SSブログ
牛‐肉、乳、飼育 ブログトップ
前の10件 | -

CNN「BSE由来疾患、英で3万人が感染の疑い 献血で拡散の恐れも」を解読 [牛‐肉、乳、飼育]

CNNのニュースで「BSE由来疾患、英で3万人が感染の疑い 献血で拡散の恐れも」と報道された。BBCでもニュースであった。

これらをまとめると

今回の記事となった研究は、その試料・サンプルは英国の41病院で2000年から2012年の間で行われた手術で摘出された3万2441人の虫垂組織。それを英神経病理学研究所のセバスティアン・ブランドナー氏のチームが調べた結果である。英国にはBSE牛⇒人感染しながら発症していない人(キャリア)は4000人に1人の割合で存在すると考えられていたから、32000人なら8人が予期される人数。結果は倍の16人。2000人に一人の比率で、英国人口構成で試算すると3万人の感染しながら発症していない人(キャリア)がいることになる。

ブランドナー氏の「研究で、vCJDの原因となるプリオン蛋白は少なくとも3種類あることが判明。こうしたプリオンの感染者が、さらに長い潜伏期間を経て発症する可能性もあるとしている。」 CNN

プリオン蛋白遺伝子(コドン129)にはメチオニン(M)とバリン(V)の正常多型がありますが、これまでに発症が報告されている変異型CJDの患者さんは全員M/M型・メチオニンホモ接合です。しかし、研究では感染しながら発症していない人(キャリア)では、V/V型・バリンホモ接合の割合が多いことがわかりました。M/V型・メチオニンバリンヘテロ接合も見つかっている。V/V型やM/V型の遺伝子型の人がvCJDに罹るとM/Mの人よりも長い時間をかけて病気が進行する、長い潜伏期間を経て発症する可能性があると英神経病理学研究所のブランドナー氏は言っています。



輸血・献血で人⇒人の伝達

輸血・献血で人⇒人の伝達は既に起こっていて2003年に輸血から6年半後に発症した例を皮切りに、2007年までに4例が英国から報告されている。発症までに6~8年。「拡散の恐れ」は英国で既に取られている手段で防げるかが問題となる。

輸血からの感染の可能性は、血液中のプリオンの分布が人と似ている羊での実験で起きているから早くから懸念されていて、1999年10月以降,英国では輸血用血液から白血球を除去している。また自国の血液から血漿分画製剤を作ることも禁止している。4例はそれ以前の輸血だから、この措置が有効だと言えるかとなると????

羊、ヤギの伝達性海綿状脳症のスクレイピーに感染させたハムスターの血液から、白血球を除去処理し千分の一にした血液の感染力は、対照の半分以上(58%)も残っていた。研究では血漿が一番疑わしいとしています。人で実験できないから、人の血液での白血球除去効果は不明。

また、マウス実験からは「BSE由来のウシ異常型プリオン蛋白がいったんヒトに感染しヒトプリオン蛋白に適合して変異型CJDとなったら、M/MだけでなくM/VやV/Vの遺伝子型にも病気を起こしやすくなる」



米国からの輸入血液製剤

日本は血液製剤の多くを輸入に頼っている。 詳しくは http://www.bpro.or.jp/newsletter/pdf/133.pdf

BSEが人に伝達したvCJDを伝達する可能性が一番疑わしい血漿、その血漿分画製剤の需給状況をみると、日本で原料となる血漿が献血で得られてない製剤がある。抗HBs免疫グロブリン、破傷風免疫グロブリン、抗D免疫グロブリンなど

あらかじめ、肝炎や破傷風の抗体値が高い供血者が必要で、長期の定期的なワクチン接種・検査・採血、生活制限が課せられる。このため、日本の献血制度では不可能となっており、供給(売血)制度の整っている米国から全量輸入しているのが現状である。

米国産牛肉のBSE安全性の論議では、牛肉を食べて日本人がvCJDになる危険性が主で、この米国から輸入される血液製剤は意識されない。米国産牛肉は食べなければよいが、「輸血の際のいかなる小さなリスクも、最も必要な時に輸血を受けなかった際のリスクに比べれば十分に見合う」から輸血・血液製剤拒絶は難しい。

米国の供血者がvCJDで有ってもvCJDは血液検査では検出できないから、血液製剤から除外することはできない。エイズと違って無害化する処理もない。もしそれでvCJDになり潜伏期に献血すれば、日本国内で拡がる。だから、日本に輸出される牛肉だけでなく、米国での畜産全体でのBSEの危険性が問題なのだ。

蛇足

この研究は、専門家間では昨年2012年8月に報じられている。 http://www.hpa.org.uk/hpr/archives/2012/news3212.htm

英国政府には2013年の4月に報告されている。それを伝えるTelegraph紙の記事見出しは「血液で感染する狂牛病で1000人が死ぬ可能性」で書き出しは「1000人がイギリスの病院での輸血でヒトの狂牛病で死ぬ可能性が、大臣に報告された。 政府の専門家は、輸血を通じて変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)に感染している危険性のある人々が存在するとしている。イギリスの約30000人が狂牛病のキャリアーであると思われる、それは考えられていたことの2倍である。 専門家は現在のvCJDでの死亡者の176人からその数は、5倍に達する可能性があると見ている。汚染された肉を食べて発生したように輸血から感染するというのだ。」 詳しくは http://thymeup.blog.so-net.ne.jp/2013-05-01





こんな安全検査で、米国産豚肉・牛肉は安心して食べれる?? [牛‐肉、乳、飼育]

米国産牛肉の安全性を保障する政府機関は、米農務省の食品安全局です。BSE・狂牛病では、調査用の試料サンプルの収集を担っています。日本が求めるBSEを伝達しやすい脊髄や扁桃腺などの特定危険部位除去が行われているかチェックし試験サンプルで検証し衛生証明書を発行しています。
米国食肉の安全管理システム・・米国食肉輸出連合会


その仕事ぶりは、「米国の食品安全検査」(竹田茂夫・法政大教授・東京新聞6月27日)によれば

= 米国畜産業は、極端な集中飼養、抗生物質の多用、食肉処理場の不衛生など、工業型の大規模畜産業に固有の問題点を多く抱えている。われわれも、無関心ではいられない。
 先月、米国農務省内の監察室が、食肉処理場の検査にあたる同省の食品安全検査局(FSIS)を厳しく批判する異例の報告書を発表した。報告書は豚の処理場の視察に基づくものだが、信じがたい実例が多く挙げられている。

 処理後の食肉に汚物が付着していても見逃したり、床をネズミやゴキプリが這いまわっていても軽い警告だけで済ませたり、豚を気絶させる処置が不十分で意識あるまま食肉処理されても、検査官は特段の警告を発しないなどの例である。
本来、FSISは強力な規制機関で業務停止命令などの権限をもつが、その実態は規制すべき食肉業界と癒着して業界利益を食品の安全性より優先する典型的な「規制の虜」とみなされてきた。
かつて勇敢な検査官が、処理場のあまりの惨状にFSISの規制の不在を内部告発したところ、組織をあげて、その検査官に報復したとされる。

 これとは別に、民間の動物愛護組織がひそかに撮影した牛や鶏の虐待ビデオが公表され、世論が沸騰したことがあるが、業界と全米の農業州は外部者による撮影禁止の法令制定で対応しようとしている。=




米国農務省内の監察室とあるが、通例では米国農務省監査局(OIG)と記される。

1978 年に連邦監察官法(Inspector General Act of 1978)により独立かつ客観的な監督機関として監察官(Inspector General)制度が設立された。当初は12の、2002年現在で57の法執行機関(日本流に言えば行政機関)に設置され、監察総監室(Office of Inspector General)がある。

・ 目的は、(1)独立かつ客観的な監査・調査・検査の実施、(2)無駄・詐欺・権限乱用の防止と発見、(3)経済性・効果性・効率性の推進、(4)未決の立法・規制行為のレビュー、(5)各機関の長と議会への報告。

