CNN「BSE由来疾患、英で3万人が感染の疑い 献血で拡散の恐れも」を解読 [牛‐肉、乳、飼育]
こんな安全検査で、米国産豚肉・牛肉は安心して食べれる?? [牛‐肉、乳、飼育]
非定型BSE(狂牛病)・・米国4例目の影響 [牛‐肉、乳、飼育]
米国産背骨付き牛肉、米国報告書では45kg、成田では55kg発見米国産背骨付き牛肉、米国報告書では45kg、成田では55kg発見 [牛‐肉、乳、飼育]
米国産牛肉、BSE食品安全委員会の輸入OK答申は破綻した?? 先週(2006/1/30-2/5)の米国BSEニュースやぶ睨み [牛‐肉、乳、飼育]
日本でただ一人、人の狂牛病の患者さんの発症経過 2006-07d [牛‐肉、乳、飼育]
日本でただ一人、
人の狂牛病の患者さんの
発症経過
一昨年亡くなった日本で唯一、人の狂牛病vCD患者さんの学問的公式論文を英国医学雑誌・ランセットに山田正仁教授(金沢大・厚生労働省クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)サーベイランス委員会の委員長)が、発表しました。
論文では、「患者がいつ病原体に曝されたか不明確である。彼が英国を訪問したとき、英国のBSE発生はまだ増加中で、彼が神経組織からのBSE病原体による汚染に結びついたかもしれない機械的回収肉の含む食品を食べたことが確認された。しかし、フランス、その他のヨーロッパの国[複数]、日本での暴露は排除できない。もし彼が英国でBSE病原体に(1回の)暴露されたとすれば、我々はそのようなピンポイントの暴露とvCJD発症の間の潜伏期間は11年半になると計算する」とし、その経過から人の狂牛病vCD(変異型CJD)の見逃しを防ぐために世界保健機関のvCJD診断基準を見直を提言しています。
この男性は、1990年代前半に英国で24日、フランスで3日、当時は狂牛病発生の報告がなかったヨーロッパの他の国で2週間を滞在しました。手術・輸血歴はなく、家族にプリオン病の経歴もない遺伝的素因がない人です。
発症 2001年6月(当時48歳):漢字を書くのが難しくなる。
2001年10月:短気、人柄の変化、記憶障害などの心的症候を示し、脚部の感覚異常、運動失調、痴呆、異常行為がこれに続いた。
2003年1月:運動失調、痴呆、筋過反射の症状が見られ急速に運動・認知機能が低下した。
2003年10月:無動性無言、ミオクローヌス(筋の一部、あるいは全体が、突発的に速い不随意収縮をくり返す状態)・錐体路徴候が現れた。
2004年12月:肺炎で亡くなった。解剖はvCJDの特徴を発見した。
生前のMRIや脳波図などは、CJD(人間の海綿脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病)の可能性を示していました。死後の解剖で判ったのです。それで診断基準を見直しを提言しています。
vCJDは輸血で拡がりますが、血液検査ではわかりません。その病像は十分に解明されてません。人間の海綿脳症CJDと誤診される可能性が高いのです。厚労省はCJD患者の中に含まれ得るvCJD患者の発見のため確定診断に不可欠な解剖経費の補助、国と都道府県が4月から、一件当たり25万円を補助するとしています。
日本研究者 WHOのvCJD診断基準見直しを提言 vCJD患者見逃しを防ぐため
違法な背骨付き肉が来た理由 農水省の見解 2006-07c [牛‐肉、乳、飼育]
畑の便り №06-0 2006年2月小針店で印刷・配布の再録です。
3月6日、農林水産省の
「「日本向け牛肉輸出証明プログラムに関する調査結果・対策報告書」に関する米国政府への照会について」
が発表
元本⇒http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20060306press_5b.pdf
USDA requested that veal be an eligible product to ship to Japan. On December 8, 2005, USDA Foreign Agricultural Services was informed by Japan that veal must conform to the requirements of the export verification program for Japan. A Japanese audit team visited the U.S. in mid-December, at which time the addition of veal was discussed. As it had done with beef products, Japan required all veal products to be approved under the USDA Export Verification (EV) Program for Japan.
