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手前味噌 [手作り食品]

味噌づくりは、家庭の味の復権だけでなく、もの作りの楽しさにあふれています。そして私達の味覚を鍛え、さまざまなことに気づかせてくれます。

材料 (出来上がりで味噌約9kg分です)  
大豆 2kg ゆで上がりで、約4.5kg よく煮るとおおよそ2.3倍になります。
こうじ 3kg 辛口みそは塩分ではなく、こうじの量で加減。約2kgで辛口味噌
塩 1kg 味噌の塩加減 原料総量の12~13%
大豆の煮汁 少々(種水) (ゆで上がりの大豆kg+こうじkg)×%=塩kg


味噌の配合の目安  

大豆1kgに対し 麹 0.8kg 麹 0.9kg 麹 1kg 麹 1.25kg 麹 1.5kg 麹 2kg
塩 400g     中辛 やや中辛    
塩 440g   やや辛口        
塩 450kg 辛口       やや甘口 甘口
黒大豆(黒豆)・・黒豆はより大豆の旨いが豊富です。作り方は同じです。黒色は皮の部分ですので、嫌な方は黒大豆をフライパンで弱火で煎り、皮にひびを入れて、剥ぎ取ってからお使いください。
白みそ(西京味噌) 大豆1kgに対し、麹3kg、塩350gが目安です。 

 

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味噌を作るための道具 かめ(常滑焼さのかめが最適)、ざる、鍋(あれば圧力鍋) すり鉢、すりこぎ(または、豆をつぷす道具一布袋とビール瓶、餅つき機、スピードカッター等)
無添加のラップ(竹の皮、和紙など) 重石(塩で蓋をするやり方もある) 新聞紙、紐など
Q,味噌を仕込む容器は何でもよい?
A.選ぶポイントは、塩分に強く、味噌をすき間なく詰められ、重しなどの出し入れが簡単なことです。

 

   作 り 方
1. 大豆は良<水洗いをして、3倍量の水に浸して一晩おきます。 (大豆が2-3倍にふ<れますので大きな鍋に入れてください)
2. 十分水を吸った大豆を煮ます。
 最初は強火で、煮立ったら弱火にし4-5時間煮ます。(煮汁は、いつも豆がかぶる位しておき、煮上がった豆は指で軽<押さえてつぶれれる<らいの柔らかさにします。)圧力鍋の場合は15~20分煮て、10分間蒸らします。
3. 豆を煮ている間に、かめ、押し蓋など、みそ作りに使う全ての道具を熱湯で消毒しておさます。こうじをよ<ほぐし、塩180gとよく混ぜ合わせます(こうじの塩切り)。
4. 煮えた大豆を布袋かざるに揚げて汁と分け、大豆が熱いうちに良くつぶします。
 例えば、厚目のビニール袋に入れて、上から空き瓶などで叩いてつぶします。
5. つぶした豆が温かいうちに塩切りこうじと良<混ぜ合わせ、大豆の煮汁(種水)を加え耳たぶくらいの柔らかさにします。
6. おにぎりほどに味噌を丸め、味噌玉を作ります。その際、なかの空気を抜くように丸めます。その味噌玉を、かめの底に打ち付けるように味噌をつめていき、空気が入らないようにします(味噌玉の問に空気が残りますとカピの原因になります。下に裏技)。上から押し付け空気をしっかり抜いてください。
味噌玉を入れ終わったら表面を平らにして、残しておいた塩を表面にまぶし、無添加のラップ(竹の皮、和紙など)をかぶせます。重石代わりに塩蓋をする場合はやや長めにおきます。
7. 押し蓋をおき、重石をのせます。重石は全材料と同重量のものを使います(重石はたまりを上にあげ、カピを防ぐためにも大事です)。塩蓋なら約2センチくらいの厚さにします。
最後にかめのロに紙で蓋をして仕込み年月日を書いておきます。大豆や糀、塩の量も書いておくと来年の参考になります。
8 保存は風通しが良く、直射日光が当たらず、湿度変化の少ないところで行ってください(外気の抜ける床下、北側のベランダなどが適しています)。
9. 仕込んだ年の海雨が明ける頃が切り返しの時期です。切り返しは、みそ全体を再度混ぜ直すことで、こうじ菌を元気にし、水分塩分を均-にする為に行います。この時、みその表面やかめの内側にカピがついていたらキレイにふき取ってください。
全体をかき混ぜ、均等にして、中の空気が抜けるようにしっかり押えて詰め直して、7のように再び蓋をして下さい。
Q.味噌を仕込んだ後は、どうしたら良いの?  A.全く手入れをしなくても、味噌はできます。が、味噌は生きもの。
仕込んでから1ヵ月と夏の前後の計3回程は、味噌の様子を見てください。
ポイント(1)たまり状の水が上がっていないか。水が押しブタの上まで上がっていたら、重石を半分にして味噌全体をよく混ぜます。
切り返し(上下を混ぜる)をして、混ぜた方が塩味の慣れがよく、熟成も早まります。また空気中の酵母を取り込むと味が良くなりますので、可能ならいったん平たい容器に薄く広げて良く空気に触れさせるようにしてから、カメなどに仕込むようにします。
ポイント(2)カビが出ていないか。表面にカビが発生した時は、その部分だけ取り除き、塩を少量ふり込み密閉しておきます。
ポイント(3)ひと夏越し、半年くらい経つとそろそろ食べられます。この一年もののみそは、あっさりしたうま昧と甘みが特徴。月日が経つにつれて色が濃くなり、うま味もでてきます。お好みの味に、熟成加減になったところで、密閉容器に移し替えて冷蔵庫に保管してください。
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でもこの方法は死ぬほど疲れる。では、野球選手の投球練習みたいな真似をせずとも空気をいれないようにするにはどうしたら良いでしょう?答えは簡単。このとき煮汁をたくさん加えてドロドロ状態にしちゃえばいいんです。煮汁が多少多くても、麹が水分を吸って膨らむので出来上がりの味噌がベチャベチャになることはありません。それに煮汁を多く加えると、味噌に甘味がでて深い味わいになるんです Aさん

 


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中国産梅と日本産梅の見分け方 [手作り食品]

今日、梅干の梅は中国からの輸入が約3分の1です。梅は中国原産の作物ですが、食品の梅干は日本固有です。
「中国の梅の産地は加工した製品の大半を、台湾と日本に売っているのだとか。・・日本で売られている南高梅の梅干しの大半は、中国で塩漬けにされて日本で最終仕上げを行ない、高価な南高梅の梅干しとして販売されている、と、現地の方はニコニコ顔で話していた。」  月刊「味の味」2006年6月号【檀太郎の食べたい食べたい】51 「中国梅事情」




それが紀州産などと産地偽装されて販売されることがあります。その見分け方は、種の中から仁(天神様)を取り出し、ストロンチウムと鉛の量を測るのだそうです。



独立行政法人・農林水産消費安全技術センターの調査では、国産の梅ではストロンチウムは9.15ppm(1kgに9.15mg)以内、鉛は0.036ppm(1kgに0.036mg)以内。中国産はこれより概ね多いので、それで判別できるそうです。



和歌山県の南高梅での調査では、梅干作りの塩漬加工の前と後では、果肉の微量元素の濃度は使われた塩に含まれる微量元素の影響を受けて大きく変りますが、仁に含まれているストロンチウムの殆ど変化していません。仁での濃度差は加工前の原料生梅中の日本と中国産の違いを、忠実に反映していると見られます。 南高梅の梅干加工とミネラル及び有機酸含量の変化