・ 監察官の任命には、(1)上院の承認の下、大統領が任命、大統領が解任、(2)機関の長官が任命・解任の 2 通りがある。高潔さ及び会計・法律・組織運営・行政・調査等の専門能力に基づいて選考。

・ 監察官は独立の組織。法律上当該機関の長官ないし副長官に属するが、長官・副長官は監察官の調査を妨げる権限なし。機関のあらゆる文書、長官へのアクセス権が確保され、調査内容とその報告を決定する権限。スタッフやコンサルタントを自由に雇用できる。機関の長官及び議会への報告義務。

・ 各機関の監察官による「President's Council on Integrity and Efficiency」が設置されている。



非定型BSE(狂牛病)・・米国4例目の影響 [牛‐肉、乳、飼育]

米国4例目のBSE

米国BSE カリフォルニア州トゥラリー郡の酪農家(牛乳生産)の、10年と7ヶ月の乳牛(当然メス)。歩行困難になり、横臥になった後、安楽死処置された。隣郡のハンフォードのレンダリング施設のベイカーコモディティに運び込まれた。その死牛置き場から4月18日にBSEサーベイランスの60頭のサンプルが採取されました。
カリフォルニア大学デービス校のカリフォルニア州動物衛生食品安全研究所に送られ、アイオワ州エイムスの国立獣医サービス研究所(NVSL)に転送されました。国際動植物検疫課(APHIS)が確認した陽性所見を4月24日発表。






米国の対応

牛乳がこのトゥラリー郡の収入の大半を占めており、2010年の売上高は約16億ドル、牛に関わる産品が約5.6億ドル。このため、牛乳ではBSEが人に伝達・感染しないとの広報・報道。

この牛の肉は食用として流通することはない、市場に出回っていない。

特定の個体で例外的に表れる非定型BSEで、プリオンに汚染された飼料を牛が食べたことによる感染ではない。








非定型BSEの割合

非定型BSEは、BSE検査が世界各国で行われるようになってから発見された病気です。これまでに世界で約60頭、日本では2頭発見されています。日本のBSE検査頭数は2001年10月から2012年3月末までで約1285万頭ですから、単純に割り算すれば600万頭に1頭の割合で見つかっています。多くが8 歳以上の老齢牛です。現在の畜産業では、これ以下の年齢で大半がと畜されますから、発症に至らないが素因を持つ牛の数はもっと多いと思われ、約30万頭に1頭という方もいます。ちなみに人の海綿状脳症・CJDは百万人に一人ぐらいの割合です。

米国の米国の2009年牛総頭数は約9500万頭、カナダの2011年の牛総頭数は1246万頭。日本での発見率、600万頭に1頭で単純計算すると、米国には約15頭、カナダには約2頭になります。

日本のBSE検査は、と畜される牛、農家で死んだ24ヶ月齢以上の死亡牛を対象に行われています。これに対し欧米ではBSEの有無、その割合を調べるため対象を限って行われています。EUは約4500万頭飼育規模で約746万頭検査。カナダは1246万頭で約3万5千頭、米国は約9500万頭飼育で約4万2千頭検査と米国の検査密度は際立って低いのです。

米国とカナダは発生検出された2003年以前は、牛も餌も自由に行き来して一体化していましたし飼料規制も同一でした。英国・欧州からの輸入牛や輸入飼料でのBSE侵入・拡大では同一な牛群です。カナダではこれまで15頭検出されています。カナダの7.6倍の規模の米国なら検出100頭前後が予測(期待数)にもかかわらず4頭だけです。検出数も異様に小さいのです。


非定型BSEは飼料で拡がるか?

カナダの15頭中2頭は非定型BSE、13頭が定形(英国型)BSE、13頭のなかには1997年からの飼料規制以降に生まれた98年から2002年生まれの牛が9頭います。それで、カナダはBSEの病原プリオン蛋白の飼料による拡散を防ぐために飼料規制を強化しています。

米国の4頭では、2003年12月最初に検出されたカナダ生まれの牛だけが定形(英国型)BSE、他のアメリカ生まれの3頭は非定型BSEとされています。定形がカナダ生まれであったので、カナダで病原プリオン蛋白を摂取しBSEを伝達・感染したのであり、米国内には非定型しかない。牛も餌も自由に行き来していたのもかかわらず、1997年からの飼料規制はカナダでは失敗したかもしれないが、米国内ではBSEの拡大を防いでいるといった主張が行われました。その結果、米国産牛肉の輸入国からの圧力などで、飼料規制強化が行われましたが、穴だらけです。

非定型BSEに、「汚染飼料が原因ではない非定型のBSEはまれに自然発生する。飼料を通じて広がるわけではないため、米国の牛の管理状況が問われるものでもない」と日本の厚労省幹部は説明しています。この見解は、拙速な判断といわざるを得ません。

非定型BSEは人にうつるか?

世界中のBSE研究者では非定型BSEは「報告例が少なく、どのような安全性評価をすればいいかわからない。もう少し科学的知見の蓄積が必要だ」というのが常識です。

分かっているのは、非定型BSEはウシ、マウス、サルへの脳内接種での動物実験から牛だけでなく牛以外の動物に伝達・感染すること。特にサル(霊長類)では経口、つまり食物に混じったものの摂取でも感染しており、人間にも伝達されると考えられています。定形BSEが伝達された人・vCJD患者からの輸血を介した他の人への感染が認められています。病原プリオン蛋白は、熱及び消毒薬に強い抵抗性を示し、一般の医療消毒法での不活化は非常に困難です。医療行為を介した健常者への二次感染(医原性CJD)の発生を防がなければなりません。


医原性CJD


vCJDの早発性




 牛での感染実験では、定形BSEよりも早く歩行困難など運動系の症状、音に過敏など感覚系の症状が定形BSEよりも早く出現する、潜伏期間が短いなど「通常の英国型より病原性や感染性が強い可能性がある。(小野寺節・東京大名誉教授/応用免疫学)」




 また病原プリオン蛋白が脳や脊髄(せきずい)などにほぼ全量が集中する型と違い、リンパ球を通じて全身に汚染が広がる可能性を示唆する研究もあります。こうした部位に蓄積する病原性プリオン蛋白質を肉骨粉などで経口摂取した牛の感染は発病までの潜伏期が長いため、まだ結果は得られていません。欧州食品安全機関は「非定型BSE感染の(飼料による感染)リスクは評価不可能であるが、このリスクを無視すべきではない」と強調しています。

 「飼料を通じて広がるわけではない」という見解は科学的根拠がなく、希望的観測です。厚労省という規制当局は、「飼料を通じて広がる」ことを前提に対応すべきです。

英国の伝達性海綿状脳症委員会(SEAC)は、このBSEは経口伝達は確認できていないが、その可能性も排除はできない。だが、米国がやめてしまったようなアクティブ検査でこのようなBSEの発見は可能、現在定形BSEで病原プリオン蛋白のほぼ全量が集中する特定危険部位の除去や飼料規制などの対策で動物と人間は護ることが出来るだろうとしています。

高齢の非定型BSE牛が肉骨粉や工業用牛脂などをとるレンダリングの原料になる場合は、カナダでは定形BSEで病原プリオン蛋白のほぼ全量が集中する脳や脊髄(せきずい)、扁桃、腸の一部などの特定危険部位SRMは除去されます。この部位は埋め立て場、焼却炉へ運ばれ廃棄されます。




米国では、脳や脊髄(せきずい)は除かれますが、それ以外の扁桃、腸の一部などの特定危険部位はレンダリングの原料になります。得られた肉骨粉には、病原性プリオン蛋白質が含まれます。飼料規制でこれを直接牛の飼料原料にできませんが、豚や鶏の飼料には使えます。午前中はプリオン肉骨粉をつかって豚の飼料を造り、午後に牛用の飼料を製造すると機器に残ったものが混ざってしまうといった交差汚染で、牛に病原プリオンが与えられる伝達・感染ルートが米国ではあります。英国の専門委員会(SEAC)が動物と人間は護るためにもとめる防御策を、米国は取っていません。