USDAは子牛肉は適格性を有するよう求めていた。2005年12月8日、USDA海外農業局は日本向けの子牛肉がEVプログラムの条件を満たさなければならない旨の連絡を日本から受け取った。日本の査察チームは12月半ばに米国を訪問し、その時に子牛肉の追加に関して話し合われた。牛肉製品と同様に日本は全ての子牛肉製品がUSDAのEVプログラムの下で認定されるべきことを要求した。
今回の質問では「USDAは子牛肉は適格性を有するよう求めていた。」ことには農水・厚労省は言及し修正を求めていないから、こうした要求があったのは確かですね。この文のまえには交渉の経過が時系列で述べてありますが、それを見ても位置の時点でこれをUSDAが持ち出したのかわかりませんが。
問題なのは日本側の対応、回答。USDAの要求をきっぱりと断っていれば、その旨記して削除を求めればよい。今、表沙汰になると困る言質を米国に与えてしまっている。その内容はプリオン専門部会の審議の流れを想起すると概ね見当がつきますが、その言質が7月のFSISの「子牛はEVプログラムの対象外」見解を導き出し、今回の違反を導き出している。今回の違反の端緒でこれが明らかのなると、日本政府、農水・厚労両省、小泉内閣の責任まで追及されますよね。
その言質は米国側も明らかにしないで、日本政府牽制に使っている。「問題の言質を表沙汰にしないから、検査官、施設の個人的、個別的なミスが原因ということで、再研修で収めよう。」
それに対する日本側の回答が、「修正を検討されたい。」表現を和らげて頂けませんかとお願いしているわけですね。
「他の対日輸出施設の認定及び検査は適切に行われ」たか米国に問うているが、それを担当する部署AMSに対する2
AMSに関する事項の項目の質問は、この報告書の中に既にある程度の資料が出ている。それを踏まえないで、抽象的な質問をしても、米国はこの報告書以上の内容のある返答をする必要が無い。4 FSISに関する事項や3 施設に関する事項でも同様。
特に問題なのは、「今回の事案がなぜ生じたのか、各段階における問題点を総括的に整理、検証すべきではないか。」といいながら成田では55kg見つかっている背骨付き肉が、報告書では45kgとなり明らかに調査が不十分なのに追求していない。これでは「今回の事案がなぜ生じたの」分かるはずが無い。
つまりこの質問の立て方は「原因究明はこの報告書で十分」というメッセージになっている。
総括すると、この質問は 米国政府の「問題の言質を表沙汰にしないから、検査官、施設の個人的、個別的なミスが原因ということで、再研修で収めよう。」提案を受け入れるというメッセージになっている。昨日の国会審議では民主党も追及をやめたことだし・・
(1)の「書面審査・現地査察において、どのような確認を実施しその実効性を含め妥当と判断したのか。G社、A社の評価結果を示されたい。」は下記がその評価結果。
Golden’s AMS Quality System Assessment Desk Audit Atlantic’s AMS Quality System Assessment Desk Audit
http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit6.pdf
Golden’s AMS Notification of Audit Results Golden’s AMS Quality System Assessment Initial On-Site Audit
Atlantic’s AMS Notification of Audit Results Atlantic’s AMS Quality System Assessment Initial On-Site Audit
http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit8.pdf
(2)の 「査察を実施したAMSの監査官は、QSAプログラムの認定に関し、どの程度経験や理解があったのか。子牛肉に関するQSAプログラムやと畜場と部分肉処理施設が別の企業である場合のQSAプログラムの満たすべき内容について、十分な理解があったのか。」については下記に記述がある。
MOI AMS Auditor Darrell Wilson
http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit7.pdf
MOI AMS Auditor David Hildreth
http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit11.pdf
(3) の「A 社及びG 社は、12月15日に正式に申請し、1月4日に書面審査、1月6日に現地査察が行われ、即日認定されている。これは、非常に短期間での認定と思われるが、書面審査・現地査察において手順に即して適切な評価が行われなかったのではないか。」については
MOI AMS Audit Branch Chief James Riva http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit27.pdf
MOI AMS Branch Chief James Riva http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit36.pdf
違法な背骨つき肉が来たわけ 米国報告書 2006-07b [牛‐肉、乳、飼育]
3月3日に、米国農務省の
「日本向け牛肉輸出証明プログラム
に関する調査結果・対策報告書」
の日本語訳(仮訳)が公表
全体版PDF早速に、誤訳、の指摘が
wattanaさん。 笹山登生の掲 示 板:[3581]http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi
●1月20日に成田空港で確認されたせき柱つきの子牛肉は、Hotel Rack(7ribs)1箱とTrimmed Loin(4x4)2箱の合計3箱です。
●この3箱、そして同類に分類されるアイテムの日本語訳(仮訳)を見ると次のようになっています。
①Hotel Rack(7ribs)>>ホテルラック(7片)
②Hotel Rack Chop-Ready(7ribs)>>ホテルラックチョップ-準備済み(7片)
③Trimmed Loin Boneless(1x1)>>トリムドロイン骨無し
④Trimmed Loin(4x4)>>トリムドロイン
●トリムドロイン(整形ロイン)の日本語訳はいいとして、ホテルラックの日本語訳は、ちょっといただけません。以前にご紹介した米国農務省認定のIMPS Series300 for Fresh Veal and Calfをぜひ参照して、当該規格を正しく日本語訳して欲しいと思います。
★IMPS Series300を見ると、Hotel Rackには7ribs=肋骨7本付き(5番目から11番目の肋骨)と6ribs=肋骨6本付き(6番目~11番目)の2規格があります。したがい、7ribsは「ホテルラック(肋骨7本付き)」、または「ホテルラック(7本リブ)」と訳すべきです。7片と訳すと、1箱の中にHotel Rack(7ribs)が7片入っていたと勘違いします。
★Chop-Readyを「準備済み」と訳したのには驚きました!!子牛肉の部位についての知識の無い方が訳されたのでしょうか?