中国から輸入される梅の品種は南高梅だそうですが、和歌山県の南高梅でみるとストロンチウムなどの微量元素は果肉には仁の濃度より濃く含まれています。ストロンチウムは8~13倍の濃度です。他の微量元素はもっと濃くなっていますから、鉛も仁に較べ果肉では少なくとも約10倍ほど濃いと考えられます。 参照  南高梅の梅干加工とミネラル及び有機酸含量の変化


鉛とストロンチウムの毒性

ストロンチウムというと東電核災害以降は放射性のストロンチウム90を思い浮かべますが、ここでのストロンチウムは放射線を出さない安定核のストロンチウムで、炭酸などとの化合物で土壌中に存在しているものです。植物性食物での摂取が多く、大半(95~75%)はそのまま体外へ排出されます。ストロンチウムは動物実験では高濃度、高摂取量のストロンチウムで骨の変形が認められていますが、人では中毒や欠乏症状は認められていません。 ストロンチウムの毒性

これに対し、鉛の毒性は昔からよく知られています。



「1980 年代の研究により、血中鉛濃度 10μg/dL 以上が知性や他の神経発達への有害影響に関連することが判明進行中の研究により、72か月未満の乳幼児には、10μg/dL未満でも有害事象が起こりうることが明らかになりつつある。」「成人においては、食事中の鉛の約 10%が吸収され、絶食状態のほうが吸収率が高い。幼児や小児では、塵埃/土壌や塗料片からの吸収率は生物学的利用能に依存して低いが、食事中の鉛は50%が吸収される。」 厚労省資料

μg/dL(マイクログラム・パー・デシリットル), 液体1dL(100ml・ミリリットル)中の物質の重さ(μg)ですから、血液1dLが約100gとすれば10μg/dLは0.1ppmです。血中鉛濃度 10μg/dLは、世界保健機関WHO による基準値です。日本の状況は、児童で3.15 ±1.50μg/dℓ(厚生労働省審議会2006 年6月資料)。



「中国の白梅。この梅は砂糖漬けにした後干してカラカラにする。よく、紹興酒等に入れる梅で、日本にも輸入されている。」2009年10月に、この乾燥梅から高濃度の鉛、2~30ppmがマレーシアで検出され販売規制されています。和歌山県の南高梅の果肉の水分量は92%前後ですから、白梅の乾燥梅が水分が10%前後なら約10倍に濃縮。鉛の濃度が仁で0.35ppm(農林水産消費安全技術センターの検出例)は果肉では約10倍で3.5ppmで、乾燥で約10倍に濃縮されると30ppm前後になって不思議ではありません。

何故、中国産の梅ではストロンチウムと鉛が多いのでしょうか。健康に影響を与える鉛で調べてみます。
仮説①中国の土壌での鉛の量が多い、仮説②中国の土壌汚染の影響。  続く

何故、中国産の梅では鉛が多いのだろう。 基礎知識篇 [手作り食品]

何故、中国産の梅ではストロンチウムと鉛が多いのでしょうか。健康に影響を与える鉛で調べてみました。
仮説①中国の土壌での鉛の量が多い、仮説②中国の土壌汚染の影響。

「鉛は人為汚染を受けていない土壌の中に数mg/kgから数10mg/kg存在しています(所謂自然由来の鉛)。特に銅、鉛、亜鉛を含む金属鉱床には数%から数10%の濃度の鉛が濃縮しています。」(丸茂克美・産業技術総合研究所)

数mg/kgから数10mg/kgの幅がありますから、作物での量も幅がでてきます。




 






また、鉛を含む金属鉱床を掘り出し利用することでの汚染が生じます。



「汚染元素は、地球化学的に区分すると、大きくは『(化学的に銅と結びつきやすい)親銅元素群』と『親鉄元素群』とになる。したがってそれぞれの群の共存鉱物(元素) は製錬工程で分離されて、回収また廃棄される。主な共存元素には、親銅群では銅以外に、銀、亜鉛、カドミウム、水銀、ガリウム、インジウム、テリウム、鉛、ビスマス、アンチモン、ヒ素、テルル、セリウム、硫黄等が、また、親鉄群には鉄以外に、コバルト、ニッケル、イリジウム、白金、金、錫、タングステン、炭素等が含まれる」 



出典・・大阪大学リポート「中国の重金属汚染土壌の現状と今後の対策に向けて―日本の歴史的射程から得られた教訓と最新の技術開発の展望を踏まえて―」 阪大リポート

 

「鉱山では、主目的元素の富鉱を精選していく過程で廃鉱石が発生し、さらに精鉱にする段階で尾鉱(ずり、くず鉱、鉱滓、ぼた)が発生する。精鉱の段階で高付加価値の共存元素の評価を含めてカットオフ限界が決まり、それ以下の品位の鉱石は山元に残留することになる。この結果、① 廃鉱石や尾鉱の堆積場からの浸出水、② 廃坑からの浸出水、③ 豪雨、洪水等による廃鉱石や尾鉱堆積場の崩壊やダムの決壊等でそれらが大量に流出するという主として三つの問題が発生する。」



「地球化学的にみて金属鉱石には硫化物が多く、微量の鉄分が含まれることが多いので、好気条件下では鉱廃水は強度の酸性水になる。これが鉱毒水の原因であり、採掘中は当然、休廃鉱山になってもその管理は必要である」

 







日本では上の図にある鉛を採掘していた鉱山、神岡鉱山、豊羽鉱山、花岡鉱山、小坂鉱山など主要鉱石として鉛・亜鉛を採掘していた鉱山は、2006年に豊羽鉱山を最後に全て閉山しています。


現在、オーストラリア、ペルー、アメリカなど海外からの輸入しています。鉛鉱は小坂(秋田)、契島(広島)など、また亜鉛鉱は彦島(山口)、安中(群馬)、飯島(秋田)などの製錬所で精錬されてます。また一部はエム・エスジンク播磨事業所や八戸製錬所で鉛と亜鉛の同時製錬が行われています。




 



農耕地帯では「河川、湖沼からの農業用水や底泥利用による汚染がある。」また、鉛の微粒子が飛散する大気経由の汚染があります。粒径が0.55μm程度の鉛粒子は、64時間以上も空中を浮遊し、1,600km 以上も移動することが報告されています。

 

これは、鉱山や精錬所だけでなく鉛蓄電池製造工場などでおきます。





家庭で減塩の梅干を作るには? [手作り食品]

食品の塩漬けは、恐い食中毒菌のボツリヌス菌も5~7%のNaCI・塩分により生育が完全に阻止されるように一般に食品の腐敗菌は耐塩性がごく低いので保存に有効です。
微生物には、生息に酸素が必要な好気性、酸素がなくても生きていける通性嫌気性、酸素がある生きられない絶対嫌気性に分けられますが、好気性の腐敗菌は密閉などで酸素を絶つと増殖が防げます。カビのほとんどの種類が酸素なしでは生育できないので、酸素をたつことが有効なカビ対策になります。糠床を毎日世話をする効果の一つは、糠床表面で増殖・繁殖し始めた好気性の腐敗菌を糠床の中に押しやり、酸素を絶つことで抑制することです。 参照 糠床・・産膜酵母

嫌気性の菌は、一般に耐塩性が弱いのです。また海水中に生息する細菌類・微生物のように塩分がないと生息できない好塩性の微生物、身近には塩水を用いて塩蔵した魚にいる微生物がいます。代表的な好塩性の微生物の赤色高度好塩菌はpH2.7以上で死滅するように、一般的に強い酸性の条件では死滅したり増殖が抑えられます。好塩性の微生物に限らず、酸性が強くなると細胞内に侵入する酸が増えて、微生物は死滅したり、生育できなくなります。らっきょう漬や糠床では、酸素を減らして絶って乳酸菌による乳酸発酵をおこして乳酸で酸性条件を作ります。梅干は、塩分の浸透圧で梅の細胞からクエン酸を引き出して酸性条件を作ります。