輸入・検疫中断できない韓国

さて、この4例目検出でインドネシアは米国産の牛の骨付きの肉と内臓それに骨粉を輸入停止にしました。インドネシアは米国産の牛肉は高級レストランやホテル向きなどに比較的少ない量を輸入していますが、お隣の韓国は焼肉用に大量に30ヶ月齢以下の米国産牛肉を輸入しています。2008年の輸入再開の際に、韓国政府は「米国でBSE(牛海綿状脳症)が発見された場合、即刻輸入を中断する。」としていました。それで 米国産牛肉の検疫・輸入を直ちに中断するよう韓国政府に求める声が上がりました。

しかし、韓国農林水産食品部(農食品部)は、米国でBSEが発生したが、直ちに検疫・輸入中断措置を取ることはできないとしました。米韓の2008年牛肉輸入検疫条件では、国際獣疫事務局(OIE)が米国のBSE制御地位を最下位の「不明のリスクの国(BSE対策が不明または不十分な国)」に下げれば検疫・輸入中断をおこなえることになっているからです。1月に韓国とカナダと締結した「カナダ産牛肉輸入衛生条件」には、BSEが発生すればとにかく牛肉検疫=輸入手続きを即時中断すると明確にされているだけに、米国のゴリ押しぶりが目立ちます。

 牛肉の輸入規制がTPPをめぐる日米間の焦点の1つになっており、BSEが検出されても日本政府に国民保護のために直ちに牛肉検疫=輸入手続きを即時中断する権限の放棄を韓国のように求めています。TPP下では即時中断すれば、ISD条項で多額の賠償金を米国に取られます。

日本では2001年9月の初検出以来、36頭のBSE牛が摘発されています。2002年4月(肉骨粉全面禁止から半年)以降に生まれた感染牛はゼロです。農林水産省によると、2001年末までに生まれた牛は約18万8千頭、国内の年間平均生産頭数は約140万頭ですから2002年4月までに生まれた牛が約46万頭、合わせて約65万頭が残っています。ここから数頭摘発されるかもしれませんが、2002年4月以降の牛から発生がなければ、日本は13年1月以降に「リスクを無視できる国」(清浄国)のBSE制御地位になります。
農家の方々、関係者の努力でBSEの封じ込めにきわめてうまく成功しています。そのところに、不完全な防御策をとっている米国産牛肉を米国の言うがままに輸入しなければならないのでしょうか?




米国産背骨付き牛肉、米国報告書では45kg、成田では55kg発見米国産背骨付き牛肉、米国報告書では45kg、成田では55kg発見 [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-06 2006年2月28日小針店で印刷・配布の再掲

先々週、米国産牛肉の件で米国の報告書が出されました。それを読んで(といったも私の英語力はゼロに限りなく近いので、翻訳ソフトや笹山さんらのお力を借りて)様々な疑問がわきました。
  疑問点① 骨付き肉が10kgもちがう。 
  疑問点② 250ポンドのSweetbread(胸腺肉) 
  疑問点③ 60ポンドの子牛の骨 
  疑問点④ 米農務省の「子牛は日米合意の対日輸出条件の適用対象にならない」という嘘 

疑問点① 骨付き肉が10kgもちがう。

 1月20日、成田空港の検疫で見つかった骨付き肉は、全41箱約390kg中の3箱、各々ロット番号が違う三箱で約55kgです。

 米国の報告書では、ホテル・ラック1箱(60ポンド)とトリムド・ロイン2箱(38.6ポンド)です。3箱で98.6ポンド、約44.7kg。10kgも足りないのです。そして、輸入肉はオハイオ州のゴールデン・ヴィール(子牛)社が1月10日にと畜・解体し部分固まり肉にしたものをニューヨーク州のアトランティック・ヴィール(子牛)&ラム社が13日に切り分けなどし部分肉にしたものを18日に航空便で輸出したと米国の報告書ではなっています。(この二つの会社の所有者は同一人物、社長も同一で、経営的には一体です。)

 ホテル・ラック1箱とトリムド・ロイン2箱のロット番号が違うことがあっても、トリムド・ロイン2箱のロット番号は同じになります。ところが、成田では3箱とも違っているのです。

 ロット番号を手がかりに、アトランティック社で何時に処理された肉なのか追跡できます。しかし日本は、今回の全41箱の内訳、ロット番号などを公表していません。米国も報告書にも13日に処理されたもののロット番号を報告書に載せていません。成田に到着した物が、13日に処理された物か否か、それを確かめる情報を日米両国とも隠しています。

疑問点② 250ポンドのSweetbread

 Sweetbreadとは、仔牛や仔羊だけでとれる、非常に柔らかく淡白な部位。仏語でris、胸腺肉と訳されますが日本では高級フランス料理店でなければお目にかかれない肉です。子牛1頭で約1ポンドしか取れません。これを発注側の日本シベルヘグナー社は、12月27日に250ポンド注文しています。子牛250頭分です。ところが、他の肉は5頭前後の子牛でまかなえる量です。

 

輸出条件・EVプログラムでは特別危険部位SRM除去や汚染が起きないようにと畜解体することを求めています。米国内向けではSRM除去は扁桃と腸の一部しか実施していませんから、特別に手間が掛かります。日本向けに加工された食肉などは規格的には米国産向けに転用できますが価格的には手間の分だけ高く採算があいません。逆に、米国内向けに処理された肉は、規格的に日本向けに流用できません。このため、現在は1頭分丸ごと(フルセット)取引が主流になっています。BSEで禁止になる前は日本は全体で見れば全米の生産高5%ですが、特定の部位肉を牛丼のショートプレートは全米の62%、牛タンを69%買っていました。そのような取引はEVプログラムを守ればできないのです。


 ですから、今回で言えば発注・納品可能なのは、日本向けにと畜・解体される5頭前後の牛の胸腺肉(約5ポンド)ですが、発注する側は平然と250頭分発注しました。受注したアトランテック社も日本シ社と減らすように交渉した形跡もなく、平然とそれに応じています。それには、ゴールデン・ヴィール(子牛)社が1月10日にEVプログラムに従ってと畜・解体した牛の分に、同日に同社が米国内向けにと畜した牛の胸腺肉を加えて合計202頭、約200ポンドを確保し調達したのです。(ゴールデン・ヴィール社に駐在する米農務省の検査官は、この胸腺肉にも日本向け適合と合格証明を発行しています。本当に何を見ているのやら・・)

疑問点③60ポンドの子牛の骨

 日本シ社は12月27日に子牛の骨60ポンドを発注しています。米国で流通する子牛の骨Veal Bonesは骨の周りに肉が残っていて、肉付き骨というほうが適切です。日本シ社は、第31回国際食品・飲料展(2006年3月14~17日)に「仔牛肉、フォンドヴォー」を出品し参加を予定していました。フォン・ド・ヴォーは、一般的に仔牛の肉や骨、野菜、トマトなどを原料として、時間をかけて煮込んで作られるフランス料理には欠かせない仔牛の出し汁です。ですから、60ポンドの子牛の骨は、フォンドヴォー用のものと推測されます。



 しかし、発送日18日当日の朝になって日本シ社は「通関時の混乱を避けるため」として注文を取り消し、発送をとめました。日本はBSE発生国であってもあばら骨、大腿骨など背骨(せき柱)以外の牛骨の輸入を認めています。骨を見て、どこの牛の骨かは分かりませんが、牛の何処の骨かはわかります。通関時に背骨かそれ以外かわかります。混乱が起きるのは、背骨が含まれている、そう疑われる場合です。日本シ社の「通関時の混乱を避けるため」という理由は、60ポンドの子牛骨が実は禁輸品の背骨であった事を示唆します。