①chopとは厚切り肉のことで、Hotel Rackは、rib(肋骨)ribの間でChop(切る)して、骨付き厚切り肉になります。フランス料理店などの「骨付き子牛肉の・・・」といった料理に使われます。
②IMPS Series300の14ページにChop-Readyについての説明があります。簡単に訳すと「チョップレディとは、背骨が除去され、ナイフを使って簡単にチョップに加工ができる規格(カット)のこと」となります。 ※(背骨が付いているとナイフで簡単に切ることができません)
③したがい、Chop-Readyを日本語に訳したいなら「チョップ(厚切り肉)用」となると思います。
●せき柱が付いていることが確認された子牛肉の規格です。今回の問題を検証するに当たり最も重要な単語の一つにもかかわらず、日本語訳がいいかげんでは困ります。それとも、(仮訳)とした理由は、日本語訳に自信が無かったからなのでしょうか・・・
以上は笹山登生の掲 示 板:[3581]http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi
虹屋としてはcarcassesの訳は枝肉??ここでの用語を次のように整理して使ってみます。
○ 丸枝肉 セパレートする前の家畜を屠殺(とさつ)後、放血して皮をはぎ、頭部・内臓と四肢の先端を取り除いた骨付きの肉 米農務省の規格では”Carcass”
○ 半枝肉 脊骨に添って左右に二分したもの、半丸。大辞林 第二版 (三省堂)によれば普通は枝肉はこれを指します。米農務省の規格では”Side Carcass”
○ 屠体 内臓肉をとられていない屠殺(とさつ)され頭部、皮がはがれた状態、 新英和中辞典 第6版 (研究社)によればcarcass の第一義は(獣の)死体; (特に内臓をとった食用獣の)胴体
米農務省本文でもこれらが混同されていることと農水省版では枝肉と訳してあるので混乱・誤訳・不適切な和訳が起きているのではないでしょうか。
農水P25
AMS QSA プログラムの下で、ゴールデン社が認証済みの枝肉から内臓を輸出しようとした場合、全生産過程を通じて、適切な方法によって製品を識別(原料及び/又は完成製品)し、識別された全製品の記録並びにそれらの加工履歴に関する記録を保存するための文書化された手続きが必要とされる。
本文P22
Under the AMS QSA Program, if Golden had intended toexport offal from the certified carcasses, they would have been required to havedocumented procedures to identify product (raw materials and/or finished product) bysuitable means throughout production and to maintain records of all products identifiedand records of all changes of identities.
枝肉、丸であれ半であれ内臓肉はとれません。 offal from the certified carcasses の carcasses も 丸枝肉というIMPS Series300の定義どおり(複数形)ならoffal内臓肉はとれません。上記の場合は、屠体が適切ではないでしょうか。
農水P10
またはP9 2005 年2 月18 日: 日本大使館はペン次官に日本政府がUSDA に対して、輸入米国産牛肉が20ヶ月齢以下であることを保証するA40の生理学的成熟度手法の論拠を補強するため、20ヶ月齢以上の牛に関して更に200頭の枝肉について試験結果を提供し
本文P10
February 18, 2005: Japanese Embassy officials informed Under Secretary Penn that theGovernment of Japan would like USDA to provide test results for another 200 carcasses for cattle older than 20 MOA in order to strengthen their defense of A40 physiologicalmaturity to serve to ensure that the age of imported U.S. beef is 20 MOA or younger,
A40の判定が背骨の断面を見て成熟度、色合いから判定するので、200 carcasses は 丸枝肉か半枝肉の複数形
問題なのは本文P18
On December 15, 2005, Elvira Cunha, Quality Assurance Manager, formally requested the services of AMS in an effort to obtain EV certification for slaughter only, of veal carcasses for Golden Veal Corporation and fabrication and distribution of veal products by Atlantic Veal and Lamb Incorporated.
農水の訳では
2005 年12 月15 日、品質管理責任者であるエルヴィラ・クーニャはゴールデン社のための子牛枝肉を得るためのとさつのみのEV 認定、そしてアトランティック社の子牛肉製品の解体及び流通に関するEV 認定を取得することについてAMS に正式に要請した。
veal carcassesを農水のように子牛の枝肉と訳すと、アトランティック社、日本シ社は資格・許可も取らずに、違法に内臓肉などを輸出入しようとしていたことになります。 これを屠体と訳せば、全く意味合いが違ってきませんか?? どちらが妥当なのか?
牛肉問題で米国政府 輸入早期再開に固執 2006-07a [牛‐肉、乳、飼育]
牛肉問題で米国政府
輸入早期再開に固執
2006年03月01日付 日本農業新聞
牛海綿状脳症(BSE)対策の不手際で米国産牛肉の輸入が停止されている問題で、米国政府は28日、6項目にわたる日本農業新聞の質問状に回答した。