梅干では一般にはカメを使いますが、カメは密閉容器の様に効率的に酸素を絶つ事はできません。梅をクエン酸の梅酢の中に水面下に置くことで嫌気条件を作っています。梅干に適した熟度の梅は、梅酒に適した青梅の時期に比べクエン酸の量が少なくなっています。ですから早くクエン酸を引き出すために食中毒菌の増殖抑制に必要な濃度8%程度より塩分濃度が20%程度と高くなっていますし、重石をのせて梅が梅酢の水面から浮かばないようにしています。

レシピの二つのポイント

塩分の低い低塩梅干を家庭で作る様々なレシピがあります。それらのレシピは①酸素を効率的に絶つ容器などを使用する、②減った塩分の代わりに何を入れるかという2つがポイントになります。

10%をお奨め
クエン酸を引き出すには10%以下の例えば6%塩分でも可能ですが、何処にでもいるボツリヌス菌の生育を阻止したい、ボツリヌス菌は生菌だけでなくその毒素、加熱しても無毒にならない神経毒が問題ですので、菌の生育を確実に阻止するために少なくとも10%をお勧めします。

①酸素を効率的に絶つ容器に用いられるのは、梅酒用の密閉容器やビニール袋、チャック付き袋です。「平らな所に置き、袋の上から梅を軽く押さえるように空気を抜きながら、梅のすぐ上のあたりで袋の口をしっかりと結んで閉じる。結び目のすぐ上でもう一度結び、二重結びにする。もう1枚のポリ袋に入れて二重にする。受け皿になる容器入れて、」こうした工夫で中の空気・酸素を減らしています。梅が入れば、熟成に伴う呼吸で酸素が消費されます。そして「梅酢が上がるまで1週間ほど室温におく」




②の塩を減らした分の補いには、A)砂糖・ショ糖、B)米酢、C)ホワイト・リカーの3パターンがあります。
塩分20%では、浸透圧は約120気圧ほどになります。これまでの研究では、約120気圧の浸透圧で酵母等の増殖が長期に抑えられます。問題は塩分10%で浸透圧が約60気圧を超えると、食塩1%の浸透圧≑約1%のエタノール≑2.8%の酢酸≑約5%のブドウ糖≑約10%の砂糖(ショ糖)。塩分を10%減の浸透圧を補おうとすると、35℃のホワイトリカーでは梅1kgに約300ml、酸度約4%の米酢では7000ml。これらの殺菌・静菌効果を利用すれば量はもっと減らせます。
レシピには
1)塩分を20%から15%程度に減らし、米酢(酢酸)を5%(梅1kgに50ml)加えます。
2)塩分10%にして米酢(酢酸)を3.5%(梅1kgに35ml)、35℃のホワイト・リカーを3.5%(梅1kgに35ml)を加える。 詳しく
3)塩分10%。まず袋に入れた梅に50mlのホワイトリカーをまぶして全体を殺菌してから、10%の塩を加える。 詳しく

密閉容器を使わないで塩分10%でホワイトリカーを1カップ・200mlのレシピでは「こちらは非常にかびやすいので、ご注意を」とあります。3)のレシピに比べ4倍のホワイトリカー・エタノールを加えても開放した、空気・酸素が遮断されていないとカビるのです。  参照 新潟県の減塩梅干しの作り方



塩分10%で密閉状態でつくる漬物には、ラッキョウの塩漬があります。これでは、耐塩乳酸菌による乳酸発酵がおこり乳酸で酸味が生まれます。らっきょう成分には強い抗菌・抗カビ作用をもつアリシンが含まれていますから、その働きでカビがつきにくい。落し蓋、皿など重石ででらっきょうが浮き上がらないようにして、らっきょうが液面から顔を出さないように保って、かびが生えにくくしています。 参照 保存するらっきょう漬

梅も塩分10%で密閉状態にすれば、乳酸発酵がおこるかどうか?。福井県食品加工研究所などの研究で、梅酢の強い酸性でも働く乳酸菌が発見されています。しかし、成熟し黄化した梅の果汁に糖分を補って発酵させていますから、発酵するための糖分が少ない。乳酸発酵するとヘテロ乳酸発酵で発生する炭酸ガスによる袋の膨張などが起こりえます。それを避けるには、ホワイトリカーによる殺菌や米酢による静菌です。においが梅干しに移るので、嫌な方にはお勧めできません。手間ですが、「消毒は熱湯を利用します。梅を2,3個たまにとって火にかけた鍋の熱湯に数秒つけています。」


甘露梅

塩分10%減の浸透圧を補うには砂糖は1kg、ブドウ糖は500gと、梅の砂糖漬になってしまいます。

江戸時代の遊郭、吉原名物に上げられている甘露梅(かんろばい)は、「青小梅塩につけおき、つけたる時出して打わり種をとりすて、そのあとへ朝倉山椒或は粒胡椒などを入、馴たる梅を合はせて紫蘇の葉にて包み、砂糖蜜に酒を加へてつけるなり。夏より冬まで目張して置べし。風入ればかびの来る者也。但したねをぬかずにするもあれどそまつなり。」(『料理早指南』四篇・1804)といったん塩漬梅をつくり、それをエタノールと砂糖の蜜に漬け変えるやり方で作られています。この記述でも風・酸素の遮断が防カビのポイントです。

歌舞伎座厨房で再現されたことがあり「刺激的な甘酸っぱい味のおいしさに驚きました」ともこと。吉原では、お正月に「私が作りました。どうぞ召し上がれ」などの甘い言葉を添えて、茶屋で、贔屓客への年玉(年礼)として贈ったもののようです。「寺からと女房をだます甘露梅」「甘露梅内儀の口に唾がたまり」
(新潟市の古町にある小川屋さんの製法はこれとは違います。)



塩と砂糖だけのレシピでは密閉容器や袋で酸素を遮断して
4)塩分18%で砂糖を3.6~5.4%を加える。 詳しく
5)塩分13%で砂糖を6.5%を加える。 詳しく

この二つのカビ対策は酸素の遮断です。砂糖を使うと「塩だけで漬ける梅干しよりも、表面の皮は柔らかくて果肉はジューシー、口当たりがしっとりとした、まろやかなコクのある味わいに仕上がります。」

梅酢が上がった後

密閉容器などで酸素を遮断してカビを防ぎます。

また、赤シソを入れてカビを防ぎます。 参照 赤シソで防カビ?

浸透圧は4)が塩分18.5%相当、5)は13.6%で、酵母を抑える浸透圧・約120気圧に届きません。1)、2)、3)も不足です。表面に膜を作る産膜酵母は酸素が必要なので、容器で酸素を遮断できていれば生えませんが、梅酢の中で酵母が繁殖できます。通常の梅酢は透明ですが、濁ってきます。
対策① 梅酢のクエン酸よりも殺菌力の強い米酢(酢酸)適量入れる。
対策② 梅はアルコール消毒、梅酢を火に掛けて加熱殺菌。後は、冷蔵庫へ。




カリカリの梅干のつくりかた・・梅干のペクチン [手作り食品]

基礎知識編

果物など植物細胞は、セルロースでできた小部屋の中にあります。このセルロースの壁・細胞壁をといいますが、これはセルロース繊維をペクチンが結び付けている構造になっています。模式的には、長く太いセルロース繊維をペクチンが横糸/鎖になって編み上げている、そのペクチン鎖同士が途中で結合している構造です。



