沖縄での有機塩素化合物・PCPによる地下水汚染=中の壱(POPs条約) [農薬ー害]
2019年5月現在
附属書A (廃絶)28
附属書B (制限)3
附属書C (非意図的生成物)7
沖縄での有機塩素化合物・PCPによる地下水汚染=上 [農薬ー害]
この原因は、米軍払い下げ物資を扱う業者が、具志頭村内の採石場跡のバガス(サトウキビの絞りかす)捨て場にPCPを不法に投棄したためと分かりまし た。この業者はPCPを防腐・防虫剤として転売するために米軍から大量に買い取ったのですが、思ったようには売れず、屋外に放置しているうちに容器も腐食 し、処置に困ってドラム缶5千本分ものPCPを、バガスが捨てられた穴にこっそり投棄したのでした。掘削されほとんどむき出しになっていたサンゴ石灰岩の 地層に注がれた有害物質は、沖縄本島南部の豊富な地下水を蓄える地下水脈に入って広範囲に広がり、最も遠いものでは2kmも離れた水源まで汚染してしまっ たのです。この業者は、目に見えないところでまさかこんな深刻な事態が起ころうとは思いもよらなかったのでしよう。
現地4村では翌朝から水道の供給が全面的にストップされました。民家の井戸も汚染されて使えません。汚染発覚直後には、生活になくてはならない水が全く 使えないという状態になりました。人々は、1戸当り20Lというわずかな水の配給を受けるため、給水車が来るのを道端にしゃがみ込んで長い間待ったそうで す。こうした中、汚染が分かっていながら、井戸や湧水の水を洗濯などにはやむなく使う人もいました。沖縄本島中北部から水をひく水道公社からの配管が急遽 つながれるまでのおよそ20日間、水道が全く使えない生活が続きました。
さらに、PCPが染み込んだ300トンものバガスを除去するのもたいへんな作業で、米軍の火炎放射器を借りて現場で燃やしてしまえというとんでもない案 まで真面目に検討されました。当時の新聞を見ると、風邪をひいた時に使うような白いマスクにゴム手袋をつけただけのたくさんの作業員が、汚染されたバガス をビニール袋に詰めている写真が載っています。この作業の現場では、「シンナーのような刺激性の強いにおいがぷんぷん」し、「フラフラ目まいがするので1 時間ことに交替」して作業したと書かれ、今の感覚からすればとても危険な作業だったようです。報じられる範囲では住民や作業員の健康被害は起こらなかった。
ネオニコチノイド系農薬の子供らへの神経毒性① 受容体 追記① [農薬ー害]
有機リン系は、神経伝達物質アセチルコリンを分解する酵素、この伝達物質が結合た受容体で興奮状態になっている神経細胞でこの伝達物質を分解して神経興奮を終わらせ沈静化する働きの酵素を阻害します。その結果、不安、興奮、集中力欠如、持続力欠如、多動といった中枢神経性の中毒症状がおきます。昆虫(害虫)も哺乳類(人)も神経の仕組みは同じですが、分解する酵素の量が昆虫は少ないので人よりも少ない量で中毒症状を起こし死に至るという選択毒性を持つので重宝されました。1971年に禁止されたDDTなど有機塩素系に替わる農薬として拡がりました。
しかし、出生前の(つまり胎内での)曝露によって、広汎性発達障害、2~3歳時点での知的な発達の遅れ、知能テストのような検査では分からないが、高度なメンタルテストで発見される知能の発育の際立った遅れ・異常があらわれるリスクが増える。出生後の曝露では、問題行動、短期記憶や運動能力の低下、反応速度の遅れを伴なうなどの調査結果がでてきました。それで、米国の規制が行われました。
疫学研究からは、母親の特定の遺伝子多型のタイプでみるとハイリスクグループが見出されています。この北海道スタディという疫学研究では、妊娠中の母親の喫煙で出生時体重は平均では135g低下です。母親が遺伝子多型αのグループは211g、遺伝子多型βのグループは170g、α&βでは315g。妊娠中喫煙しなかった母親では遺伝子多型によって出生時体重が低下することはなかったのです。(記号は仮)
ネオニコチノイド系農薬の子供らへの神経毒性を考慮した規制 [農薬ー害]
従来のやり方は、動物実験などで動物での影響が出ない一日当りの摂取量、無影響量・無毒性量(NOAEL)を割り出します。それを人間と実験動物との主の間の格差として10分の一、人での個人差として10分の一にする、安全係数100で無毒性量(NOAEL)を割り算して人での無毒性量(NOAEL)を算出します。(「不確実係数1/100をかける」とも言います。)それが人のADI・一日許容摂取量、一生毎日摂取しても毒性が現れないと考えられる摂取量を設定します。
まず、遺伝子多型による高感受性、ハイリスクグループは、従来の人での個人差として10分の一の枠内に収まるかの検討が必要です。北海道スタディは遺伝子多型の個人差で約3倍、他の疫学研究では、喫煙量が1日10本までの場合では、胎児の体重は約90グラム減少で20本以上で533グラム減少と6倍差が出ています。これを合わせると20倍近くの個人差がありえます。
神経毒、特にヒトの発達神経毒性(Developmental neurotoxicity, DNT)の検出は、米国環境保護庁・EPA (1998年、OPPTS 870.6300) と経済協力開発機構OECD (2007年、TG 426) の二つの公式のDNT 試験ガイドラインがあります。OECDは10年ほど後に制定されていますから、その間の進歩を取り入れ、現時点では化学物質の発達神経毒性を検出する試験法としてはEPA ガイドラインよりもOECD ガイドラインの方がより優れているとされています。