日本向け牛肉にせき柱(背骨)が混入した責任を認めながらも、「こうした誤りの再発を防ぐための数々の対策をとってきた」と、あくまで輸入の早期再開に固執する姿勢を変えていない。また、日本政府が求めていた4項目の質問に対し、早急に農水省に回答する方針を明らかにした。
日本側の事前査察には「前向きに検討する」とした。
米国政府は大使館を通じ「誤りが繰り返される可能性を最小限に抑えるために問題点を特定したが、私たちの(対策)システムは全体とすれば健全なものだ」と主張。今回の事件が例外的だとして早期再開を求めた。
日本の消費者が貿易再開に不安を持っている点に対し、「(消費者が)感情ではなく、事実に基づいて判断することを望む」「多くの日本人が米国産牛肉を食べたいと考えている」などと述べ、米国の主張の“正当性”を強調。「近い将来に(米国産牛肉の輸入が)再開されるべきだ」と断言した。 日本が行っている全頭検査を、「若い牛に対するテストは信頼性に欠け、事実上何の意味もない」と強く批判した。
■甲斐諭九州大学大学院教授の話 米国政府は輸出市場である日本の消費者の不安をもっと深刻に受け止めてほしい。もう一度牛肉貿易を再開するためには日本政府のきちんとした査察が欠かせない。輸出できる施設を設備の整った大手に限るなどの条件が必要だ。日本政府は米国が飼料規制を強めることを要求するべきだ。 以上1面
3面解説
不安解消できず 「全頭検査」を切り捨て/牛肉問題で米が回答書 牛肉問題に対する今回の日本農業新聞への米国政府の回答は、日米合意に反し米国産牛肉に背骨が混入したことに対する米国側の「誤り」「公式謝罪」で始まるが、あくまで輸入の早期再開を求める内容だ。
安全性に不安を抱く日本の消費者や生産者に納得できるものとはとても言えない。
農務省が17日に公表した調査報告書で、輸出を担当する検査官らが日米で合意した内容を知らなかったなど、ずさんな対応が明らかになった。強硬な姿勢で日本に貿易再開を要求した場合、ただでさえ不信感を抱く日本国民ににそっぽを向かれ、再開が遅れてしまうことを懸念してのことだろう。再開前に日本側の事前の検査を受け入れる方針を表明したのは、そうした反発を警戒してのことだ。
しかし、混入事件が、単なる例外的なミスであり、農務省が明らかにした「対策」で十分に再発は防げると断言。回答全体は米国の牛海綿状脳症(BSE)対策の「システムは全体とすれば健全」という基本的な考えで一貫している。日本の全頭検査を「事実上何の意味もない」と切り捨てたことには、日本国内から反発の声が出そうだ。
米国政府の立場は、米国の牛肉はそもそも安全という考えが根底にある。日米政府で合意した「20カ月齢以下に限定」「特定部位除去」という日本向け輸出プログラムさえ守れば問題なく、今回の調査報告書に盛り込んだ対策の徹底と日本側の事前査察で、早期再開にこぎ着ける、というシナリオを描く。一方で、消費者、生産者の反発で日本政府は「調査報告書では不十分」として、早期再開には慎重姿勢だ。
回答は、米国が国内のBSEリスクをきちんと直視していないことを改めて示した。飼料規制強化など、日本国民の食の安全や納得を得られる抜本的な対策を抜きに、再開だけを急ぐべきではない。 (編集委員・山田優)
米国BSEニュースやぶ睨み 2006/2/7より [牛‐肉、乳、飼育]
これで良いの?食品安全委員会、
米国BSE調査、10分の1に縮小も
=07年度米農務省予算
BSE調査、10分の1に縮小も=07年度米農務省予算 【ワシントン6日時事】米農務省当局者は6日、ブッシュ大統領が議会に提出した2007会計年度(06年10月~07年9月)予算教書で、BSE(牛海綿状脳症)の拡大調査継続費用の要求を見送ったことを明らかにした。同省は拡大調査の見直しを検討中で、このまま補正予算も計上されなければ米のBSE調査は現在の1割強の年間4万頭レベルに縮小することになる。 (時事通信) - 2月7日11時1分更新
食品安全委の答申の6
結論への付帯事項 ② 米国及びカナダにおけるBSE の汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応を行うためには、健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が必要である。管理対応がある程度効果を示し、流行が不連続で地域的な偏りや散発的な状況になった場合には、最低限、高リスク牛の全てを対象とした継続的なサーベイランスが必要であると考えられる。
1/19 プリオン専門部会にて
吉川座長 (議事録P41)
あと、今回の直接の査察の目的ではないですけれども、委員会として、先ほど飼料規制の問題が出ました。サーベイランスの問題に関しても直接輸出プログラム云々の問題ではないんですけれども、輸出対象となるものの背景リスクとして米国としてどういう対応を考えていくのか、その辺も査察ではないですけれども、リスクマネージメントとして米国側がサーベイランス規模を元に戻してしまうのか、あるいは拡大サーベイランスの格好で今後も情報を発信していくつもりなのか分かりますか。
農水省の国国際衛生対策室長 の説明(議事録P44)
申し訳ございません。1 点だけ御報告なんですけれども、先ほどサーベイランスの話が出ましたが、アメリカは1 2 月で本来はやめるつもりだった拡大サーベイランスは、現在、続けております。ただ、それはいつまでとは決めてはいません。今、当面続けるということで、現状同じ規模で続けております。
寺田委員長 (P42)
管理側もそうなんですけれども、私は委員会の委員長として、私も反省するところがあって、管理側がどういう行動をやるかというのをこっち側から働きかける、何となく受け身で管理側もやってくれるという感じがあって、それはまずかったなと反省しているんですけれども、こういうふうに答申を出したと、しかも附帯事項を付けていると。
附帯事項の中でリスクコミュニケーションをやってくださいと言っているんです。2つあって、リスクコミュニケーションをやってくださいということと、もう一つは何だったか、サーベイランスは向こうのお願いですね。そういうことをちょっとフォローすべきだったなと反省していますので、これは管理側だけの問題ではなくて、委員会の方がアクティブに管理側に働きかけなかったことがいけなかったかなと。
10分の1に減っても「BSE の汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応」は可能かな、食品安全委員会さん??