 日本シ社は農水省の事情聴取に問題の背骨付き肉は「輸入前に米国政府検査官がEVプログラムを満たしていると署名した証明書が送付されたということで、脊柱は除かれているものとして輸入手続を進めた」と釈明しています。この60ポンドの子牛骨にも米国当局の日本輸出適合の証明がでています。ですから、脊柱は除かれていると判断できます。輸入を中止する理由はないはずですが、何故やめたのでしょうか。

疑問点④ 米農務省の「子牛は日米合意の対日輸出条件の適用対象にならない」という嘘


このように日本の発注側も、米国の受注・納品側も、子牛にはEVプログラムが適用されないが如く取引をしています。米農務省のジョハンズ農務長官は「子牛肉が輸出条件の適用対象に最近加えられたことが問題の一因となった」Inaddition, veal had only recently been added to the U.S. export agreement with 
Japan. と17日に発言しています。

  しかし04年10月の日米合意や05年5月の食品安全委員会への諮問をみても、子牛はプログラムから除外すると書かれていません。20ヶ月齢以下と最初から子牛も対象です。長官の発言は事実と違います。嘘です。嘘つきは長官だけではありません。報告書によると、米農務省の担当部局のFSISは、05年7月12日に今回の輸出元のアトランテック社の問合せに「子牛肉の専門工場は対日輸出条件の適用対象にならない」と答えています。アトランテック社は、その回答を日本シ社に送付しています。つまり、去年の7月から子牛はEVプログラムに縛られない事を前提に、両社は輸入再開に備えたのです。

縛られなければ、米国の国内基準を満たせばよいのですから、フルセット(一頭丸ごと)取引をしないですみます。7月から開拓した顧客の需要に合わせて日本シ社は発注し、アトランテック社は普段扱っている米国内向けの商品を輸出すればよいのです。疑問点②の250頭分の胸腺肉を注文したり、米国内向け処理の胸腺肉を日本向けに転用しても構わないのです。

 また米国の国内基準ではSRMの扁桃と腸の一部(回腸)は、子牛を含め全月齢で除去義務があります。対日輸出条件の適用対象にならなければ残りのSRM、脳、脊髄、脊柱(背骨)を除去しないですみます。それらが“安全”と看做せますから、その取引も出来ます。背骨付き肉や疑問点③のSRMで輸入禁止の背骨の輸入も問題がありません。

 「米政府は若齢のためBSEなどの危険性は極めて低い事を前提に、子牛肉を輸出条件適用の対象外にするよう直前まで日本政府に要求」と18日に共同通信は報じています。米国政府がこのような要求をしていて日本政府が応諾したのなら、対象からの除外(リスク管理行為)は農水省・厚労省の所管ですが、そのためには日本では食品安全委員会でのリスク評価の裏打ちが必要です。農水省・厚労省の一存ではできません。米国の国内規制で管理されている月齢6ヶ月以下の牛肉と内臓肉、特に牛の脳、脊髄、脊柱(背骨)のBSEリスクと現在時点の日本産の牛肉、内蔵肉のBSEリスクの比較評価が必要となります。4ヶ月齢以下ですから、感染はしていてもこうした危険部位にプリオンはさほど蓄積していないだろうとは考えられますが、食べた場合のリスクをきちんと評価する必要があります。こうした食品安全委員会への諮問はされてません。

 日本政府は、日米合意に沿った内容で12月8日に輸入再開条件を決定、通知します。当然子牛も規制対象です。日本シ社のMarket Intelligence(市場調査)のSenior Sales Executive(セールス担当上級管理職)のイチイ・ヨシミツさんは、それを知り、アトランテック社に至急に輸出許可を得るよう12日にEメールを送っています。アトランテック社の社長(ゴールデン社の社長も兼務する)Peerless氏は13日に「7月のお役所(FSIS)からの対象外と間違った情報で、再開に合わせて輸出許可が得られなかった。なんとかして大至急、許可を出してくれ」と苦情を役所(FSISのRick.Harris氏)に入れます。

それで尻に火がついた米農務省は12月15日から許可を出すための手続きを開始。米国は24日から29日までクリスマス休暇です。それらの休暇をはさんで、22日後の1月6日に許可を出しています。その間にマニュアルを作り、日本向けのと畜・解体・食肉加工の手順を従業員に訓練したこと、それを米農務省が確認したことになるわけですが、実際はテレビのニュースで、インタヴューに作業員が、SRM除去について「そんなことは何も上司から聞かされてないよ。あんた(記者)に聞いて初めて知ったよ」と語るものでした。農務省職員の検査官でさえEVプログラムを見たこともないという杜撰なもので、それが今回の直接的原因です。

  よく街中で、交通規制の速度制限の標識が木の枝や看板に隠されて見えないことがあります。それでも、違反すればつかまりますし、標識が隠されていて見えなかったといっても注意が不足だからだとキップを切られます。今回の件も、当事者の日本シ社、アトランテック社からみればそれに良く似ています。EVプログラム違反に弁明の余地はありません。しかし輸出許可・EVプログラムは不要と7月に目隠しをした米農務省には、何の責任もないといえるでしょうか。

 目隠しとなった昨年7月のFSISの回答メールは報告書には載っていません。そこには日米合意など公表されている事からは、ウソ・偽りとしか言えない「子牛肉の専門工場は対日輸出条件の適用対象にならない」と公に回答するに足る何らかの根拠が書かれているはずです。また農務長官の「子牛肉が輸出条件の適用対象に最近加えられた」 

発言に日本政府は無反応です。事実無根と抗議してません。これは子牛の除外が非公然の日米合意だった事を示唆しますが、そうした合意を物語る物は報告書にはありません。
今回の違反事件の真の原因は、未だ闇の中に隠蔽されています。





nice!(0)  トラックバック(0) 

米国産牛肉、BSE食品安全委員会の輸入OK答申は破綻した?? 先週(2006/1/30-2/5)の米国BSEニュースやぶ睨み [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-06 2006年2月6日小針店で印刷・配布の再掲



 一番注目は米農務省BSE対策の監査報告です。月齢や特定危険部位SRM除去などが報道されてますが、「米国のサーベイランスによるBSE発生率推計は信頼できない」という点が重要。食品安全委員会は「米国(の年間の新たなBSE感染)はサーベイランスデータでは100万頭当たり約1 頭、侵入リスクでは100 万頭当たり約2~ 3 頭」とし20ヶ月齢以下、SRM除去などすれば安全性は国産とほぼ同じ、だから輸入OK。

 SRM除去は"×"。先々週お伝えしたようにカナダからの侵入リスクを無視しているから、この部分も"×"。残るサーベイランス云々も米農務省の内部監査で「信頼できない」結果ですから、このくだり"×"。つまり安全委員会の輸入OKの答申は、破綻しています。客観的には評価をやり直す必要があります。

 しかし、国会などでは農相に辞めろ、辞めないの見た目は派手ですがそうした実質的論議はなく、事前査察強化で収まりそうです。査察は必要ですが、いくら強化しても、四六時中全てのと畜に日本の検査官が立ち会っていられない。本当に大事なのは、新たなBSE感染を予防する飼料規制の強化と、それを検証するサーベイランスの強化です。安全委も答申で農水省などに対米交渉を求めています。即効性はないですが新たなBSE感染がなくなれば、日本人だけでなく米国人もより安全・安心な米国産牛肉を食べれるのですから何の遠慮がいるのでしょう。

農業情報研究所米農務省BSE対策監査報告 米国のサーベイランスによるBSE発生率推計は信頼できない 


OIEが月齢制限、BSEの感染牛や感染疑いの牛を除外する条件の削除を提案

 日本農業新聞2/55の記事より
牛肉貿易でOIE 月齢制限の削除提案

国際獣疫事務局(OIE)が、牛肉の貿易条件を緩和し「30ヶ月齢以下」の制限をなくして全月齢の牛肉輸出を認める基準案改正案を加盟国に示したことが4日、分かった。BSEの感染牛や感染疑いの牛を除外する条件もなくなる見込み。改正案は、5月のOIE総会で論議される。

