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γ線より波長がはるかに長い=低エネルギーの可視光の青色の光を当てると昆虫が死ぬ 放射線被曝と生命の進化(断章) 2014/12 [放射能汚染]

放射線のγ線は波長の極短い、光です。γ線ほど短くない紫外線は有害。可視光線は無害だと考えれています。しかし「可視光の青色の光を当てると昆虫が死ぬことを発見した。新たな害虫防除技術の開発が期待できる。」このように東北大学が2014年12月10日に広報しました。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/12/press20141209-02.html
それによると紫外線の中でも波長が短いUVCやUVBは生物に対して強い毒性をもつことが知られています。しかし、比較的複雑な動物に対しては、紫外線の中でも長波長の紫外線(UVA)でも致死させるほどの強い毒性は知られていません。ヒトなど哺乳動物の網膜に短波長可視光(青色光、400〜500nm)による損傷、加齢黄斑症など傷害は研究解明されているが、致死させるほどの強い毒性は知られていません。
 それで、紫外線よりも波長の長い可視光が昆虫のような動物に対して致死効果があるとは考えられていませんでした。東北大学大学院農学研究科の堀雅敏准教授のグループの研究で、ある種の昆虫では、紫外線よりも青色光のほうが強い殺虫効果が得られること、また、昆虫の種により効果的な光の波長が異なることも明らかになりました。

●ショウジョウバエで440nmと467nmの波長が高い効果を示し、467nmの光は卵、幼虫、蛹さなぎ、成虫に対しても殺虫効果を顕し、たとえばさなぎは羽化できずに死亡した。(光の強さは直射日光に含まれる青色光の 3 分の 1 程度)
●蚊(チカイエカ)の蛹、卵では効果の高い波長は 417nm の 1 つだけで、また、直射日光に含まれる青色光の 1.5 倍程度の光の強さを必要とした。
●小麦粉などの大害虫であるヒラタコクヌストモドキの蛹は直射日光の 5 分の 1 から 4 分の 1 程度の光の強さで、全ての蛹が死亡しました。
東北大学は「本研究成果は青色光を当てるだけで殺虫できる新たな技術の開発につながるだけでなく、可視光の生体への影響を明らかにする上でも役立つと考えられます。」としています。
この研究は農林水産省委託研究プロジェクト「生物の光応答メカニズムの解明と省エネルギー、コスト削減技術の開発」および日本学術振興会科学研究費補助金によって賄われました。
研究グループの一般向け発表
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press_20141209_02web.pdf
2014 年12月9日付、英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された英語論文
http://www.nature.com/srep/2014/141209/srep07383/full/srep07383.html
堀雅敏准教授のグループが考える殺虫メカニズム
昆虫の種により有効波長が異なることから、その殺虫効果はヒトの目に対する傷害メカニズムに似ていると推測しています。すなわち、種によって吸収しやすい光の波長が異なり、これによって、種により異なる波長の光が昆虫の内部組織に吸収され、UVA間接損害脂質、タンパク質、およびDNA反応性酸素種(ROS)、活性酸素、フリーラジカルが生じ、細胞や組織が傷害を受け死亡すると推測していいます。
 γ線の被曝でも、DNA反応性酸素種(ROS)、活性酸素、フリーラジカルが生じ、それでDNAが損傷する。我々の細胞核内のDNAが損傷すると健康への直接的影響が顕れる場合がある。核外のミトコンドリアのDNA損傷では、エネルギー生産というミトコンドリアの機能が損なわれ、細胞のエネルギー不足、活力低下や早期老化現象が起きると言われる。γ線がコンプトン散乱でエネルギーを失い波長が長くなり、内部組織に吸収されやすい波長、UVAやUVBになると同様のことが起きるのではないか。
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ショウジョウバエでは、緑色(508nm、532nm)や赤色(657nm)では生存率が高くなっているけど。
結果をよくみると光を全く当てない暗黒状態での死亡率に較べると、青色では高率ですが緑、赤色波長では逆に半分以下に下がっている。研究グループは「哺乳動物では、UV暴露の低用量(照射量)は、エネルギーの改善、気分の高揚、及びビタミンDの産生を含む、健康上の利点を提供する。これは、青色光の低用量でも昆虫に有益な効果を有し得ることが可能である。」としてるが、緑、赤色波長で生存率が高くなるメカニズムも解明してほしい。
ao-01.jpg



タグ:光化学
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