日本の査察前に、
輸入解禁の直後に
米国産牛肉が輸入されたわけ
1/19時点での農水省の説明
1/19 第35回プリオン専門部会の議事録より(P37)
( この頃、背骨付きの子牛肉がニューヨークから成田へ飛行中)
○ 吉川座長
例えば、国内見直しのときとか、そういうのを考えると、素人で考えれば再開するに当たって、こういうふうに法律をなおして再開するぞと変えて、その上でこういうところを見てきて、その問題の有無を確認して、その上で日米で合意して、ここの施設から来るこういう製品については十分大丈夫だと思うんで入れようとなるだろうと、多分一般の人も我々委員もそういう解釈をしていたところがあったと思うんです。だから、逆に言うとプログラムは非常に早く進行したのはどういうことだったんだろうというところがあまりわからないということなんだと思います。
○ 農水省・道野輸入食品安全対策室長
私どもの方から一般の方に説明したときにも質問が出された内容でもあります。要するにまさに査察の意義というのはどういう意義があるのかということだと思います。 食品の輸出入の二国間での手続ということで言いますと、要するに輸入国の必要な要件を満たしているものを輸出するということに関して、輸出国政府が関与する場合には基本的に輸出国政府が一義的な責任を持って相手国のリクワイアメントに適合するものを輸出するための仕組みをつくる。
今回、対日輸出に関して言えば、アメリカ農務省がその仕組みをつくって、それを運営し、パッカーが遵守をする。そういうふうな仕組みになるわけです。 私どもが査察と日本語で言っているのは、これは英文でアメリカ側と交換した文章には、インスペクションではなくてオーディットという意味でして、その遵守状況について確認をする。もっと言えば、そのプログラムが機能していることについて、今度は輸入国側が輸出国側に行って確認をするというプロセスなわけです。
決して日本国の役人がアメリカに行って、そのアメリカの施設の輸出を許可したりとか、取り消したりとか、そういうことを直接的にやるという仕組みではございません。
こういった仕組みは日本がアメリカに牛肉を輸出するプログラムでも全く同じでございまして、我々厚生労働省が責任を持って対米輸出施設を認定しています。認定技術も私どもがつくっている。 アメリカの基準に適合しているものについて、日本の政府なり担当都道府県が検査をして、適合するものについて証明を出すという仕組みになっております。それを年1 回、アメリカの査察団がやってきて、今回我々がやったような、いわゆる普通のオーディットをやるというような仕組みでありまして、したがって個別の施設が輸出するというものについての承認について、日本側が許可しなければいかぬということはないわけです。
今回の場合、日本時間で1 2 月1 2 日で輸入を再開しますよということをアメリカ側に連絡をしたわけです。アメリカ側としては、直ちにその日をもって今度は輸出プログラムを施行したということになります。 では、なぜそんなに早く日本にその週の間に到着という現象が起きたかということでございますけれども、これに関しては勿論、日本でいわゆる対日E V プログラムの案について、私どもが諮問する段階ではもう既にアメリカでも公表され、U S D A のインターネットにも掲載をされております。 そのドラフトの段階で、勿論審議の内容によっては、そのドラフトの変更はあり得べしということの上で各パッカーは輸出プログラムを準備し、U S D A サイドもデスクオーディットと向こうでは言っていますけれども、恐らく書類の仮の事前審査ということをやっていたようです。
ただし、施行した日以降に勿論その施設に農務省の担当官が出向いていって、実際に施設を確認し、オンサイトオーディットと向こうの方は言っていましたけれども、その上で認証するということをやっております。U S D A のホームページの方を御覧いただきますと、その承認日が各施設ごとに明記されておりまして、したがって、週内にやってきた第1 便については勿論ルール違反ということではなかったわけでございます。長くなりまして、済みません。以上のような状況でございます。
中略
それと、最初に第1便が来たのは非常に早かったもう一つの事情としては、インテグレーターだったので、かなり月齢のある程度わかっているものを非常に集めやすかったと、生産から肥育、と畜、食肉化ということが一貫してやれるような事情のあるパッカーがすぐに動いたということもあったので、かなり早く来たということに結果的にはなったんだと思います。
農水省、厚労省の責任
下の寺田委員長の発言からすれば、1/6に輸出許可をえ、20日には違反の背骨付き子牛肉を輸出する業者・施設に輸出許可を与えるような米農務省を、きちんと管理・監視できなかった日本のリスク機関、農水省・厚労省に一半の責任があるのではないだろうか。全てが米国の責任とは言えないのではないか??