ペクチンは、ペクチン酸(ガラクツロン酸)が多数糸状に結合した高分子化合物ですが、未熟な果実ではプロトペクチン(protopectin /proto-・・を生じる親物質)という非常に長くつながった物になっています。そのプロトペクチン鎖間でカルシウム、マグネシウムなどの2価金属イオン、化学結合する手が2本で左右のプロトペクチンを結合しています。このようなプロトペクチンが「カニのはさみ」のように金属イオンを挟み込む結合をしています。カニのはさみを意味するギリシア語(chela)からchelate・キレート結合といいます。このキレート結合があるため、このプロトペクチンは水に溶けません。




 種が発育し出来てくると、、それを引き金に細胞壁の分解酵素の遺伝子が活発に発現し、分解酵素ができて細胞の中から細胞膜を突っ切って細胞壁に分泌されます。酵素でプロトペクチンがペクチニン酸 (pectinic acid) に分解され、さらにペクチン酸(ガラクツロン酸)に分解されます。それで細胞壁が柔軟になり果物がやわらかくなります。この状態を私達は「熟した」といっています。ほとんどがペクチン酸に分解されていると、「過熟」状態です。ペクチニン酸、ペクチン酸は水に溶けるようになります。



カリカリ梅干

和歌山県や近畿大学の共同研究から梅干の組織軟化は、「果実中のペクチン鎖間をキレート結合しているカルシウム、マグネシウムなどの2価金属イオンが(加えられた)食塩に由来するナトリウムイオンで置換され、キレート結合が解離して生じるペクチン質の可溶化と、これに伴って活性化される果実中のペクチン質分解酵素によるペクチン質の低分子化によるもの」と考えられています。

食塩を加えてナトリウムNaによる置換と軟化は、食塩水でじゃが芋を煮る・加熱すると水で煮るよりはやく軟らかくなることにも顕われています。ジャガイモを牛乳中や味噌汁の中で加熱すると、煮くずれしにくくなります。それは、牛乳や味噌に含まれるカルシウムがペクチンの鎖の間に橋をかけるため、分解しにくくなると考えられます。

カリカリ梅を作るのには、硬い未熟のプロトペクチンが多い実をえらび、塩漬けのときカルシウムを加えると良いのではないか?

硬い未熟のプロトペクチンが多い実をえらび方、割って種(核)を見ると核の表面の色が白い状態ならカリカリ梅漬けの原料としてOKです。




ある漬物屋さんのでは、
10%食塩水の中に投入し落としブタをして重石します。
48時間後、梅酢が上がったら小梅重量の0.6%の消石灰(水酸化カルシウム)と2%の食塩を加える。
以後毎日2%の食塩を追い塩して最終塩度20%で終える。
消石灰(水酸化カルシウム)は水溶性で直ぐに解けますが、粘膜・皮膚、特に目に入った場合は角膜・結膜に障害を起こすことがあるので家庭向けではありません。このレシピから加えるカルシウム量は梅の0.3%程度、梅1kgに3g程度で十分だとわかります。

家庭向けでは、塩分は10~12%で卵殻の炭酸カルシウムを使うやり方があります。

塩でウメの表面にゴリゴリと擦り込みます。塩の結晶でウメの表面に細かい傷をつけ、果肉に塩やカルシウムが浸透しやすくなります。塩をまぶしながら漬け込んだのではゆっくりと塩が浸透するので、速攻で漬けたとしても、ウメが活き活きとしているため、どんどん追熟してしまいます。

卵の殻は、梅1kg当り卵の殻は卵2個分で約15g、梅の約1.5%。内側に付いている薄皮をきれいに剥がして、水洗い。その後、天日によくあて、乾かします。1~2日干して、カラカラになったものを砕いて、ガーゼに包んで使います。
普通の梅干しを作り時と同様に、梅を一並べ、ここで用意しておいた、ガーゼにくるんだ卵の殻を入れます。上に梅を重ねていきます。

炭酸カルシウムは水に溶けにくく、梅から出るクエン酸で徐々に中和されて溶け出しますから、容器をあおるようにゆすって平均的にまわるようにします。

また卵や貝の殻を煮溶かした梅酢に入れると簡便です。梅1kgに梅酢約180ml、卵の殻は卵2個分で約15gで加熱します。梅酢の温度が上がってくるとブクブクと炭酸ガスの泡が出てきます。加熱の調整をして容器から梅酢が吹きこぼれないように注意してください。

約1ヶ月で出来上がり、塩分が10%程度ですし、塩分を高くしても室温で保存し保存期間が長くなると果肉が軟らかくなりカリカリ感がなくなってきますから保管は冷蔵庫。




塩化マグネシウムや塩化カルシウムを主成分とするニガリを加えても同様の効果があります。

虹屋で扱っている塩はニガリ分が含まれています。成分表では
海の精 100g中にカルシウム400mg、マグネシウム700mgで1.1g
カンホアの塩は100g中にカルシウム500mg、マグネシウム700mgで1.2g
シママースは100g中にカルシウム105~300mg、マグネシウム40~300mgで0.15~0.6g

家庭でつかう塩の約4割をしめる塩事業センター(専売事業の継承財団法人)の塩では
食塩では100g中にカルシウム20mg、マグネシウム20mgで0.04g
つけもの塩では100g中にカルシウム50mg、マグネシウム50mgで0.1g。

梅干を塩分20%・梅1kgに塩200gでつくると、ペクチンのキレート結合の分解を抑えるカリカリ梅になるイオンの目安0.3%・約3gに、海の精、カンホアの塩はもう0.08%、梅1kgあたり0.8g程度不足。
シママースで、0.27~0.18%、1.8~2.7g程度不足。センターの食塩では0.29%、2.9g程度不足。センターのつけもの塩では0.28%、2.8g程度不足。
この不足をニガリ分で補う。

梅の土用干しが梅の柔らかさ、コリコリ感に与える影響

梅を夏の土用、7月20日頃から約18日間に干す習慣があります。この土用干しの後に、梅酢と梅を別々に保管する方法と梅酢の中に干した梅をもどして梅を梅酢に漬けたままで保管する方法があります。

地域的には平年の梅雨明けが7月25日頃の北陸や東北の地域で梅酢の中に干した梅をもどす、その年の天候次第で土用干しをしないようです。20日頃の関東より南の地域では、別々に保管する方が多い。

例えば、京都の天神さん・北野天満宮では「6月中旬、境内で採取し、樽に塩漬された梅の実をこの日樽から取り出し、すのこの上にむしろを敷き、その上に並べて約4週間かけてカラカラになるまで干し上げる。」大福梅の土用干し(おおふくうめのどようぼし)が行われます。「干し上がった梅の実は、再び塩をまぶして樽に11月下旬まで貯蔵する。」「11月下旬樽から取り出された梅は、6粒位ずつ、手のひら程の大きさに切りそろえた縁起物の裏白を添え、奉書紙で包み事始めから終い天神の頃まで社頭で授与される。新年の招福息災の祈りを込めて祝膳に欠かせぬものとして、京都を始め全国から多くの参拝者が授かりに来られる。」



梅酢は食用の他に冶金などでの用途が大きかったのです。土用干しの頃は丁度、梅酢が上がる頃です。梅酢と梅を別々に保管する方法なら梅酢をこうした用途に使える、販売できます。

梅干の梅の柔らかさ、コリコリ感には、キレート結合が解離して生じるペクチン質の可溶化と、これに伴って活性化される果実中のペクチン質分解酵素によるペクチン質の低分子化の二つが主な要因です。

青い未熟な梅ではキレート結合が多くペクチン質分解酵素の分泌量が少ない、黄色く熟した梅ではキレート結合が少なく分泌量が多い。逆に梅酢は熟するほど量が少なくなり、クエン酸の比率が減ります。 糖抽出梅果汁の原料梅の熟度による品質の変化

