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人工蜂蜜も天然蜂蜜も同じ扱い 伝統の甘味、蜂蜜 2007-21 [甘味ー砂糖、蜂蜜]

2007年5月22日小針店で印刷・配布した畑の便りの再録です。



人工蜂蜜も天然蜂蜜も同じ扱い


 もう一つは、これを混ぜても検出できないのです。例えば、精製はちみつに1%のアカシア蜂蜜を入れ、花粉、香料、ビタミンなどを加え色合いや匂いを調整した人工物と、100%アカシア蜂蜜と現在の分析技術では区別できないのです。そして全国はちみつ公正取引協議会は、この人工物も天然蜂蜜と同じ扱いにしています。両方に「公正マーク」のお墨付き添付を公正取引委員会は認可しています。ただし、精製はちみつを使用したものには「純粋」や「Pure」という文言は使えません。マー、分析しても分からないのですからね。




農水省などの摘発


 2006年10月に、農水省は異性化糖を最大で約二割使用しているにも関わらず、商品名に「純粋」と冠して、あたかも純粋な蜂蜜であるかのように販売した、不正表示が確認されたので、「加工食品品質表示基準第6条第3号=その他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示=の表示禁止事項に該当することから、同社に対しJAS法第19条の14第1項の規定に基づく指示を行いました。」と発表しました。


 農水省によれば、サンプルが残っていた2004年4月から2006年7月に調査に入るまでに約1300トンの販売を確認。このボーソーハチミツ株式会社は、「蜂蜜販売業者の末端で起きている価格競争が主な原因です。異性化糖は蜂蜜よりも(1kg50円前後と)原材料費が安いので、異性化糖を混ぜるとその分だけ安い蜂蜜ができるのです。また、(異性化糖は加熱すると着色するので)蜂蜜の色の調整にも使っていました。異性化糖は、とうもろこしのでん粉からとれる糖で、果糖ブドウ液糖。砂糖や水あめと違い、異性化糖の成分は蜂蜜と良く似ているので蜂蜜に加えても成分や味は余り変わりません。今後このようなことのないよう十分注意いたします。」と答えています。


2007年5月14日 読売新聞の記事

社団法人「全国はちみつ公正取引協議会」(東京都中央区)の会員業者の商品に人工甘味料などの混入疑惑が発覚した問題で、同協議会の幹部は14日、都内で記者会見し、1982年以降25年間、混入の疑いを把握してもその都度、十分な調査を行ってこなかったことを明らかにした。
 同協議会は、昨年度の検査で陽性となった業者に対する調査を始めており、故意による混入が確認されれば、処分や業者名の公表を行う考えだが、消費者団体からは、対応の甘さを厳しく指摘する声もあがっている。



 経済産業省内で会見した藤井新三副会長は「お騒がせしたことを申し訳ないと思っています」と切り出し、「混入が疑われる会員に、警告・注意などの措置を講じてきたが、公正取引委員会への報告を怠り、十分な調査を尽くしていなかった。反省している」と謝罪し、対応の甘さを認めた。
 同協議会によると、異性化糖(でんぷんなどを原料とする人工甘味料)の含有をチェックする定期検査は82年から始まった。陽性反応が出た場合、文書で「注意」や「警告」を出すだけで、規約で定める事情聴取など詳しい調査は行っていないという。



 同協議会の事務局長は代々、公正取引協議会制度を熟知する公取委OB。会見に同席した岡本光治事務局長は「規約は知っていたが、定期検査は品質管理の一環でやっており、自発的に改善してもらうという前提があったので……」などと弁明を繰り返したが、2000年度以降の検査で3回にわたり注意を受けた業者もいたという。
 報道陣から“身内への甘さ”を指摘されると、藤井副会長は「そう思われても仕方がない。意識的に偽物を作ったのかどうか、調査をやれば区別できたかもしれない」と語った。
 今回の調査対象は、06年度に異性化糖などを調べる検査で陽性となった商品を販売した会員業者14社のうち、すでに退会した1社を除く13社。各社に対し、事実関係を報告する文書の提出を求めており、その内容を精査したうえで現地調査を行う。
 藤井副会長は「故意による混入などが確認できれば、厳正に対処する」と述べ、会員業者の処分や業者名の公表を検討する考えを示したが、05年度以前の検査で陽性だった商品については調査は行わないという。