寺田委員長の12月21日の日本食糧新聞とのインタビューより
(米国の汚染状況をまず把握して、その上でEVプログラムで入ってくる物をリスク評価した)答申は二階建てになっている点が難しいんだと思います。わかりにくいという理由ですね。ほとんどが米国やカナダの牛肉のリスク評価及び汚染度の評価です。米国は日本と異なりサーベイランスとしてやっていますから、全頭検査をやってきた日本に較べてデータの質が日本に比べてよくありません。答申の結論部分は「米国の厳密な意味での汚染度の科学的評価は困難である。しかしながらEVプログラム(輸出プログラム)を加えるとリスクの差はあまり大きくない」という結論になります。
例えば米国がかつての英国のような状況だったとすると、EVプログラムを作ったとしても科学的にリスクがあまり変わらないとは評価できないですね。米国はあまり汚染していないだろうと言う皮膚感覚だけでなく、日本ほど飼料規制は厳しくないですが、サーベイランスの結果を当てはめれば日本とそれほど変わらないという結論になります。米国は一時期の英国に較べればそれほど汚染されていないので、EVプログラムにのっとれば例えば30ヶ月齢以下でもいいのではないかと思います。厚労省と農水省にどうして30ヶ月で諮問しなかったのかと質問したら「国民感情に配慮」と言っていました。いずれ30ヶ月も諮問するのではないかと思っています。国内対策が先になるか分かりませんが。
(EVプログラムなど)管理まで含めて両国はこういっているが、「本当にやるのかな」まで言及したら、評価なんかできません。「これはこういうことですよ」という前提で評価しなければばらないのですが、その前提は管理側が何らかの責任をもって管理側がきちんとやりますよといっていました。8月頃になって農水省、厚労省にきちんと監視するのでしょうねと確認を求めたら、「米国、カナダ政府がやります」と言い出しました。これで少し調査会が混乱しました。専門調査会で(米国や農水省の言っている事は)信用できないなどと言った発言が繰り返しでて、収拾がつかなくなったので私の方で(「法令順守を前提とすべき」)と発言しました。・・リスク管理側がきちんとやるんだと言っているのだから、評価側はそれに沿うしかないですね。EVプログラムそのものがまもられているかどうか評価機関(=食品安全委員会)ではできません。
第35回食品安全委員会プリオン専門部会(2006/1/19)での発言より
議事録P40
(食品の輸出入の二国間での手続では輸入国の必要な要件を満たしているものを輸出するということに関して、輸出国政府が関与する場合には基本的に輸出国政府が一義的な責任を持って相手国のリクワイアメントに適合するものを輸出するための仕組みをつくる。)アメリカの政府はプライマリーに責任を持っていると。だけれども専門調査会で厚生労働省、農林水産省の方も来ている場で管理側が責任を持ちますと言っておられたんです、 議事録を見ればわかります。終わりの2回ぐらいになって、これはアメリカの政府だと、事実はそうだと思うんですけれども、アメリカ政府が持つんだけれども、アメリカ政府がそういうふうに管理をやるように、きちんとやるのが私どもの責任だという立場で、何か起きたときに、逃げるわけではなくて、ジャッジメントは向こうです。アメリカだと思います。私らは見ているわけではないんだからわからない。
それで、明らかにアセッサーの方から見て、これはおかしいと思ったら、管理側に勧告ということがあるわけです。だけれども、私ども直接初めからああだ、こうだと、これは私個人が決めたわけではないんだけれども、私はそういうふうに思っています。
OIE(国際獣疫事務局)は、
どうやってBSEを根絶する
つもりなのか??
米国の巧みな外交、世界戦略、長期にわたって軸の利益を実現していく姿勢が良く顕れています。しかしこれでは、吉川弘康座長(食品安全委員会、プリオン専門調査会)のいうとおり「これでBSEを制圧できるのか。どんな戦略でBSEに立ち向かうのかみえない」。
国際獣疫事務局(OIE) 家畜の国際的な衛生基準を決める機関で、167カ国・地域が加盟する。本部はパリ。日本は1930年に加盟した。毎年5月の総会で各国政府の家畜衛生担当官が牛海綿状脳症(BSE)などの国際基準の改正を議論、採択する。2006年の総会は5月21~27日。国際基準は、世界貿易機関(WTO)が貿易紛争を仲裁する際の判断の根拠になる。各国は基準より厳しい措置を取れるが、正当性を科学的に立証する必要がある。
2006年02月08日付日本農業新聞より
OIEのBSE国際基準緩和案のポイント
牛肉の貿易条件から 生後30ヶ月齢以下の月齢制限と感染牛や感染疑い牛の排除の項目を削除
BSE汚染度の国別ランク付け方法を変更
全感染牛が8歳以上の高齢牛であれば「無視できるリスク国」として特定危険部位の除去なしで牛肉輸出が可能サーベイランス(汚染状況を監視するための検査)基準を変更
段階的な縮小の方針を盛り込む殺処分する擬似患畜の範囲を縮小
感染雌牛の発症前2年以内または発症後に生まれた産子を範囲から削除
BSE国際基準緩和案 月齢撤廃に反発/農水・厚労省専門家会合農水・厚労の両省は7日、専門家会合を都内で開き、家畜衛生の国際基準を決める国際獣疫事務局(OIE)が示した牛海綿状脳症(BSE)対策の基準改正案について意見を聞いた。骨なし牛肉であればBSE発生国産でも全月齢で輸出入を認めるなど基準緩和案を出したことに大半の専門家が「科学的根拠が示されていない」「基準の決め方が不透明」と猛反発した。 農水省は、生産者や食品事業者らとの意見交換会を経て政府の対応方針を決め、17日までにOIE事務局に意見を提出する。基準採択を決める5月のOIE総会では国内外の科学データを基に反論するとみられる。
OIEの改正案は、牛肉の貿易条件や検査基準などBSE対策に必要な規制を全体的に緩和する。骨なし牛肉の貿易条件では、生後30ヶ月齢以下の月齢制限と、感染牛や感染牛疑い牛の排除の2項目を削除する。会合では、月齢制限の削除に対して、日本やドイツで高齢牛の末梢(まっしょう)神経からBSE病原体が見つかっていることから複数の委員が制限の必要性を指摘。「(危険があるとして)検査の重点を生後30ヶ月齢超に置くOIE自身の基準と矛盾している」との意見もあった。汚染状況を監視する検査基準は、検出感度を従来より下げた上、一定の頭数を検査すれば、段階的に対象数を減らす考えが示された。 食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川泰弘座長は、この基準を適用すると米国が牛肉貿易に制限を受けない「リスクが無視できる国」になり、全頭検査をする日本が厳しい制限を受ける「リスクが不明な国」に該当する問題点を指摘。「これでBSEを制圧できるのか。どんな戦略でBSEに立ち向かうのかみえない」と厳しく批判した。
2006年02月10日付日本農業新聞
牛肉貿易のOIE案 「変更の根拠ない」/食品安全委 内閣府食品安全委員会は9日、定例会合を開き、国際獣疫事務局(OIE)が示した牛海綿状脳症(BSE)国際基準の改正案について農水省から報告を受けた。牛肉の貿易条件から生後30カ月以下の月齢制限をはずすなどの変更点の根拠が明示されていないことに、委員から疑問が相次いだ。
寺田雅昭委員長は会合後に「(基準案作りの過程が)透明性に欠ける気がする」との印象を述べた。 農水省は、OIE事務局に根拠の明示を強く求めていく方針だ。 OIEは改正案で、牛肉の貿易条件にと畜前後の検査で合格するとの項目を加えている。委員からは、BSEに関する検査の内容が各国で異なることを問題視し、統一を求める意見も出た。農水省は、BSEの診断基準や定義の統一が、改正案の採択を決める5月のOIE総会で焦 点の一つになると の考えを示した。
2004年11月に
米国BSE2例目が
発覚していたら??