プリオン専門部会のある専門委員は「日本の高齢死亡牛では末梢神経でも病源体が検出された。科学的な論議に逆行するもので受け入れられない」と批判している。

BSEの感染牛や感染疑いの牛を除外する条件は、05年のOIE総会で日本が主張して追加したもので、農水省は、この改正案を問題視している。専門家や消費者らの意見を聞いて日本政府の対応を決める。

後略。

虹屋のやぶ睨み見解
2005年の事務協定案改正案では
gdeboned skeletal muscle meat (excluding mechanically separated meat) from cattle which were not subjected to a stunning process, prior to slaughter, with a device injecting compressed air or gas into the cranial cavity, or to a pithing process;
と殺に先立って、器具を用いて頭蓋腔への圧縮空気又はガスを注入する方法を用いたスタンニング行程又は脊髄の破壊法(ピッシング行程)が行われていない牛に由来する脱骨された骨格筋肉(機械的除去肉を除く。)

2005年総会で採択された規定
deboned skeletal muscle meat (excluding mechanically separated meat) from cattle 30 months of age or less, which were not subjected to a stunning process, prior to slaughter, with a device injecting compressed air or gas into the cranial cavity, or to a pithing process, and which were subject to ante-mortem and post-mortem inspections and were not suspect or confirmed BSE cases; and which has been prepared in a manner to avoid contamination with tissues listed in Article 2.3.13.13.;(SRMの規定)

交渉の経過では
30ヶ月齢以下、SRM除去の条件は、EUの提案で追加
と畜前と後で検分、BSE感染疑いの牛を除外する条件は、日本が提案。

農業新聞の記事では、日本提案で追加された条件は削除。EU提案の条件では30ヶ月齢以下の部分だけ削除となる。SRM除去まで削除されるなら2005年の事務局案を再提出したわけだ。

5月の総会で論議とあるが、それまで行われる米国産牛肉の再々開をめぐる日米交渉の中で、米国側は議員の発言等をみると月例制限とSRM除去の撤廃を言い出してくるだろう。米国側の要求する30ヶ月齢までの引き上げは夏まで待てば、ほぼ自動的に達成されるから、力点はSRM除去の撤廃(もしくは米国流のSRM除外)に置かれる。中川大臣の発言や報道を見ていると、SRM除去が日本だけが米国に要求している特殊な条件のような発言や解説がなされている。こうした様々な報道のサイトなどをみると、すでに米国のこの主張・利害の受け皿・代理人となる世論の醸成が行われている。OIEが今年提案した改正案の詳細な公表が待たれる。

葬られた事前調査

 2/4日本農業新聞より
葬られた事前調査
米国産牛肉から牛海綿状脳症(BSE)に感染しやすい特定部位(SRM)のせき柱(背骨)が見つかった問題で、日本政府が昨年12月の輸入再開前に事前調査を行わなかったことに、野党などからの批判が集まっている。今回の不手際は直接的には米国の企業や農務省の検査官のミスが原因。しかし、事前調査を、なぜ日本政府はあきらめたのだろうか。
 政府は、11月18日の閣議で決めた「事前調査」について、厚労、農水両省とも必要と考えていたが、状況変化によって行わなかったという統一見解を示し、野党側の追及をかわそうとしている。
事前調査棚上げの始まりは2004年10月23日に合意された日米政府の局長レベル協議

査察システム「日米各々の関連する食品安全システムの同等性の検証のための査察および牛肉貿易再開の後、両国は、相手国施設の定期的な査察に協力する」相手国の監査(査察)システムについては日時を定めず協力するものの、施設への具体的な検査は「再開後」と断言しているのが特徴だ。

昨年11月、日本農業新聞のインタビューに応じた米農務省の幹部は、記者の質問をさえぎるようにして「日本が行うのは検査(インスペクション)ではない。観察(オブザベーション)だ」と言明した。米国の食肉安全制度を検査するのは「農務省以外にはありえない」という強い意志を示したものとみられる。
 日本政府も、米国側の検査に対するこだわりに異を唱えた節はない。農水省の石原葵事務次官は2日の記者会見で、米国産牛肉の検査に関連し「輸出国側(米国)が一義的に調べるというのが日本向け輸出プログラムの原則だ」と説明した。

EUは徹底調査、日本のホタテガイ輸出再開で
輸出国だけが検査に責任を持つという原則がいつも貫かれるわけではない。02年6月、欧州連合(EU)が日本産ホタテ貝の輸入を7年ぶりに再開した経過からは、別の姿もみえてくる。
 EUは1995年4月に、現地調査の結果を受け「衛生管理体制が十分ではない。」との理由で、日本産水産物の全面輸入禁止を決めた。12月にはほとんどが解禁されたものの、解読の恐れがあるとしてホタテガイの輸入禁止が残った。
 日本政府は翌96年、欧州の法令に基づく「対EU輸出ホタテガイの取り扱い要綱」を定め、貿易再開に向けた努力を開始。「わが国の食品衛生基準をはるかに上回る厳しい規制をクリアするため、輸出するホタテガイ業者は多額の設備投資を行った。」(水産庁加工流通課)。併せてEU側に早期貿易再開を求めた。
 再開の決め手になったのは、2001年9月のEUのてによる現地調査だった。最終的に日本産ホタテガイの輸入を認めたのは、その9ヵ月の手続きを経過してからだった。日本の水産物輸入禁止、再開の双方の場面で、決定的な役割を果したのはEU自らの手による現地調査だった。

南米に厳しい米国
安全衛生の分野に詳しい農水省OBの一人は「輸出国が食品の安全性に責任を持つという原則は当然だが、実際には先進国は開発途上国の食品安全制度を信頼せず、できるだけ自分たちで調べる。米国も南米では徹底的に現地調査をする。米国は、先進国である自国の安全性に不信を持たれることに不快感を抱いたのではないか」と日本の事前調査を受け入れなかった背景を説明する。
 日本の事前調査を不必要と考える米国。あえて踏み込んで求めなかった日本。輸入再開前の現地事前調査は、葬り去られた。

葦の髄から眺めてみると、米農務省の輸出許可も書類審査だけ??
日本が事前に査察をしていない理由の一つに、作業を行っていないから実際に牛肉がどのように処理されているか分からないというのがありますが、米農務省はその点をどのように確認したのでしょうか。
 輸出再開前には条件に従った処理をしていないというのなら、米農務省は輸出許可を交付する際に条件を守った処理作業が行われることをどうやって確認したのでしょう??
書類審査だけということ??
 日本へ輸出する企業なりが決められていくかという手順は、「ARC 1002 Procedure,Section 7, Program 
Requirements」にもとづいて決められていく。私の読解力ですと、The Audit, Review, and Compliance 
Branch が適格な輸出業者であるかどうかを認証する際には、その業者が作文したマニュアルなり、計画書が基準に適合した内容かどうかはチェックするようですが、きちんと実行できるのか、その点のチェックはない。QMSプログラムに沿った手続きになっているか。監査計画、監査役の選任、報告、フォローアップ活動、記録保持、などが適切に計画されているかはチェックが行われているが、現実に作業員なりにそのSRM除去マニュアルなどが伝わって実行できるか、いくら立派な条件に合った内容のマニュアルでも、作業員が「そんな話、上役から聞いたことない、マニュアルは見たことがない」ではどうしようもない。その実態はチェックされていない。
 東京新聞に「同じく同委員で九州大学大学院の甲斐諭教授は『日本から米国への牛肉輸出は、米国の検査官が来て、認証した工場で行われている。日本も、検査官が米国に行って認証した工場から輸入するシステムを構築すべきだ』と提案する。」

