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無薫蒸の栗 栗は必ず冷蔵を [果物の栄養、防除、扱い方]

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 世界では、くりは、日本ぐり、中国ぐり、ヨーロッパぐり、およびアメリカぐりの4種が栽培・利用されています。天津甘栗は中国で栽培された中国ぐりを材料に使用したもので、日本での栽培は明治以降日本各地で試みられましたが、環境条件に適さなかったため失敗に終わっています。新芽を加害するクリタマバチによる被害が激しく、現在のところ産地として成功している例はほとんどありません。日本で栽培されているくりは、主に山野に自生している「しばぐり・芝栗」から改良されたものです。

山にある芝栗は 種子から発芽した実生栗です。実生栗から大粒の栗は取れません。大粒の良種を選抜し挿し木や鉛筆くらいの太さになった栗の木を台木にして接木で栗畑を作ります。

 山を見ても 山の芝栗が自然に林を作っているところはありません。生態学的に見ると栗は弱者なので、自然に栗の純林ができるということはありません。栗林は人間がつくった林です。

kuri-zyoumonn-c.gif5500年前から4000年くらい前の縄文の遺跡、青森県三内丸山遺跡などでは遺跡の周辺の森は大半が栗の林でした。栗は自然では純林ができませんから、日本では縄文の時代から栗を栽培していたのです。(当時は現在より平均気温が約2℃高く、青森は現在の茨城のような気候だった)


 お手元に届いた無薫蒸栗は、必ず冷蔵庫で保管をしてくださいね!
 
みなさんには少しショッキングかも知れませんが、栗の内部から発生する虫(クリシギゾウムシ、クリミガ)についてお話したいと思います。栗には約70~90%の割合で虫の卵が存在しています。これは、農薬を使用してもなくなりません。

イガができる前に着卵してます。虫はイガができてしまうと近寄ることができないため、イガのない弱い時期を狙って卵を産み付けにきます。そして、ちょうど実が熟する頃に孵化し、虫になって内部の栗を食い荒して外へ出てきます。ですから私たちは、栗を食べると同時に、虫の卵も一緒に食べてしまっているのです。

  台湾では、このクリの中にいる幼虫を「栗虫」と称し、甘くて栄養たっぷりの栗の実を食べて育つ美食家、体長10ミリ足らずですが、むっちり太ったクリーム色の古来よりうまい虫と言われ、食べられてきました。卵のほとんどはタンパク質で構成されていますので、幼虫を古来食べてきたことからも食して毒になることはない。

  果実成熟末期から収穫直後にかけて加害が始まり、輸送中や貯蔵中に被害が現れます。クリ果実への直接被害で商品価値がなくなるだけでなく、産卵された果実が出荷されると市場や消費者に渡ってから幼虫が発生し、産地のイメージが大きく低下します。

  古くから収穫後に水浸法、温湯処理など処理が行われてきました。現在では薬剤(薫蒸剤)による燻蒸処理です。収穫した栗に薬剤を含んだ蒸気を浸透させ、中にいる虫や虫の卵を殺すことにより、栗自体を日持ちさせるためにおこなわれる処理方法です。きちんと収穫後に保冷・予冷をおこない、冷蔵輸送すれば卵の孵化を遅らせ、肉質を良い状態で保持できますから、虹屋の栗は無薫蒸です。安心してお召しあがりください。

お手元に届いた栗は、必ず冷蔵庫で保管をしてくださいね!
 