日本の蒸し暑い夏、昨年7月。食品安全委員会で米国産牛肉の輸入再開を廻って審議が行われている最中に米国BSE2例目ガ発覚しました。下の記事を読むと米国が検査、BSEサーベイランスに真剣に取り組んでいれば、2004年の年末には発覚していたことが分かります。 歴史にIFはありませんが、一昨年11、12月に発覚していれば、輸入再開のための条件、農水省・厚労省の安全委への諮問内容が大幅に変わっていたのではないでしょうか??
2006年02月08日付日本農業新聞より
米国のBSEいったん「シロ」 再検査の声退ける [2006年02月08日付]
1回目の検査ではクロ。手順の異なる2回目の検査では灰色。再検査を求める研究者たちの要望を「検査態勢の信頼性にかかわるから」と握りつぶし、米国農務省は強引に「シロ」と発表していた。
2004年11月に始まった米国の2頭目の牛海綿状脳症(BSE)患畜発見をめぐるドラマの裏側が、先週公表された同省のお目付け機関である監査局(OIG)の報告書で明らかになった。「科学者としての経験からすると、(2回の迅速テストで陽性の)あれは99%クロだね」農務省は04年11月18日、2回の迅速テストを経て疑陽性の牛を発見したと発表した。その直後にニューヨーク郊外でインタビューした米国消費者連盟の食品専門家のマイケル・ハンセン博士は、記者の質問にこう言い切った。
03年12月にワシントン州で1頭目の患畜が発見され、2頭目の発見かと、米国のメディアも大きく報道していた。 ところが23日には、農務省は「国際的な標準と認められている手法で最終確認したところ、陰性だった」と発表。米国政府も1頭目も「カナダ産」という理由で、「米国のBSE患畜は発見されていない」と主張。いったん締め出された海外市場に対する貿易再開の攻勢を強めた。
米農務省監査局(OIG)の報告書は、本来科学的であるべきBSE検査の根幹、陽性の判定作業を、自分たちの都合によって大きく捻じ曲げようとした農務省幹部のごり押しを明るみに出した。 「なんとしてもクロは発見したくない」。手順に反してサンプルを冷凍し、日本や英国で利用する感度の高い検査方法は使わない。検査の都合の良いところだけを取り出して公表する。これでは米国の検査体制そのものの信頼性が問われる。先月は食肉施設と検査官の見逃しで特定部位の背骨が日本に輸出されて大きな問題となったが、今回のOIG報告書は根本的な部分のずさんさを示したものだ。
▽迅速テストで6回クロ 2004年11月、歩行困難な牛から採取した脳を、州の施設が感度の高い迅速検査で調べたところ、3度にわたって強い陽性と判定された。農務省の定める手続きに従って、サンプルを国立獣医研究所(NVSL)に送った。NVSLでも迅速検査は3度にわたってクロの判定だった。 陽性であることが強く疑われたが、免疫組織化学検査(IHC)と、顕微鏡による検査では陰性だったとして、米国農務省は「当該の牛は陰性だった」と公式発表していた。
▽NVSLでも灰色しかし、実際にはNVSLの検査が必ずしもシロとは言えなかったことが、報告書で分かった。 NVSLは脳から二つのサンプルを採取。一つは通常のIHCに回されて陰性と判定されたが、もう一つは実験用として検査され、その結果は「判断できず」だった。いわば灰色の結果が出ていたことになる。当惑した研究者たちは別のIHCと顕微鏡による判定を試みたところ、今度はシロ。
▽研究者の要請を無視 相次ぐちぐはぐな結論に、研究者たちは「再度の検査が必要だ」と主張。複数のIHC、日本などが採用し感度が高いといわれるウエスタン・ブロック(WB)などによる検査なども提案したものの、NVSLを統括する農務省の本部が「必要なし」と判断し、無理やり「シロだった」と発表したのが内幕だった。 「検査の信頼性を保つ」というのが農務省本部の言い分だが、理由になっていない。
▽サンプルを「凍結」さらに、NVSLはサンプルを「凍結」していることも判明した。国際的には検査前の凍結はIHCの感度が落ちるとされ、農務省の手順でも冷凍しないはず。報告書は、英国や日本でも一般的に使われている感度の高いWBなどを使わずIHCだけに固執した点を問題視している。
▽英国研究所も確認OIGの警告に押されるかたちでNVSLは05年6月にWBによる検査を行ったところ、3つのサンプルの一つが陽性と判明。念のため、英国の研究所に再確認を求めたが、ここでも陽性と判定された。半年以上の曲折を経て、米国で2頭目の患畜が最終的に判明した。
本当に小泉政府は
米ブッシュ政権に
飼料規制強化を要求するの?