従って、梅酢が上がるまでに、
A)塩事業センターの食塩を使った場合、①青い未熟な梅ではキレート結合が食塩に由来するナトリウムイオンで置換され、キレート結合が解離して生じるペクチン質の可溶化は進行するが、酵素によるペクチン質の低分子化は少ない、多くでるクエン酸による分解がある。②黄色く熟した梅では既に多くのキレート結合が解離している上に更にナトリウム置換での解離によりペクチン質の可溶化が一層進み、酵素によるペクチン質の低分子化も進行する、クエン酸による分解はクエン酸量が少ないので青い未熟な梅に較べ少ない。

B)カンホアの塩などニガリ分が多い塩を使った場合、③青い未熟な梅ではキレート結合がニガリ分(カルシウム・マグネシウム)で維持されペクチン質の可溶化が少ない、酵素によるペクチン質の低分子化は少ない、多くでるクエン酸による分解がある。④黄色く熟した梅では既に多くのキレート結合が解離しているがナトリウム置換での解離が少ないので可溶化が余り進行せず、酵素によるペクチン質の低分子化は進行する、クエン酸による分解はクエン酸量が少ないので青い未熟な梅に較べ少ない。



土用干しをすると天日で干されている間、梅の中のクエン酸濃度と温度が上昇しクエン酸による分解が進行します。

クエン酸による分解と酵素による分解を較べると、酵素のほうが力が強い。クエン酸量の多い未熟果を使用すると硬い品質ですが、和歌山県などは未熟果にペクチン質分解酵素を含浸させて果実組織を軟化させ適熟の果実を使用した場合と同等の品質を有する梅干の製造が可能になる酵素含浸法を開発しています。また、分解酵素の多い適熟の果実を使用した場合は土用干し前には「皮はぷりっとして中はやわらか」の状態になっています。



未熟な梅を使った硬い梅漬けを適度な柔らかさ、コリコリ感にするには、土用干しは特別な効用がありません。漬けっぱなしにしても、梅酢の作用でペクチンは分解され、貯蔵期間が長くなれば柔らかくなります。

適度に熟した梅を漬けた場合も、土用干しをしなくても梅酢に漬けておけばペクチン質分解酵素の働きで柔らかくなります。カリカリ梅干と同じく、熟度を選ぶほうが大切です。


藤清光・中山美鈴さんらは、ビン干しの土用干しを提唱しています。「ビンのフタを取って、昼間だけ1週間、お日様に当てる。夜は取り込む」方法です。これでも十分な品質の梅干(梅漬け)ができます。 参照 梅ぢから








梅酒・・酒税でこわされる食文化の伝統 [手作り食品]

梅酒は、甘味とさわやかな酸味、独特の香りか魅力の和製リキユールです。梅酒に含まれる酸の約50%は梅のクエン酸です。また、梅酒らしさを形成する香りの成分の一つとしてベンズアルデヒドか知られています。この成分は、種の香り成分の50%以上、果肉にある香り成分の10%未満の含有量ですから、種は、梅酒らしい香味を支える大切な役割を持っていると考えられます。



梅酒が日本で初めて資料に登場するのは江戸時代の1695年・元禄8年に書かれた『本朝食鑑』(ホンチョウショッカン)という書物です。「痰ヲ消シ、渇を止メ、食ヲ推メ、毒ヲ消シ、咽痛ヲ止メル」といった梅酒の効用が紹介されています。また製法は、「半熟の生梅を灰汁に一晩浸し、取り出して拭き浄め、酒で洗ったもの2升に、好い古酒5升と白砂糖7斤(1斤=約600g)を合わせ、かき混ぜて甕・カメに収める」とあります。

 江戸後期の文化10年・1813年の『手造酒法』(テズクリシュホウ・十返舎一九)には、梅酒(むめざけ)は、「豊後青梅2升をよくあらい、灰にまぶして一夜おく。灰を洗い水気を拭いて上々三年酒5升と白砂糖7斤とともに壷に入れて20日程おいた後、桃仁(桃の種)をきざんで加える。次の日に濾して壷に入れ、風をひかぬように口を密封する。」とあります。

刻まれ砕かれた桃仁(桃の種)では、豊富に含まれるアミグダリンが青酸、ベンズアルデヒド(芳香成分)、グルコースに分解します。青酸は沸点: 25.6℃ですから、梅酒をつくる時季では直ぐに気化し拡散します。桃仁を加えて梅酒の独特の香りを強化しています。


古酒(清酒)

また、『黒白精味集(コクビャクセイミシュウ)』(1746年成立)では、同様の方法で梅を処理し「砂糖2斤、諸白酒(清酒)にひたひたに成程入置」、また「みりん酒に漬候へば砂糖入ず」と書かれています。

江戸時代には、梅と白砂糖と清酒か1年以上寝かせ熟成した清酒の古酒、または、梅とみりん酒で作られていました。材料費は、お米を基準にすると、普通の諸白酒(清酒)は約1.5~3倍、みりん酒は約3倍、清酒の古酒は約3.3~6.6倍、白砂糖は1斤で約4.4倍です。江戸時代の「訓蒙要言故事」には、「新酒は、頭ばかり酔う。古酒(熟成酒)は、からだ全体が潤うように気持ち良く酔う」と書かれているように、古酒の方が好まれていて高かった。このように、みりん酒を使ったやり方が経済的でした。
また「生梅を灰汁につけてからきれいに拭ってにごり酒に漬けると、年月を経ても色か変わらず肉もくずれない」との書かれた文献もあるところから、各家庭、農家などでは自家醸造した濁酒・にごり酒も使われていたと思われます。


にごり酒

江戸時代の方法では、アルコール度は消費時点で清酒・古酒が5%程度、みりん酒は14%前後、濁酒・にごり酒で14 ~17%。糖分はみりん酒が40~50%、古酒5升と白砂糖7斤で約35%です。
現在、一般的な梅1kgに35%のホワイトリカー(甲類焼酎)1.8㍑(1升)と氷砂糖500~600gで糖度25%前後のやり方とは随分違います。

江戸時代はアルコール度5%が今は35%になった理由

梅酒らしう香りの主成分のベンズアルデヒドは、水にはわずかに溶ける程度ですが、アルコールには良く溶ける混和しますから、梅肉や種から引き出すには必要です。江戸時代の作り方をみれば、5%程度で十分です。今日では35%もある酒を使うのは何故でしょうか??

1868年の明治維新後、明治初期には200万軒の農家の多くが自由に濁り酒などを造っていました。

明治政府は、税増収をお酒に関する税に求めます。清酒が、明治の前期において非常に大きな産業だったからです。1874 年の段階においては、織物に次いで第2位、1900 年においては織物、製糸に次いで第3位でした。

1875年(明治8年)、1年につき一人一石(百升)まで製造量規制。
1882年(明治15年)には、自家製酒を造る者は製造免許鑑札を申請し、鑑札料金80銭を納めることを義務化。
1883年、製造量を一人一石から一家一石に制限強化。
1886年(明治19年)自家用清酒の醸造禁止。

  日清戦争・・1894年(明治27年)7月から1895年(明治28年)3月

1897年に自家用濁酒を禁止。
1899年(明治32年)ついに焼酎や白酒なども全面的に禁止します。そして同年、酒税の国税に占める割合が35.5%となり、国税の税収第1位となりました。


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明治の税収の推移

今日、国税庁は、「アルコール分1度以上の飲料(飲用に供し得る程度まで水等を混和してそのアルコール分を薄めて1度以上の飲料とすることができるものや水等で溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。)」を課税対象にし、製造には税務署長から製造免許を必要としています。この「製造免許を受けないで酒類を製造した場合は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」「製造した酒類、原料、器具等は没収」だそうです。

ただ「しょうちゅう等に梅等を漬けて梅酒等を作る行為は、酒類と他の物品を混和し、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされますが、消費者が自分で飲むために酒類(アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限ります。)に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としない」