甲斐諭先生は、プリオン専門部会の委員の中で一番米国の畜産食肉業界に詳しい先生ですよ、それが、あの答申を出した後でこの発言とは。
 1月19日の専門部会のやり取りなどをみても、先生方も、輸入再開」→「 the Export Verification (EV) Program for 
Japanのためのリスティング開始」→「リスティングされた施設についての日本側の査察完了」→「査察完了施設からのシップメント開始」→「日本へのアメリカ牛肉の到着」、「米国の検査官が来て、認証した工場で行われている。」ように日本の検査官が認証した米国施設から日本に輸出されると考えていたのは明白ですね。
 BSE発生前の、日本からの輸出の取り決めでは、米国の検査官が来て、施設を認証しなければならないという明文の規定はないですよね。認証はあくまでも、日本の厚労省の権限。運用上、実質的に甲斐先生でさえ「米国の検査官が来て、認証した工場」と思うのが実態であったと。
「例えば日本から温州ミカンを輸出したい。
これはアメリカにないかんきつ類ですから、輸出すれば売れる可能性がある。
ただし、アメリカは州によってはなかなか輸入を認めなかった。
仮に輸入するとしても、きちんとミカン畑に来て、普通のアメリカ式の管理をしているところから何百メートルか離した畑でなければ、そこで収穫したミカンでなければ入れないとか、そういう厳しさというのは、やはりお互いの国民の食の安全・安心ということを守る以上、それは当然のことなのであって、(12月8日の食品安全委員会で、中村委員)」

今回のみは、その米国検査官の「認証」行為を米国が省いたため、日本も相互平等で輸出前の日本の検査官に査察を言い出せなかった、できなかったというところでしょうか??

米農務省が輸出許可、適合リストにのせる際には、作業実態は調査、検証はしていない。作業の検証をやっているのなら、その時に、日本に立会い、見学、査察をさせれば済む話です物ね。書類審査で済ませているのですから、日本に事前に調べに「見学」でもこられたら大変な騒ぎになりますよね。
 米国の作戦勝ちですね。結局、米農務省も日本政府も、輸出プログラムに合ったと畜、解体、食肉処理作業が行われるかは、わからない。業者任せということですね。
 おーっと、農務省の検査官が常駐していましたね。彼らが最後の砦。しかし、農務長官が再研修を言い出していますから、農務省も、この砦は当てにならないと告白されいますね。
 のこり38カッ所の施設も、作業の実態は検査せずに輸出許可が出されている。これらか輸出された肉、大丈夫なんでしょうか。脊柱は除いてあるか??11ヶ所は日本が「査察済み」ですけれど・・ 


日本の背割りとピッシング状況

 第35回食品安全委員会プリオン専門部会(2006/1/19)に提出された資料より
厚生労働省による調査の結果
平成17年9月末現在で牛のと畜を行っている施設・・・・・・・・・161
 背割りを行っていない施設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  6
 背割りを正中線からずらしている(脊髄管をはずしている)・・ 21
 背割前に脊髄吸引機などで除去を行っている・・・・・・・・・・・121

 背割りを行っている155施設では
 鋸の歯を洗浄しながら切断し、脊髄破片などを回収している・・153
 背割り鋸は1頭ごとに十分洗浄している・・・・・・・・・・・・・・・・・・154
 背割り後、脊柱の中の脊髄を器具で除去している・・・・・・・・・・154
 除去後、高圧水により洗浄している・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・153
 と畜検査員が枝肉への付着がないことを確認・・・・・・・・・・・・・155

ピッシング
 平成17年9月末現在で牛のと畜を行っている161施設中
 ピッシングを中止している・・・63(39%)
 行っている・・・・・・・・・・・・・・98(61%)

ピッシング中止予定 計画では平成20年度末までには全て中止
                      
平成17年度末までに中止・・・4  ピッシングされている牛の推計割合 72%
 〃  18 〃  までに中止・・・16    〃   62%
 〃  19 〃  までに中止・・・73    〃   4%
 〃  20 〃  までに中止・・・5     〃   0%


民主党は米国言質調査の結果を生かせるか

民主党が1月末から2月2日まで米国の現地調査に出かけた。の「処理中の牛の脊髄(せきずい)が周囲の肉に飛び散り、洗浄も不十分」などと報道されている。「出荷前の枝肉にも脊髄が付いていたのを確認した」食肉加工場は、カンザス州の大手パッカー、タイソン・フーズの処理場。対日輸出許可リストにある工場なのでしょうか??農水省らが12月に査察した11箇所のうちの一つなのでしょうか??

まず確認しておきたいのは、30ヶ月齢以下の牛なら脊髄が付着、残存していても米国の法令には違反しない。検査官は出荷をとめることは出来ないし、例の1000件余りの違反事例には含まれないケースですね。

これが対日輸出許可がある大手パッカーの工場だとすると、食品安全委員会のリスク評価が実態と合わないデータをもとに議論されていた評価したことになります。下記の30回専門部会の議事録の抜粋をお読みいただくと、大手パッカーでは全頭からSRMは完全に除去しているというデータで日本が輸入する牛肉は典型的には大手パッカーが処理した肉ということで議論評価している。
リスク管理だけでなくリスク評価も危ういのでは??


○ 厚労省輸入食品安全対策室長 日米間の協議の中では、勿論想定しているのは、まさに大手パッカーが処理したと、さかのぼればフィードロットで肥育したという典型的なものを想定して、それが大部分だということで議論はしています。 P42

○ 甲斐( 諭) 専門委員 
 S R M の除去は2 段階になっている。でも大手パッカーは全頭から除去していると。まず、2 段階というのは、全頭から扁桃腺と小腸は取る。それが一応義務化されているわけですが、次は3 0 か月以上の牛から頭蓋とか、脊髄だとか、脊柱だとか、背根神経節を除去するというのが義務化されているんです。
しかし、現実には、これが3 0 か月以下、30 か月以上と分けてやると非常に面倒だということもありますので、全頭から大手パッカーの場合は、3 0 か月以下であっても、全頭から頭蓋だとか、脊髄だとか、脊柱を除くというやり方をしている。
( P P )
それから、脊髄がどうなっているかということですが、アメリカの場合は、背割り後に脊髄を除去する。この場合は手で取って、それから洗浄するということになっているんですけれども、3 人で担当していて、まず、1 人が手で剥ぐ。2 番目の方が枝肉の脊髄の部分をこの機械で吸い込むんです。カットしながら吸い込む。かなり管も大きいです。カットしながら吸引していく。1 人の人が手で取る。2 番目の人が上部の脊髄をよく取る、この人が下の方の脊髄を吸い取るというふうになって、非常にきれいに取れているんです。
この中で、どんどん流れ作業でやっていますので、この人が取らなくてすっと行くということは考えられないんです。必ず取るように、正確な流れ作業なのです。2 , 0 0 0 人ぐらいの従業員がいて、そこでずっと流れ作業をやっているわけで、1 頭来たときに、これを飛び抜かして行くということは考えられないです。その後、枝肉洗浄は、アメリカの場合は5 ~ 6 回洗っていると。 P9

民主党の報告は米食肉業者に危険部位除去等対日基準遵守は困難、それにはどの食肉加工場を見てきたか書いてありません。
 これでは、「ご覧になったのは米国内向けの処理であって、日本向けの処理ではきちんとやります。やってます。やることを米国政府が保証してます。」という答弁で、幕が下りますね。4泊5日の日程で行って、ご苦労様ですが・・
 民主党は相変わらず、全頭検査を持ち出していますが、米国が飲むわけがない条件を持ち出すのは、最初から実のあるスキームを作るつもりがないのでしょう。米国で検討、パブコミまで行っている飼料規制の早期実施や内容強化を何故いわないのでしょう??こちらの方が、実効性もあるし・ 