[2006年02月09日付] 日本農業新聞
BSE対策で米国に 飼料規制強化へ警告/首相
小泉純一郎首相は8日の衆院予算委員会で、米国の牛海綿状脳症(BSE)対策の中で最も不備が指摘されている飼料規制の強化について、「具体的な事例を上げて、米国政府にきちんと伝える。警告するというのは大事だと思っている」と述べ、米国政府に強く要請していく考えを表明した。民主党の川内博史氏の質問に答えた。
川内氏は、米国ではBSEの感染源の一つとされる牛由来の肉骨粉を豚や鶏に与えることが認められていることから、牛の飼料と混じる「交差汚染」が心配されている問題を指摘。「食の安心と安全を守る立場から米国産牛肉の問題を議論する大前提だ」と政府に対応を迫った。これに対し小泉首相が前向きに答弁したほか、中川昭一農相はすでに飼料規制強化を米国に要請していることを強調した上で、「さらに強く、できるだけ早く日本の要望が取り入れられた米国産牛肉が確立されるように強く要望したい」との考えを重ねて示した。
輸血で英3例目のヤコブ病
8年後に発症
牛海綿状脳症(BSE)が感染して起こるとされる変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病。英国健康保護庁(HPA)が9日、輸血輸血を通して変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染した新たな3例目の発生が最近確認されたと発表。 HPA Press Statement:New case of variant CJD associated with blood transfusion,05.2.9 http://www.hpa.org.uk/hpa/news/articles/press_releases/2006/060209_cjd.htm
ある変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が、発症する1年8カ月前に献血をしました。その血液からつくられた血液製剤(血液成分輸血)を投与された人が、8年後に発症し、専門のナショナル・プリオン・クリニックで治療を受けているそうです。
2004年に英国政府は、汚染された血液製剤を使っていると思われる血友病患者を中心に、数千の警告書簡をおくり、そのうちの30人については、感染したドナーからの献血を受けたことが確認され、今回の患者は、そのうちの一人。30人足らずの少数者のうち3人に感染が起きたことが確認された事は、vCJDが輸血により人から人に伝達できることのさらなる証拠であり、感染供血者からの輸血を受けた人の感染率が非常に高いことを意味します。
英国健康保護庁(HPA)感染症センター所長は、この3例目の確認は、輸血がvCJD伝達の比較的効率的なメカニズムであることを示唆すると警告しています。 また輸血により感染してから発症するまでに、かなりの潜伏期間があるのではないかと疑われます。その潜伏期間中に、献血・輸血・感染のサイクルが一巡り、二廻りする可能性があるわけです。血液検査で判別できない現状では、BSEが単に食品の安全だけでなく、輸血、現代の医療の安全性を根本から脅かす病であることを示しています。
BSE迅速検査で陽性となった場合、
最終的に陰性となるケースは少ない
完全にBSEを根絶するのであれば
完全な飼料規制が必要だ
日本農業新聞2/12 ダニー・マシューズ博士とのインタビュー
英国獣医研究所(VLA)の研究調査部門のトップ。BSE研究の世界的権威。
Q(農業新聞) OIG米農務省監察局は報告書のなかで04年11月にいったん陰性と結論付けた牛について「新たなBSE検査を農務省に行わせる前に海外の専門家に意見を求めた」としている
A(マシューズ博士) それは私だと思う。・・迅速検査で陽性となった場合、最終的に陰性となるケースは少ない。・・
Q それは米国農務省の検査が劣っていたからか
A 多くの国では英国ほどBSEのサンプルは多くない。IHC(免疫組織化学的検査)の場合、(検査の過程で)様々な手順が必要だが、感度の設定などで戸惑うこともある。(経験が浅いところで)感染を見逃す可能性があるものだ。検査の習熟度を上げるために、欧州では年に2回の研修会を開いている。・・IHCがWB(ウエスタン・ブロット法)より劣ることはない。米国から送られたサンプルから、我々は明らかな陽性反応を得た。問題は習熟度だ。・・最近終えた研究では人工的に感染させた牛からサンプルを取り出し数ヶ月ごとに検査法の違いを調べた。早い段階ではIHCの方が優れている。
Q 農務省の姿勢に問題があるのか
A 私の立場で余所の国のことを「良い」とか悪いとか言えない。OIEでは検査の見直しの議論が出ている。最初の迅速検査で陽性の場合、もう一度別の迅速検査をして陽性であれば「陽性が確認された」ということにする方向だ。2度目にマイナスだったら、IHCやWBなど別の方法で3回目の検査をして確認すれば良い。米国のケースもこうした仕組みになれば、スムーズに確認できただろう。(検査の見直しは)1月に研究者で話し合った段階で、その後マニュアルの見直し、各国の意見を調整するため今年の5月(OIE総会)には無理だ。
Q 米国の飼料規制は抜け穴が多いと言う批判が多い。
A (家畜全体への肉骨粉の飼料を禁じている)欧州や日本と異なる部分的な規制では「抜け穴がある」と言えるかも知れない。完全にBSEを根絶するのであれば完全な飼料規制が必要だ。だが、BSEの汚染度が低い国では、部分規制で事態をコントロールしながらリスクを下げると言う考え方もある。米国政府はそういう方法を選択したのだろう。私は、それが必ずしも悪い考えだと思わない。食品安全対策はコストが掛かる。BSEのリスクに応じてどの部分に予算を策というのは各国が判断すべきだ。