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牛レバーを放射線照射してレバ刺しに? ①食品業者として [放射能汚染]

牛レバーが刺身・生食による食中毒問題を契機に、生での提供が禁止されました。この牛レバーを放射線照射で殺菌処理して、レバ刺しを復活。そのための研究を厚労省が国立医薬品食品衛生研究所などが行っています。現在、日本ではジャガイモで食品照射が行われています。
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食品の放射能汚染とは違いますが、食品照射は食品≒生物への放射線の影響を調べる糸口になります。放射能汚染の主要な汚染源であるセシウム137は、放射線照射・食品照射の放射線源でもあります。
 ジャガイモ発芽が放射線照射で止まることを発見して1950年代に始まった食品照射の研究では、使用済み核燃料を線源に使おうとしました。一石二鳥を狙ったのです。しかし一体一体毎に出る放射線の種類や量が違うため使い難いので、やめられました。セシウム137も粉末状で水に溶け易いなどなどから、国内では血液照射装置線源に使われています。この照射は輸血後移植片対宿主病・PT-GVHDの予防のためです。コバルト60が線源に使われる放射能です。放出する1.33及び1.17 Mevのガンマ線を照射に使われています。容器に密閉されているので、取り扱いが適正なら放射能汚染は無視できます。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=08-02-02-12
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/housya/siryo/housya05/553.htm
照射線源には、エネルギーレベルが5 Mev 以下のエックス線、装置で加速されてエネルギーレベルが10Mev以下の電子線(実質的にベータ線)が許可されています。
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殺菌だから生き残った菌が管理が悪ければ、増殖する
殺菌、害虫の防除、発芽防止などの照射効果は、生鮮野菜果実の場合は 照射障害の現れやすいので1kGy(≒kSv) 以下の吸収線量、肉・香辛料の殺菌目的の場合には 10kGy 以下、保存食などは 50kGy 以下とされています。そのように食品を放射線で処理すると、その時々で温度上昇(1kg の食品を室温で、1kGy 照射するとおよそ 0.24℃上昇するといわれている)、色調の変化(主に退色)、照射臭(炭化水素類の臭いなど)が見られます。 
 放射線殺菌では全ての微生物を殺滅し無菌状態を作り出す滅菌と違い、殺菌はある程度の数の菌が生き残ります。生存菌数/初発菌数が1/10、10分の一が生き残ることをD10値といい、例えば加熱なら腸管出血性大腸菌O-157は脂肪 2%の牛ひき肉で57.2℃で 4.1 分、62.8℃で 0.3 分、脂肪 30.5%なら57.2℃、62.8℃で 0.5 分です。この条件で、90%致死して10%が生き残ります。
 O-157は7-8度以上なら増殖します。殺菌処理後の保管条件、温度や保管時間によって生き残りが増殖してしまいます。これはすべての殺菌法でO-157に限りらずおこりますが、放射線照射は既にパッケージされている食肉に照射しますから、間違った安心を起こしやすい。
 照射後の牛レバーの輸送や保管管理が、悪ければ菌数は照射前にもどったり、かえって増えてしまいます。冷蔵で保管する食品では放射線照射が安心感を生んで、誤った保管管理になって、食中毒を増やしてしまう懸念を食べ物を扱っている身では持ちます。厚生労働省の市販流通食品・食中毒菌汚染実態調査では、牛肉、特に生食用牛レバーのO-157の汚染度は約2%です。残りは汚染されていないのだから、放射線照射で殺菌する必要はありません。大半の90%以上に不要な照射をおこなって、レバーは変質しないでしょうか?

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 誰もが照射食品を摂取している米国でも、子供には食べさせたくない
 米国は、放射線照射・照射食品を1953年から研究を始めた家元です。米国は63年の小麦粉を皮切りに64年にジャガイモ、86年には果実、野菜、ハーブおよび香辛料、豚肉、92年には鳥(家きん)、2000年 2月には食肉全般に対し放射線照射が認めています。放射線照射を行った食品には、ラベルに「Treated with radiationまたはTreated by irradiation(放射線照射処理済み)」との表示義務があります。(上の画像)また、米航空宇宙局では70年代から宇宙食(食肉)への放射線照射を認めています。グアバやマンゴーなどの輸入食品では、13000トンほどが中の害虫を殺すための放射線照射をうけています。スパイスの3分の一は照射殺菌されています。料理にスパイスは欠かせませんから、誰もが照射食品を摂取している国です。
 アメリカでは、ハンバーグなどに使われる牛ひき肉のO-157汚染、それによる食中毒が問題になり、放射線照射で殺菌した牛ひき肉を、大量流通させようとしました。2003年から学校給食、毎日約2600万食以上を児童・生徒に提供している全米学校給食プログラムで、各学校の判断で照射された牛ひき肉の使用を認めました。しかし放射線照射される牛ひき肉は、年間に6800トンから8160トンと取るに足らない量に止まっています。学校で採用するには、保護者の賛同・承認が必要ですから、ほとんどの学校で得られていないのです。誰もが照射食材を口にしていても、選べるなら親は学校給食で放射線照射で殺菌した牛ひき肉を子供には食べさせたくないのです。
食品を放射線で処理すると発生する色調の変化(主に退色)、照射臭は放射線で食品≒生物の成分の変質を意味します。被曝で起こるDNAや酵素タンパクの損傷と原理的基本的には同じです。それが、食味だけでなく安全性にも影響しているのでしょうか。欧州EU は照射食品の表示を義務つけるだけでなく、照査食品の検知法の開発を行い、それで違法照射食品の摘発、照射食品の表示の確からしさを担保しています。 つづく
東京新聞
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タグ:放射能汚染
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