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沖縄での有機塩素化合物・PCPによる地下水汚染=中の壱(POPs条約) [農薬ー害]

沖縄での有機塩素化合物・PCPによる地下水汚染=中の壱

この1971年の事件から30年近く経つ2009年には,1月に沖縄本島南部の糸満市域で採石場46か所(採石自体が不法なもの24か所を含む)のうち、8か所で廃棄物の不法投棄が見つかっている。そのうち1か所については約2,000トンもの産業廃棄物を深夜に不法投棄されていた。お金になる石灰岩を地下からどんどん掘り取り、できた巨大な穴には今度はゴミを詰め込んで、後は埋めでしまえば誰にも見つからないというわけです。地表に降った雨水が地下にどんどん浸透し、サンゴ石灰岩の地層に注がれた有害物質を、溶かし込んで地下水脈に入って広範囲に広がっている


「残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)」・POPs

商業的に生産されている化学物質は6万から7万といわれ、毎年、1000を超える化学物質が新たに市場に出ていると言われている。


化合物としての安定性が高く環境中で難分解性で㋐長く環境中に残留㋑空気中に蒸発し拡散した場合、大気循環で極地方に移動し、冷たい空気によって冷やされて凝縮、地上に降下する。化学物質がバッタが飛び跳ねるように長距離を移動することから「バッタ効果」と呼ぶ。例えば、赤道地方で環境中に放出された農薬がバッタ効果により日本(中緯度)や極地方に拡散していく。低水溶性で脂肪に溶けやすい高脂溶性であるため、生物の脂肪組織に濃縮されやすい。女性で溜まりやすく、母乳を介した次世代への影響が懸念される。殺菌・殺虫作用といった有用性≒生物への有毒性といった環境汚染、哺乳類=家畜・人間での汚染につながっている。


こうした性格の化学物質の地球環境・人体汚染の防止には、一部の国々の取組のみでは不十分であり、国際的に協調して廃絶、削減等を行う必要がある。このためこうした化学物質を「残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)」・POPsと名付け、排出の廃絶・低減等を図る国際条約が策定され、2001平成13年5月にストックホルムで開催された外交会議において「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が採択されている。その後締約国数が50に達し2004年5月17日に条約が発効した。


日本国内では「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画」を定め(2003年、2012年、)、法規制は、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)、農薬取締法、薬事法(医薬品医療機器等法、薬機法とも呼ばれる;医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、及び外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づき、所要の措置が執られている。

 2007平成19年のPOPs条約第3回締約国会議(COP3)で、最初のPOPs・12物質が決められている。その後は残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)で専門家検討を経て、締約国会議COPにおいて新たにPOPsに指定された物質が随時追加されている。製造・使用、輸出入の原則禁止する廃絶リストの附属書A、制限するリストの附属書B、排出の削減及び廃絶をする非意図的生成物の附属書Cに追加する。
2019年5月現在
附属書A (廃絶)28
附属書B (制限)3
附属書C (非意図的生成物)7
その多数を有機塩素化合物が占める。最初のPOPs・12物質は、全て有機塩素化合物だし、素後も多く追加されている。
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除草剤PCP(ペンタクロロフェノール)は有機塩素化合物であり、2015年5月開催のCOP7(POPs条約第7回締約国会議)で、附属書A(廃絶)及び附属書C(非意図的放出の削減)に追加された。日本では、2016年4月1日、化審法に基づく第一種特定学物質(製造又は輸入は原則禁止、手持ち分は使用を研究目的に制限など)として指定された。具志頭村内の採石場跡のサトウキビの絞りかす(バガス)捨て場に、廃棄されたドラム缶5千本分ものPCP。そのPCPが染み込んだ,300トンの除去されたバガスは、今どこに在るのだろうか。
  続く

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