から秋に高く冬低い季節変動を示し、月平均値で 4~8 Bq/?の範囲です。つまり、陸上の大気中の方が、海水中よりもラドン222濃度が大きい。それで、ラドンを呼吸で取り込む量が上陸によって増えたから、それによる内部被曝も増えたと思います。


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