酒税を確保する国税庁の視点では、酒税が課税済みのものという条件は当然です。
梅酒を造るには、江戸時代の作り方をみれば、5%程度で十分です。20%以上という条件は、納税していない自家醸造酒の排除に有効です。濁り酒、清酒は醸造酒で最高のアルコール度ですが、それでも14 ~17%です。20%条件でこれを排除できます。これ以上度数を上げるには、蒸留装置が必要になり、焼酎になります。簡易な装置でできる伝統的な常圧単式蒸留では強い豊かな風味の焼酎、焼酎乙類ができます。これは梅のなどの風味を生かす果実酒には不向き。明治28年頃にイギリスから導入された連続式蒸留機による連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)が風味がなく適しますが、これは装置にお金がかかるため、自家醸造には向きません。




梅からクエン酸などの栄養分を引き出す力は、浸透圧の違い、梅が漬かっている溶液が濃くて浸透圧が高いから生じます。みりん酒のブドウ糖やオリゴ糖などの多種類の糖度は40~50%、これととアルコールでの浸透圧は、塩分20%の浸透圧とほぼ同じか高い程度。白砂糖と清酒か古酒では糖度が約35%で、これとアルコールでは塩分10%とほぼ同じ程度。

35%のホワイトリカー(甲類焼酎)と氷砂糖(ショ糖)で糖度25%前後では、アルコールと食塩の濃度による浸透圧はほぼ同じなので、かなり高い浸透圧です。



アルコールは細胞膜を壊し中に侵入するので、ホワイトリーカーを使うと先ず梅は膨らんでいきます。梅(細胞)の中のアルコール度が上がり、外・ホワイトリカーと同じになると浸透圧差がなくなります。アルコール(エタノール)に入り込まれた細胞膜は軟らかくなります。軟らかくなった膜からは内容成分が漏れ出しますが、基本的には梅のアルコール漬です。次に氷砂糖が溶け出し、ショ糖濃度の差による浸透圧差が生じます。これで、梅の中にあるクエン酸や香りの主成分のベンズアルデヒドなどの諸成分が梅から引き出されます。梅のアルコール漬から梅酒になります。

氷砂糖・ショ糖の作る浸透圧差は、みりん酒などが作る浸透圧差に比べ同じ濃度・糖度なら小さい。みりん酒などには糀菌の糖化でブドウ糖などが多く含まれます。糖度20%ではブドウ糖はショ糖に比べ約2倍の浸透圧差を作ります。これは、みりん酒などを使った方が、多く早く梅酒になります。江戸時代の『手造酒法』(十返舎一九)には、「壷に入れて20日程おいた後、桃仁(桃の種)をきざんで加える。次の日に濾して壷に入れ、風をひかぬように口を密封する。」と、その年の夏には飲めます。今の氷砂糖では「いわゆる飲み頃は浸透圧のバランスが落ち着くのが3カ月~半年後」「1年程度で梅のエキスが液に浸透します」となります。

国税庁・酒税法の、梅酒文化に与えた影響は?

「うちでは梅ジュースを作りますが、梅一リットルに砂糖六〇〇ミリリットルにしますと、一%くらいのアルコール発酵をして炭酸ガスができて旨いんです。これと日本酒を少し合わせると梅酒よりおいしい。江戸時代の梅酒は古酒に青梅でした。それに氷砂糖。焼酎を使うのは明治より後です。それを新聞に書いたら、国税庁に「日本酒を使ってはいけない」と怒られました。月刊酒文化1999年12月号、奥村彪生・(神戸山手大学教授・伝承料理の研究、)」


2007年6月14日放送のNHKの「きょうの料理」で、梅酒料理が取り上げられました。番組後半では高城順子講師のわが家に伝わる酒として「みりん梅酒」が「食前酒に丁度」よく「飲みやすい」と紹介されました。 参照 ニコニコ大百科

国税庁から酒税法違反「みりんで梅酒を作ると、梅に付いている酵母菌で発酵がおこりアルコール分が増えるので、それが密造酒にあたる」であるという抗議を受けました。しばらくの間NHKは「みりんで梅酒を作るのは法律違反になります」という趣旨の謝罪テロップを流し続けました。



アルコール濃度が8~10%を超えると普通の酵母は出芽して増殖することができなくなります。みりん酒のアルコールは約14%です。15%まで進むと普通の酵母は、休止します。15%を超えても発酵が続く酵母は、全国の酒蔵で自然育種されて「蔵付き酵母」から見出された清酒酵母です。野生の酒造酵母が梅についていることもあるでしょうが、どれ位の頻度で新たなアルコール発酵が起きるのでしょうかね? 10本中10本?10本中1本?100本中1本? 普通の酵母の性質・アルコール耐性から、私には国税庁の主張は言いがかりに思えます。 参照 アルコール発酵、・・酢-3 

 そのせいでしょうか、国税庁は「みりんに梅をつけた梅酒はだめだが、梅にみりんを入れたみりん梅漬けは問題がない」(??)とのことです。みりん梅漬けで、梅の成分や香りのついたみりん酒は国税庁の視点ではなら余り物、廃棄物でしょう。廃棄先?は台所の流しではなく、口の中、胃の中ですよね。




減塩の梅干、調味梅干 [手作り食品]

昔、中国では梅を塩漬けにして、塩の混じった梅酢をとりだして「えんばい・塩梅」といって食酢などに用いていました。ワインビネガーのように酢は、お酒を造ってから更に酢酸発酵させる2度の手間がかかります。その点、「えんばい・塩梅」は一度でできます。

梅酢は器具や人体の傷口の消毒の他、金属の鍍金やはんだ付け、青銅器の酸化皮膜処理、鉄器の『黒留め』と呼ばれる酸化皮膜による防錆処理のためにも用いられていました。東大寺の大仏に金を鍍金する際にも使われたそうです。こうした用途に梅酢は昭和中期まで大量に使われていました。本来、梅干はこの副産物であり、中国では黒焼きにして腹痛・虫下し・解熱・腸内の消毒の漢方薬的な用い方をされていました。

土用干しをすると塩が吹く場合は25%以上、塩が吹かなくても塩度22%以上はある梅干を容器に入れて保存されます。多くの微生物、カビの菌類などは、、塩分1.2%が増殖に最も適した塩分濃度で、それ以上塩が多いと著しく増殖が抑えられたり、死んでしまいます。20%以上もあったら殆どの微生物、菌類など生息できませんから、長期の保存ができました。

今では、酸味のもとのクエン酸などの疲労回復や抗菌・防腐などで広く食べれていますが、抗菌・防腐の効果は、伝統的な製法の梅干に限られ、減塩の梅干(調味梅干)ではこの効能は期待できず、弁当に入れると調味梅干が先に腐る場合すらあるそうです。

 梅の漬物は昭和40年代に大きく変化しました。低塩化志向で塩分を10%前後に抑えたいと要求されるようになりました。しかし梅は年1回の収穫で翌年の収穫期までもたすためには、梅を20%以上の高塩で漬ける必要があります。つまり食塩差が10~15%のギャップを埋める製造法が考案されました。

塩度22%以上はある梅干を容器に入れて保存します。それを、流水に曝して塩分を除く流水脱塩します。そうすると流水脱塩で一緒に、酸味やビタミンなど様々な栄養や風味も流失します。それで、調味液であとから追加、添加するのです。調味液は、糖類、食酢、梅酢、香辛料、化学調味料、削りぶし等を混ぜて作ります。これが減塩の梅干、調味梅干です。


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減塩・調味梅干の作り方




表示例

↓ 表示の読み方


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表示例では、Aの漬けた原材料は中国産の梅、Bの漬け原材料は[食塩、砂糖、還元水あめ・・]。Cの食品添加物は、酸味料、調味料(アミノ酸)、ビタミンB1、香料になります。