米国では97年4月に大統領令(クリントン)「私は子供に安心して食事をあげられるようにしたい。・・子供たちは自分で考え自分たちを守る術を知りません。・・使用される農薬が子供を危険にさらす可能性があるのであれば,これを使用するべきではありません。信頼できるデータがない場合には(従来のやり方で出された基準値は使わず、その)基準値の10分の1以下とします」を出しています。
大統領令にあるように信頼できるデータがあれば、10の不確実係数 (Uncertainty factor) を見直します。そのデータを得る方法として98年に制定されたのが米国環境保護庁・EPAのDNT・発達神経毒性試験ガイドラインOPPTS 870.6300です。
脳の機能発達には、多種類のホルモンやアセチルコリンなどの神経伝達物質により、莫大な数の遺伝子発現が時空間的に精微に調節され、神経回路が形成されることが必要です。実験動物と人間では神経発達の次元が機能的あるいは構造的 (形態的) にも著しく異なるでしょう。行われた発達神経毒性DNT試験が少ないことと相まって、この試験での病理検査や行動観察結果、そこで見出された神経発達の異常が、ヒトのでみられる注意欠陥多動性障害・ADHD、学習障害あるいは自閉症などの発達障害との関連を十分に評価することはできていません。
参照 化学物質の発達神経毒性評価手法に関する情報収集調査報告書
間違えました。ー クロチアニジン・ネオニコチノイド系神経毒に関するパブコメ [農薬ー害]
有機リン系農薬の子供への毒性、注意欠陥多動性障害・ADHDといった発達障害リスクを高めることが明らかになった1990年代後半、、「私は子供に安心して食事をあげられるようにしたい。・・子供たちは自分で考え自分たちを守る術を知りません。・・使用される農薬が子供を危険にさらす可能性があるのであれば,これを使用するべきではありません。信頼できるデータがない場合には(従来のやり方で出された基準値は使わず、その)基準値の10分の1以下とします(クリントン大統領)」という政策を米国は打ち出しています。(96年の食品品質保護法・FQPA、97年4月大統領令)
私はこの毒性から、1~6歳の幼少児、妊婦さんの摂取量を低くする規制政策を求めます。日本の農薬の試験に発達神経毒性DNT 試験が導入され、客観的で信頼できるデータをもとに判断できるまで、緊急的に大幅に基準値を下げることを求めます。
引き下げ幅は10分の1以下が妥当なのか、100分の一が良いのかは判断に迷うところですが、1~6歳の幼少児、妊婦さんの摂取量を低くする厳格化が必要だと考えます。間違っても三つ葉の残留規制値は1000倍、蕪の葉は2000倍に上げるなどの今回の規制値改定案は、容認できません。
「一旦、緩められた基準を再度厳しくすることは難しい。この農薬の子供ら幼少者に対する悪影響、神経毒としての毒性が明らかになってから規制の再厳格化となるであろうが、それはそうした被害者が発生し社会的に認知され問題となるまでは放置するということでもある。この農薬の残留基準を緩める改定の必要性が日本農業ではないのだから、そのような反倫理的な道を拓く改定は許されない。」私の送付意見
食品中の農薬(クロチアニジン・ネオニコチノイド系神経毒)の残留基準設定に関するパブコメ [農薬ー害]
中国産の輸入野菜から残留農薬を検出 2002-08 [農薬ー害]
中国産の輸入野菜から残留農薬を検出
6種、最大で基準の4.3倍
昨年2001年から、輸入の中国産野菜の農薬の残留、それも日本の基準値の3倍とか検出され問題となっていました。大手スーパーや商社の輸入元は、あわてて自主検査をはじめたりしました。
厚生労働省は「中国政府に問合せ・・(中国)国内流通野菜の50%近くから残留農薬が安全基準値を超え、その結果、多数の中毒患者が発生している等の事実が判明しました。このため、本年1月4日から1月31日までを「中国産野菜検査強化月間」として・・100%のモニタリング検査を実施。」
食品衛生法に基づき全国十三力所の検疫所が、一月に輸入届け出のあった二千五百十五件についてサンブル検査を実施。その結果が、オオバやニラ、プロッコリー、ケール(青汁の原料)など六種類の野菜から最大で基準値の四・三倍に当たる残留農薬が、フェンバレレートやクロルピリホスなどいずれも殺虫剤が検出されました。これらは神経毒で、ヒトに対しても、例えば子供の神経・精神の発育に悪影響をあたえる恐れから、クロルピリホスは家庭内(シロアリ駆除剤)では使わない規制がかけられようとしています。
中国では、①使用される農薬は一千種類以上、年間二十数万トン、化学肥料は四千二百万トン。農薬には猛毒の有機リン系殺虫剤メタミドホスなど国際的に使用が禁止・制限されている農薬があり、それによる汚染が確認され、
②中国本土で「問題菜」(香港では「毒菜」)と呼ばれるこれら汚染野菜や果物で、中毒患者が中国国内だけで年間十万人に上り、呼吸困難などの急性中毒症状で死亡するケースが相次いでいる。
③農薬のほか、化学肥料の過剰使用による土壌、水質汚染が生じているが、④農業省などの全国規則は劇薬の新規登録の規制のみ。
米国の食品医薬品局による中国食品の輸入差し止めが、2000年八月から2001年一月の間に634回など中国産野菜・食品が安全性に問題があることは国際的に周知のこと。それを今まで日本政府は黙認。「貧乏人は麦を食え」精神は脈々と受け継がれ、今は「貧乏人は毒菜・問題菜を食べよ」のようです。ともあれ、「中国政府の調査では、夏から秋に出回る野菜、果物の農薬汚染がより深刻だ」です。