日本でただ一人、人の狂牛病の患者さんの発症経過 2006-07d [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-0 2006年2月小針店で印刷・配布の再録です。



日本でただ一人、
人の狂牛病の患者さんの
発症経過


一昨年亡くなった日本で唯一、人の狂牛病vCD患者さんの学問的公式論文を英国医学雑誌・ランセットに山田正仁教授(金沢大・厚生労働省クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)サーベイランス委員会の委員長)が、発表しました。

 論文では、「患者がいつ病原体に曝されたか不明確である。彼が英国を訪問したとき、英国のBSE発生はまだ増加中で、彼が神経組織からのBSE病原体による汚染に結びついたかもしれない機械的回収肉の含む食品を食べたことが確認された。しかし、フランス、その他のヨーロッパの国[複数]、日本での暴露は排除できない。もし彼が英国でBSE病原体に(1回の)暴露されたとすれば、我々はそのようなピンポイントの暴露とvCJD発症の間の潜伏期間は11年半になると計算する」とし、その経過から人の狂牛病vCD(変異型CJD)の見逃しを防ぐために世界保健機関のvCJD診断基準を見直を提言しています。


 この男性は、1990年代前半に英国で24日、フランスで3日、当時は狂牛病発生の報告がなかったヨーロッパの他の国で2週間を滞在しました。手術・輸血歴はなく、家族にプリオン病の経歴もない遺伝的素因がない人です。


 発症 2001年6月(当時48歳):漢字を書くのが難しくなる。


 2001年10月:短気、人柄の変化、記憶障害などの心的症候を示し、脚部の感覚異常、運動失調、痴呆、異常行為がこれに続いた。


 2003年1月:運動失調、痴呆、筋過反射の症状が見られ急速に運動・認知機能が低下した。


 2003年10月:無動性無言、ミオクローヌス(筋の一部、あるいは全体が、突発的に速い不随意収縮をくり返す状態)・錐体路徴候が現れた。


 2004年12月:肺炎で亡くなった。解剖はvCJDの特徴を発見した。


 生前のMRIや脳波図などは、CJD(人間の海綿脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病)の可能性を示していました。死後の解剖で判ったのです。それで診断基準を見直しを提言しています。


 vCJDは輸血で拡がりますが、血液検査ではわかりません。その病像は十分に解明されてません。人間の海綿脳症CJDと誤診される可能性が高いのです。厚労省はCJD患者の中に含まれ得るvCJD患者の発見のため確定診断に不可欠な解剖経費の補助、国と都道府県が4月から、一件当たり25万円を補助するとしています。


日本研究者 WHOのvCJD診断基準見直しを提言 vCJD患者見逃しを防ぐため


nice!(0)  トラックバック(0) 

違法な背骨付き肉が来た理由 農水省の見解 2006-07c [牛‐肉、乳、飼育]


畑の便り  №06-0 2006年2月小針店で印刷・配布の再録です。



3月6日、農林水産省の
「「日本向け牛肉輸出証明プログラムに関する調査結果・対策報告書」に関する米国政府への照会について」
が発表


元本⇒http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20060306press_5b.pdf


USDA requested that veal be an eligible product to ship to Japan. On December 8, 2005, USDA Foreign Agricultural Services was informed by Japan that veal must conform to the requirements of the export verification program for Japan. A Japanese audit team visited the U.S. in mid-December, at which time the addition of veal was discussed. As it had done with beef products, Japan required all veal products to be approved under the USDA Export Verification (EV) Program for Japan.


USDAは子牛肉は適格性を有するよう求めていた。2005年12月8日、USDA海外農業局は日本向けの子牛肉がEVプログラムの条件を満たさなければならない旨の連絡を日本から受け取った。日本の査察チームは12月半ばに米国を訪問し、その時に子牛肉の追加に関して話し合われた。牛肉製品と同様に日本は全ての子牛肉製品がUSDAのEVプログラムの下で認定されるべきことを要求した。


今回の質問では「USDAは子牛肉は適格性を有するよう求めていた。」ことには農水・厚労省は言及し修正を求めていないから、こうした要求があったのは確かですね。この文のまえには交渉の経過が時系列で述べてありますが、それを見ても位置の時点でこれをUSDAが持ち出したのかわかりませんが。


 問題なのは日本側の対応、回答。USDAの要求をきっぱりと断っていれば、その旨記して削除を求めればよい。今、表沙汰になると困る言質を米国に与えてしまっている。その内容はプリオン専門部会の審議の流れを想起すると概ね見当がつきますが、その言質が7月のFSISの「子牛はEVプログラムの対象外」見解を導き出し、今回の違反を導き出している。今回の違反の端緒でこれが明らかのなると、日本政府、農水・厚労両省、小泉内閣の責任まで追及されますよね。


 その言質は米国側も明らかにしないで、日本政府牽制に使っている。「問題の言質を表沙汰にしないから、検査官、施設の個人的、個別的なミスが原因ということで、再研修で収めよう。」


 それに対する日本側の回答が、「修正を検討されたい。」表現を和らげて頂けませんかとお願いしているわけですね。


「他の対日輸出施設の認定及び検査は適切に行われ」たか米国に問うているが、それを担当する部署AMSに対する2


AMSに関する事項の項目の質問は、この報告書の中に既にある程度の資料が出ている。それを踏まえないで、抽象的な質問をしても、米国はこの報告書以上の内容のある返答をする必要が無い。4 FSISに関する事項や3 施設に関する事項でも同様。


特に問題なのは、「今回の事案がなぜ生じたのか、各段階における問題点を総括的に整理、検証すべきではないか。」といいながら成田では55kg見つかっている背骨付き肉が、報告書では45kgとなり明らかに調査が不十分なのに追求していない。これでは「今回の事案がなぜ生じたの」分かるはずが無い。


つまりこの質問の立て方は「原因究明はこの報告書で十分」というメッセージになっている。


総括すると、この質問は 米国政府の「問題の言質を表沙汰にしないから、検査官、施設の個人的、個別的なミスが原因ということで、再研修で収めよう。」提案を受け入れるというメッセージになっている。昨日の国会審議では民主党も追及をやめたことだし・・


(1)の「書面審査・現地査察において、どのような確認を実施しその実効性を含め妥当と判断したのか。G社、A社の評価結果を示されたい。」は下記がその評価結果。
 Golden’s AMS Quality System Assessment Desk Audit Atlantic’s AMS Quality System Assessment Desk Audit


http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit6.pdf


Golden’s AMS Notification of Audit Results Golden’s AMS Quality System Assessment Initial On-Site Audit


Atlantic’s AMS Notification of Audit Results Atlantic’s AMS Quality System Assessment Initial On-Site Audit


http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit8.pdf


(2)の 「査察を実施したAMSの監査官は、QSAプログラムの認定に関し、どの程度経験や理解があったのか。子牛肉に関するQSAプログラムやと畜場と部分肉処理施設が別の企業である場合のQSAプログラムの満たすべき内容について、十分な理解があったのか。」については下記に記述がある。


MOI AMS Auditor Darrell Wilson
http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit7.pdf


MOI AMS Auditor David Hildreth
http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit11.pdf


(3) の「A 社及びG 社は、12月15日に正式に申請し、1月4日に書面審査、1月6日に現地査察が行われ、即日認定されている。これは、非常に短期間での認定と思われるが、書面審査・現地査察において手順に即して適切な評価が行われなかったのではないか。」については


MOI AMS Audit Branch Chief James Riva http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit27.pdf


MOI AMS Branch Chief James Riva http://www.fsis.usda.gov/PDF/Japan_Export_Investigation_Exhibit36.pdf


nice!(0)  トラックバック(0) 

違法な背骨つき肉が来たわけ 米国報告書 2006-07b [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-0 2006年2月日小針店で印刷・配布の再録です。



