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沖縄での有機塩素化合物・PCPによる地下水汚染=上 [農薬ー害]

沖縄での有機塩素化合物・PCPによる地下水汚染


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 遙か以前の沖縄が日本に復帰する前年の1971年5月21日、南部地区東部上水道組合が水源としていた3つの湧水が同時に汚染され、水道水から異臭がしました。こ の水道は沖縄本島南部の4村約2万人に給水されていたものです。水源の水を分析したところ6ppmという高濃度の除草剤PCP(ペンタクロロフェノール) が検出され、この水に金魚を入れると30~45分ですべて死んでしまいました。

 この原因は、米軍払い下げ物資を扱う業者が、具志頭村内の採石場跡のバガス(サトウキビの絞りかす)捨て場にPCPを不法に投棄したためと分かりまし た。この業者はPCPを防腐・防虫剤として転売するために米軍から大量に買い取ったのですが、思ったようには売れず、屋外に放置しているうちに容器も腐食 し、処置に困ってドラム缶5千本分ものPCPを、バガスが捨てられた穴にこっそり投棄したのでした。掘削されほとんどむき出しになっていたサンゴ石灰岩の 地層に注がれた有害物質は、沖縄本島南部の豊富な地下水を蓄える地下水脈に入って広範囲に広がり、最も遠いものでは2kmも離れた水源まで汚染してしまっ たのです。この業者は、目に見えないところでまさかこんな深刻な事態が起ころうとは思いもよらなかったのでしよう。

 現地4村では翌朝から水道の供給が全面的にストップされました。民家の井戸も汚染されて使えません。汚染発覚直後には、生活になくてはならない水が全く 使えないという状態になりました。人々は、1戸当り20Lというわずかな水の配給を受けるため、給水車が来るのを道端にしゃがみ込んで長い間待ったそうで す。こうした中、汚染が分かっていながら、井戸や湧水の水を洗濯などにはやむなく使う人もいました。沖縄本島中北部から水をひく水道公社からの配管が急遽 つながれるまでのおよそ20日間、水道が全く使えない生活が続きました。
 さらに、PCPが染み込んだ300トンものバガスを除去するのもたいへんな作業で、米軍の火炎放射器を借りて現場で燃やしてしまえというとんでもない案 まで真面目に検討されました。当時の新聞を見ると、風邪をひいた時に使うような白いマスクにゴム手袋をつけただけのたくさんの作業員が、汚染されたバガス をビニール袋に詰めている写真が載っています。この作業の現場では、「シンナーのような刺激性の強いにおいがぷんぷん」し、「フラフラ目まいがするので1 時間ことに交替」して作業したと書かれ、今の感覚からすればとても危険な作業だったようです。報じられる範囲では住民や作業員の健康被害は起こらなかった。
 続く

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