これでは、確かに弁当に入れると調味梅干が先に腐る場合すらあっても不思議ではないし、体に良いとされる梅酢の酸味が少ないのも合点されます。ですから、良い梅干を沢山食べるには、経済的には自分で漬けるのが一番良いのですが、しかし、梅干は夏の土用干しが大変ということで、自分で作る方が減っています。


土用干しをやらない梅漬け「どぶ漬」とカリカリ小梅のコツ [手作り食品]

昔、中国では梅を塩漬けにして、塩の混じった梅酢をとりだして「えんばい・塩梅」といって食酢などに用いていました。ワインビネガーのように酢は、お酒を造ってから更に酢酸発酵させる2度の手間がかかります。その点、「えんばい・塩梅」は一度でできます。

梅酢は器具や人体の傷口の消毒の他、金属の鍍金やはんだ付け、青銅器の酸化皮膜処理、鉄器の『黒留め』と呼ばれる酸化皮膜による防錆処理のためにも用いられていました。東大寺の大仏に金を鍍金する際にも使われたそうです。こうした用途に梅酢は昭和中期まで大量に使われていました。本来、梅干はこの副産物であり、中国では黒焼きにして腹痛・虫下し・解熱・腸内の消毒の漢方薬的な用い方をされていました。

今では、酸味のもとのクエン酸などの疲労回復や抗菌・防腐などで広く食べれていますが、抗菌・防腐の効果は、伝統的な製法の梅干に限られ、減塩の梅干(調味梅干)ではこの効能は期待できず、弁当に入れると調味梅干が先に腐る場合すらあるそうです。

 梅の漬物は昭和40年代に大きく変化しました。低塩化志向で塩分を10%前後に抑えたいと要求されるようになりました。しかし梅は年1回の収穫で翌年の収穫期までもたすためには、梅を20%以上の高塩で漬ける必要があります。つまり食塩差が10~15%のギャップを埋める製造法が考案されました。

土用干しをすると塩が吹く場合は25%以上、塩が吹かなくても塩度22%以上はある梅干を容器に入れて保存します。それを、流水に曝して塩分を除く流水脱塩します。そうすると流水脱塩で一緒に、酸味やビタミンなど様々な栄養や風味も流失します。それで、調味液であとから追加、添加するのです。調味液は、糖類、食酢、梅酢、香辛料、化学調味料、削りぶし等を混ぜて作ります。これが減塩の梅干、調味梅干です。





これでは、確かに弁当に入れると調味梅干が先に腐る場合すらあっても不思議ではないし、体に良いとされる梅酢の酸味が少ないのも合点されます。ですから、良い梅干を沢山食べるには、経済的には自分で漬けるのが一番良いのですが、しかし、梅干は夏の土用干しが大変ということで、自分で作る方が減っています。
 土用干しをしないで、梅漬け
土用干しの起源は、塩漬けにして梅酢を取り出して、不要になった梅を保存する、カビなどを生やさないで保存する方法が起源のようです。梅干しに色付けや防カビに赤じそを加えるようになったのは江戸末期ごろです。

ですから、梅をつけて食べるなら土用干しは不可欠な工程ではないのです。
 土用干しをしない梅干、干していないので梅漬けというほうが正しいのですが、乾燥させずにそのまま熟成させるものを関西では「どぶ漬け」といい伝統的に食されてきました。「白い御飯にのせて潰すと赤い果肉が飛び出しておいしい」梅漬けができるそうです。
京都の漬物屋さんのやり方は、
・梅(黄色く熟した物)・塩(梅の量の約20%)・紫蘇(適量)
<作り方>
1)梅を洗う 梅の表面の産毛をきれいに落す
2)塩をふる 濡れたままで梅の表面全体に塩をまぶす
3)蓋をする 残りの塩で梅に蓋をする
4)数日後、梅から液体(梅酢)が出たら、液漬けのまま揉み紫蘇を入れ、液と梅を同時に色付けする 

約20%の塩分は高いので、塩分を低くする方法を探してみました。冷蔵庫を利用し15%程度の低塩で作る方法を見つけました。
1)梅を洗う 梅の表面の産毛をきれいに落す
2)塩をふる 濡れたままで梅の表面全体に塩をまぶす
ここまでは同じですが、
3)150%の重石を載せて加圧します。
4)果粒内の水分・梅酢をできうる限り外に出た状態に、果粒が縮小し表皮にはシワが生じてくるまで、塩分で引き出された梅酢に梅が完全に埋没させておきます。約14日位がめどです。
5)その梅中へシソを均等に混合して、重石を除いて、2~7℃の冷蔵庫にいれ約3ヶ月静置します。
6)重石が除かれたので、シワシワの梅は梅酢とシソ色素などを再吸着し、原寸大迄パンパン状に膨張し、弾力のある食感がうまれます。約3ヶ月静置の間に、風味や芳香が静かに醸成されます。重石は必ず除去して置くこと。
重石と冷蔵熟成で低塩化を図っています。

カリカリ小梅を作るには、未熟のうちに穫り、10%食塩水の中に投入し落としブタをして重石します。48時間後に小梅重量の0.6%の水酸化カルシウムと2%の食塩を加える。以後毎日2%の食塩を追い塩して最終塩度20%で終える。
 梅の組織物質ペクチンが自分の持つ酸の攻撃で分解し軟らかくなるので塩漬時にカルシウムを加えてペクチン酸カルシウムとして強く硬化しておきます。

保存するらっきょう漬・・らっきょう漬③ [手作り食品]

塩漬 そのまま食べたり、適時適量、塩抜きして甘酢などに漬けかえ

下処理をしたらっきょう、もしくは、泥をきれいに洗い落とし水気をきったらっきょうを容器に入れる。
この場合は、食べる時や漬け汁に漬けかえる時にヒゲ根や先端を切り除き薄皮をむき取る。

塩水または塩をふりかけてから水を加える。

塩分、塩の量はらっきょうの重さの7~10%。1kgのらっきょうに対して大さじ5(約75g)~大さじ7(約105g)。
この塩分濃度は、糠漬の糠床とほぼ同じです。梅干は約20%ですから、その半分程度です。
その塩をカップ2~5の水にいれ、火にかけて溶かす。その塩水をらっきょうにかける。

または、同量の塩の一部をらっきょう全体に手ですり込むようにまぶして、残りを全体にふり掛けてから、呼び水に水をカップ2/3~1程度加える。

梅酢があれば、塩分濃度をみて適度に薄めていれます。

塩漬け初期の塩がらっきょうに浸透するまでに茎葉の成長が続きくので、切り口は乱れます。

落し蓋、皿などでらっきょうが浮き上がらないようにする。らっきょうと同重程度の重し、例えば水を入れたペットボトルを乗せる。らっきょうは液面から顔を出さないように保つと、かびが生えにくい。冷暗所へ。容器の底の方の塩分が濃くなりがちです。塩分を均一にするため、1、2回、全体をかき混ぜてください。



10~14日ほどすると食べれます。


この間に乳酸菌による乳酸発酵が進行します。乳酸菌が酸素がないか少ない嫌気環境で、糖質などを栄養源に生息し乳酸を出します。乳酸は抗菌効果が高く、増えるにつれて雑菌の繁殖が抑えられます。乳酸だけでなく、らっきょうの多糖類の「果糖」分解などらっきょう漬の旨味ができてきます。