 ④の”加糖はちみつ”が①の天然の”はちみつ”に化けていたケースです。玉川大学の中村純教授は、「以前は単に砂糖や水あめを加えた蜂蜜がまがい物の蜂蜜として出回っていましたが、今では糖の組成分析によって比較的簡単に検出することができるので、現在、単に砂糖や水あめを加えただけのまがい物の蜂蜜を問題視する必要はありません。
 近年、問題となっているまがい物の蜂蜜には、砂糖や水あめの代わりに異性化糖が使用されています。」


 異性化糖はでん粉から作られる、ぶどう糖と果糖とごく少量のオリゴ糖からなる液糖です。清涼飲料などの原料欄に「ぶどう糖果糖液糖」または「果糖ぶどう糖液糖」と表示(50%を超えるほうが先書)されます。でん粉を加水分解してぶどう糖を作り、その一部を酵素で果糖に変換した物です。ブドウ糖と果糖は、分子内の原子は同じです。化学的には「分子の原子数を変えないで、分子内の結合状態を変える」ことを異性化といいます。


 中村教授は「異性化糖が開発された当初、原料はトウモロコシに限られていました。ですから、炭素安定同位対比法を用いて、蜂蜜中の炭素の同位対比が蜜源にはなり得ないトウモロコシ型かどうかを判別することで、異性化糖混入を見分けることができました。


 しかし、異性化糖の開発技術が進み、トウモロコシ以外の作物からも異性化糖が作られるようになってからは、炭素安定同位対比法では的確な判別が難しくなりました。


 そこで、最近では薄層クロマトグラフィーを使って蜂蜜に含まれているオリゴ糖を分析し、異性化糖の混入を見分ける方法を用いて検査することもあります。しかし、この方法を用いた場合、特定の蜜源に由来する蜂蜜では誤った検査結果が出易いといった問題もあり、現状では異性化糖の混入を確実に見分ける検査方法が確立されているとは言えません」


 異性化糖は防黴効果があり、高濃度でも結晶性が少なくて安定なので、加えても蜂蜜の防腐性を余り損なわず、透明な色合いで固まらないという消費者の要求に答えた品質になります。


 ボーソーハチミツは蜂蜜を瓶詰めする工程で異性化糖を加えて量を増やしていましたが、別に蜂蜜に異性化糖を食べさせ、安く採れた蜂蜜を天然ハチミツとして売るケースもあるそうです。実際に花畑(蜜源)に蜂を放して蜜を採取するわけではないため、花畑を維持・移動する手間が省け、花のない時期、場所でも安定して採取できるのです。


異性化糖について




まず蜂蜜の日本農林規格・JASの設定が先


 今回の事態に小林農林水産事務次官は「(ボーソーをきっかけに協議会に)再調査するよう公取委の方で指導した」「不適切な表示につきましては今後とも私どもJAS法という立場で、対応を適切に行ってまいりたい」。しかし、この問題の根底には天然物も人工物も一緒にしている蜂蜜の定義があります。JAS法というなら、まず蜂蜜の日本農林規格・JASの設定が先です。


 常識的にも、国際的な規格「ミツバチが集め、ミツバチが持つ特殊な物質による化合で変化・貯蔵・脱水し、巣の中で熟成されたもの」に適合した、先の規約でいえば蜂蜜は”はちみつ①””巣はちみつ②”と、”巣はちみつ入りはちみつ③”、それ以外は蜂蜜加工品・人工蜂蜜など別の分類にする。そうなれば、蜂蜜に異性化糖を食べさせた物も蜂蜜から排除されます。


 蜂蜜に関して養蜂農家の団体(農水省の天下り先)と販売業者の全国はちみつ公正取引協議会(公取委の天下り先)があり、先細りしていく天下り先の霞ヶ関レベルの争奪戦に表示問題が使われているとも見えます。


 はたして消費者や販売業者が安心して蜂蜜を食べれる、販売できるようになるでしょうか?


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