○発生生態
  クリシギゾウムシは2~3年で1回発生する。成虫は9月上旬~10月中旬に羽化し、果皮と渋皮に間に1個ずつ産卵する。卵は10月上旬頃からふ化し、幼虫が果実を食害する。老熟した幼虫は10月中旬ごろから果実を脱出して土中に潜り、幼虫のまま越冬するが、成虫になるのは2~3年後の秋である。
  クリミガは年1回の発生で、成虫は8月末から9月中旬に羽化する。成虫は羽化後間もなく果梗の基部や葉裏に1個ずつ産卵する。ふ化幼虫は直ちに果実に食入する。老熟した幼虫は10月下旬頃から果実を脱出して落葉下などで繭をつくって越冬する。翌年8月中旬~9月中旬に蛹となり、14~22日で羽化する。 
 

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 一般的に栗の防除(農薬使用)回数は、
①3月 カツラマルカイガラムシ(乳剤=農薬) 
②8月1日頃 モモノゴマダラノメイガ(乳剤)と実炭そ病(水和剤=農薬) 
③8月10日頃 モモノゴマダラノメイガ防除(乳剤) 
④8月19日頃 モモノゴマダラノメイガ防除(乳剤) 
⑤8月末 クリシギゾウムシ防除(乳剤) 
⑥9月初旬 クリシギゾウムシ防除(乳剤)      
⑦収穫後 クリシギゾウムシ燻蒸処理=虫止め(乳剤)  の7回。

そのうち①~④は比較的、発生頻度が少ない。また被害状況がはっきり分かる。ということで、農薬使用を減らすことも可能! 
 問題は⑤、⑥、⑦のクリシギゾウムシ。これが栗に一番多発する虫。しかも、一目ではなかなか分からない。某栗園では農薬を散布しても収穫数の半分近く、このクリシギゾウムシにやられた。つまり、商品化率50%ぐらいでした。拾った栗を半分捨てるのは・・

沖縄産パインの農薬 [果物の栄養、防除、扱い方]

パイナップルは収穫までに3年もかかる上に、2度収穫したら、植え替えという大変手間のかかる果物。沖縄の強い日差しの中で、収穫をしながら、植付けも行うという重労働により収穫される果実です。

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栽培歴の例


沖縄のパインは、県指導の慣行栽培法では除草剤、殺虫剤3回、殺菌剤4回など1年間で8回、植え付けから最初の収穫までの3年間に15回使用します。虹屋の物は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤は使用していません。

開花促進に、植物ホルモンとして多様な生理活性作用をもつエチレン・ガスを出すエテホンETHEPHON(2-クロロエチルホスホン酸)を使っています。前年10月頃(開花希望日の約40日前)に1回使用、1~2日以内に植物体内において、ほとんどが分解してエチレンを発生します。

エチレンはガス化して飛んでしまいますが、エテホンが残留すると有機リン剤の毒性(倦怠感、めまい、痙攣など)が顕われる可能性があります。日本では14作物で使用できます。 詳しく

収穫までの時間が短い作物では基準、トマトは3ppm、ナシや柿など果実は2、みかんは0.2、小麦は2ppmなど設定されています。

石垣島のパインでは、開花前に使用し収穫までに約8ヶ月あります。海外は熟期促進に収穫の始まる20~25日前に使用しています。米国の基準値は2ppmです。日本でも輸入が多いので基準値は2ppmです。

この基準は、暫定的に、外国の基準等を参考に設定された暫定残留基準です。下図は平成15年1月時点の状況です。残留基準がない516ヶの農薬に2006・平成18年5月29日に設定された基準です。これまでに758の農薬などに、コーデックス基準や米国、EU、豪州、カナダ、ニュージランドの基準値などを元に設定されてます。

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正式な残留基準、違反していた場合に回収されたり廃棄される正式な基準を設定するために、必要な手続きである、食品安全委員会への諮問が2013・平成25年3月12日に出されています。6月19日現在で、平成18年、7年前に諮問された農薬の食品安全委員会の審議も終わっていません。何時、終わるのやら?
また、日本のパイン栽培では、熟期促進に収穫の始まる20~25日前に使用はしませんから、事実上、残留はないと考えられます。その日本の事情を反映し現在の2ppmよりもかなり低い基準値を設定できるか、注目です。EUは現在は0.5ppmです。

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設定手続き



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