この乳酸発酵には二つの経路があります。糖質・1分子から2分子の乳酸が出てくるホモ乳酸発酵と糖質・1分子から1分子の乳酸と1分子のアルコール(エタノール)と1分子の二酸化炭素が出てくるヘテロ乳酸発酵です。らっきょう塩漬では、加えられる10%の塩分に耐性を持った乳酸菌ですが、ヨーグルトのブルガリア菌株のように乳酸だけを作るホモ乳酸発酵菌だけではありません。二酸化炭素もだすへテロ乳酸発酵も行われます。それで、途中、発酵している証しで水面にちっちゃな泡がたくさんできます。



糠漬の糠床は約10%の塩分で、様々な菌の繁殖を抑えています。そして毎日、手をいれ掻き混ぜて空気=酸素を入れて、嫌気環境を壊して乳酸発酵やアルコール発酵を抑制しています。大根の糠漬であるタクアンは、直ぐ食べるのなら3%程度でも可。長期保存ならよく干した大根を使い、塩加減を8%位です。そして、押し蓋をして重石をかけます。塩分で大根から引き出される水分で、嫌気環境がつくられ乳酸発酵がおきます。乳酸の高い抗菌効果で腐敗が防がれます。らっきょう漬でも落し蓋や重石などで空気と触れないようにして乳酸発酵を起こします。


この画像はここからお借りしました。

嫌気環境を高めると塩分はもっと減らせます。焼酎ガメという口の直径が4ー5cmで胴が35-40cm、高さ70cmほどの瓶に漬け込む「転がし漬」「けとばし漬」というやり方では、塩はらっきょうの2%程度しか使っていません。らっきょう10kg、塩210g(カップ1)、砂糖1kg、酢・水各カップ1。
口を栓で閉めて新鮮な空気・酸素が入らないようにします。横倒しにして、毎日数回転がす、蹴飛ばすので「転がし漬」「けとばし漬」。ヘテロ酢酸発酵で生じる二酸化炭素ガスは「二、三日ごとに栓を抜いて中にこもった息を抜く」。そして「一夏越す頃には発酵が止まり、食べられる」 出典

逆に塩分を高くした場合は、乳酸発酵がおきません。最初から20%前後の塩分で漬け込んだらっきょうは、乳酸ができません。保存性に優れていますが、ガリガリとした食感になります。また、脱塩工程が長くなることから、らっきょう本来の旨味や風味が損なわれてしまうそうです。

ラッキョウは適度な乳酸発酵により風味が良くなりますが、発酵が進みすぎると色や風味、歯切れなどが悪くなります。1年以上、常温で保存する場合は乳酸発酵を止めるため、5%程度の食塩を加えます。ラッキョウ重量の5%の塩をラッキョウの表面にふり込み、手で押しながら、塩を漬け液に混ぜます。保存期間が長期になる場合は塩の量を増やす必要があります。

塩味以外の調味液につけかえるには、塩漬らっきょうを食べてみて、塩辛ければ塩抜きをします。漬け変えの際に、漬け汁が染み込みやすいように、両端を少し切り落とします。ヒゲ根や薄皮が残っていたら、この時に取り除きます。
塩抜きを短時間で済ますには、塩漬らっきょうの汁を切り、うすい塩水(1%)に酢少量を加えた中に30分つけ、ザルにあけて広げ、2時問陰干しにして汁けを除きます。
時間はかかっても手間を省きたい場合は、ザルなどにあけて、ボールに受けて流水をかけます。時々食べてみて塩気を確かめます。長期間、流水にさらしてらっきょうが柔らかく、ふやけてしまったなら、鍋にタップリのお湯を沸かして、ザルにいれたらっきょうをザルごと鍋に10秒ほどいれ、引き上げて別のザルにあけて湯きりをして冷まします。

漬け変えのレシピ


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直ぐ食べれるらっきょう漬・・らっきょう漬② [手作り食品]

らっきょう漬は、昔は「らっきょうはたわけでも漬かる」と言ったほど失敗のない漬物。手軽にできます。ただ保存する場所の温度が高かったり、泥落しをし漬ける前のらっきょうに水分が多く残っていたりすると、折角のコリコリの歯ざわりが失われ、ふかふかに柔らかくなってしまいます。そこは注意。

らっきょう漬はコリコリの歯ざわりが命。1年を通して、歯ざわりを楽しみたい分量は「塩漬け」へ。直ぐ食べたい分量は、直漬けや即席漬け。塩漬けは、二、三年たっても味もかたさもそう変わりません。それをそのまま食べたり、適時適量、塩抜きして甘酢などに漬けかえます。

①、直ぐ食べれる漬け方。

先ずは、泥落し根きりの下処理。
泥落してから、


ヒゲ根と余分な茎を切り落とします。


そして、薄皮を取ります。先ずタワシでこすり、

水を変えて、手でらっきょうとらっきょうを擦りあわせて皮を剥くようにすると簡単。


ザルに拡げて水気を切ります。




即席・醤油漬 漬け汁の分量はらっきょう150g分です。
①下処理をしたらっきょう150gを耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジ(600W)に約40秒間かける。
電子レンジは、水分に2.45 GHzの電磁波で運動を起こさせて加熱する装置ですから、らっきょうの細胞内の水分が激しく運動して細胞膜、細胞壁に傷をつけます。漬け液が浸透する入り口となる傷を付けます。

②別の容器に【漬け汁】の材料を合わせ漬け液を調合し、【漬け汁】がフツフツと沸騰させます。
【漬け汁】の材料 うす口しょうゆ、酢、味醂を各1/4カップ。お好みで細切り昆布や赤唐辛子。

③電子レンジにかけたらっきょうと沸騰した【漬け汁】を熱いままで合体させ、冷まします。煮物と同じでさめて行く中で漬け汁がらっきょうの細胞の傷から染み入ります。

④冷めたら、冷蔵庫に。
直ぐ食べれます。最初はらっきょうの辛みが強く残っている場合がありますが、2日間ほどするとやわらぎます。冷蔵庫保存で2ヶ月ほどで食べきって下さい。

カリカリ甘酢漬。 冷蔵庫を空けたい、もっと多く作りたい方。漬け汁の分量はらっきょう1kg分です。

①下処理をしたらっきょう1kgを、消毒・滅菌した耐熱容器(果実酒用瓶など)にいれます。

②別の容器に【甘酢漬け汁】の材料を合わせ漬け液を調合し、【甘酢漬け汁】をフツフツと沸騰させます。
【漬け汁】 酢・・4カップ、砂糖・・300g、塩・・25g。お好みで赤唐辛子など。

③らっきょうの入った耐熱容器に沸騰した【甘酢漬け汁】を熱いままで注ぎいれます。らっきょうが【甘酢漬け汁】の表面から出るないように、ラップでピタリと覆い冷まします。完全に冷めたらふたをして、冷暗所で保存。
熱いままでかけると、カリカリとした歯ざわりです。1週間くらいから食べれれます。

かりかり醤油漬 冷蔵庫を空けたい、もっと多く作りたい方。漬け汁の分量はらっきょう1kg分です。

①下処理をしたらっきょう1kgを、消毒・滅菌した耐熱容器(果実酒用瓶など)にいれます。

②別の容器に【漬け汁】の材料を合わせ漬け液を調合し、【醤油漬け汁】をフツフツと沸騰させます。
【漬け汁】醤油・・1カップ、みりんを2/3カップか酒を1/2カップ。酢を1/3カップほど入れるとさっぱりした味になります。酢とみりん、しょうゆが1:2:3の割合で漬けるので、一二三漬とも呼ばれます。好みで昆布、赤とうがらし、しょうが、青じその葉などを加えてください。

③らっきょうの入った耐熱容器に沸騰した【醤油漬け汁】を熱いままで注ぎいれます。らっきょうが【醤油漬け汁】の表面から出るないように、ラップでピタリと覆い冷まします。完全に冷めたらふたをして、冷暗所で保存。
熱いままでかけると、カリカリとした歯ざわりです。3週間くらいから食べれれます。




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