3月3日に、米国農務省の
「日本向け牛肉輸出証明プログラム
に関する調査結果・対策報告書」
の日本語訳(仮訳)が公表
  全体版PDF早速に、誤訳、の指摘が 


wattanaさん。 笹山登生の掲 示 板:[3581]http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi


●1月20日に成田空港で確認されたせき柱つきの子牛肉は、Hotel Rack(7ribs)1箱とTrimmed Loin(4x4)2箱の合計3箱です。


●この3箱、そして同類に分類されるアイテムの日本語訳(仮訳)を見ると次のようになっています。


①Hotel Rack(7ribs)>>ホテルラック(7片)


②Hotel Rack Chop-Ready(7ribs)>>ホテルラックチョップ-準備済み(7片)


③Trimmed Loin Boneless(1x1)>>トリムドロイン骨無し


④Trimmed Loin(4x4)>>トリムドロイン


●トリムドロイン(整形ロイン)の日本語訳はいいとして、ホテルラックの日本語訳は、ちょっといただけません。以前にご紹介した米国農務省認定のIMPS Series300 for Fresh Veal and Calfをぜひ参照して、当該規格を正しく日本語訳して欲しいと思います。


★IMPS Series300を見ると、Hotel Rackには7ribs=肋骨7本付き(5番目から11番目の肋骨)と6ribs=肋骨6本付き(6番目~11番目)の2規格があります。したがい、7ribsは「ホテルラック(肋骨7本付き)」、または「ホテルラック(7本リブ)」と訳すべきです。7片と訳すと、1箱の中にHotel Rack(7ribs)が7片入っていたと勘違いします。


★Chop-Readyを「準備済み」と訳したのには驚きました!!子牛肉の部位についての知識の無い方が訳されたのでしょうか?
①chopとは厚切り肉のことで、Hotel Rackは、rib(肋骨)ribの間でChop(切る)して、骨付き厚切り肉になります。フランス料理店などの「骨付き子牛肉の・・・」といった料理に使われます。
②IMPS Series300の14ページにChop-Readyについての説明があります。簡単に訳すと「チョップレディとは、背骨が除去され、ナイフを使って簡単にチョップに加工ができる規格(カット)のこと」となります。 ※(背骨が付いているとナイフで簡単に切ることができません)
③したがい、Chop-Readyを日本語に訳したいなら「チョップ(厚切り肉)用」となると思います。


●せき柱が付いていることが確認された子牛肉の規格です。今回の問題を検証するに当たり最も重要な単語の一つにもかかわらず、日本語訳がいいかげんでは困ります。それとも、(仮訳)とした理由は、日本語訳に自信が無かったからなのでしょうか・・・


以上は笹山登生の掲 示 板:[3581]http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi



虹屋としてはcarcassesの訳は枝肉??ここでの用語を次のように整理して使ってみます。
○ 丸枝肉 セパレートする前の家畜を屠殺(とさつ)後、放血して皮をはぎ、頭部・内臓と四肢の先端を取り除いた骨付きの肉 米農務省の規格では”Carcass”
○ 半枝肉 脊骨に添って左右に二分したもの、半丸。大辞林 第二版 (三省堂)によれば普通は枝肉はこれを指します。米農務省の規格では”Side Carcass”
○ 屠体 内臓肉をとられていない屠殺(とさつ)され頭部、皮がはがれた状態、  新英和中辞典 第6版 (研究社)によればcarcass の第一義は(獣の)死体; (特に内臓をとった食用獣の)胴体


米農務省本文でもこれらが混同されていることと農水省版では枝肉と訳してあるので混乱・誤訳・不適切な和訳が起きているのではないでしょうか。


農水P25
AMS QSA プログラムの下で、ゴールデン社が認証済みの枝肉から内臓を輸出しようとした場合、全生産過程を通じて、適切な方法によって製品を識別(原料及び/又は完成製品)し、識別された全製品の記録並びにそれらの加工履歴に関する記録を保存するための文書化された手続きが必要とされる。


本文P22
Under the AMS QSA Program, if Golden had intended toexport offal from the certified carcasses, they would have been required to havedocumented procedures to identify product (raw materials and/or finished product) bysuitable means throughout production and to maintain records of all products identifiedand records of all changes of identities.

枝肉、丸であれ半であれ内臓肉はとれません。 offal from the certified carcasses の carcasses も 丸枝肉というIMPS Series300の定義どおり(複数形)ならoffal内臓肉はとれません。上記の場合は、屠体が適切ではないでしょうか。


農水P10
 またはP9 2005 年2 月18 日: 日本大使館はペン次官に日本政府がUSDA に対して、輸入米国産牛肉が20ヶ月齢以下であることを保証するA40の生理学的成熟度手法の論拠を補強するため、20ヶ月齢以上の牛に関して更に200頭の枝肉について試験結果を提供し
本文P10
February 18, 2005: Japanese Embassy officials informed Under Secretary Penn that theGovernment of Japan would like USDA to provide test results for another 200 carcasses for cattle older than 20 MOA in order to strengthen their defense of A40 physiologicalmaturity to serve to ensure that the age of imported U.S. beef is 20 MOA or younger,

A40の判定が背骨の断面を見て成熟度、色合いから判定するので、200 carcasses は 丸枝肉か半枝肉の複数形


問題なのは本文P18
On December 15, 2005, Elvira Cunha, Quality Assurance Manager, formally requested the services of AMS in an effort to obtain EV certification for slaughter only, of veal carcasses for Golden Veal Corporation and fabrication and distribution of veal products by Atlantic Veal and Lamb Incorporated.


農水の訳では
2005 年12 月15 日、品質管理責任者であるエルヴィラ・クーニャはゴールデン社のための子牛枝肉を得るためのとさつのみのEV 認定、そしてアトランティック社の子牛肉製品の解体及び流通に関するEV 認定を取得することについてAMS に正式に要請した。

 veal carcassesを農水のように子牛の枝肉と訳すと、アトランティック社、日本シ社は資格・許可も取らずに、違法に内臓肉などを輸出入しようとしていたことになります。 これを屠体と訳せば、全く意味合いが違ってきませんか?? どちらが妥当なのか?


nice!(0)  トラックバック(0) 

牛肉問題で米国政府 輸入早期再開に固執 2006-07a [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-0 2006年2月小針店で印刷・配布の再録です。



牛肉問題で米国政府
輸入早期再開に固執
2006年03月01日付 日本農業新聞


牛海綿状脳症(BSE)対策の不手際で米国産牛肉の輸入が停止されている問題で、米国政府は28日、6項目にわたる日本農業新聞の質問状に回答した。

日本向け牛肉にせき柱(背骨)が混入した責任を認めながらも、「こうした誤りの再発を防ぐための数々の対策をとってきた」と、あくまで輸入の早期再開に固執する姿勢を変えていない。また、日本政府が求めていた4項目の質問に対し、早急に農水省に回答する方針を明らかにした。
日本側の事前査察には「前向きに検討する」とした。

 米国政府は大使館を通じ「誤りが繰り返される可能性を最小限に抑えるために問題点を特定したが、私たちの(対策)システムは全体とすれば健全なものだ」と主張。今回の事件が例外的だとして早期再開を求めた。

 日本の消費者が貿易再開に不安を持っている点に対し、「(消費者が)感情ではなく、事実に基づいて判断することを望む」「多くの日本人が米国産牛肉を食べたいと考えている」などと述べ、米国の主張の“正当性”を強調。「近い将来に(米国産牛肉の輸入が)再開されるべきだ」と断言した。 日本が行っている全頭検査を、「若い牛に対するテストは信頼性に欠け、事実上何の意味もない」と強く批判した。


■甲斐諭九州大学大学院教授の話 米国政府は輸出市場である日本の消費者の不安をもっと深刻に受け止めてほしい。もう一度牛肉貿易を再開するためには日本政府のきちんとした査察が欠かせない。輸出できる施設を設備の整った大手に限るなどの条件が必要だ。日本政府は米国が飼料規制を強めることを要求するべきだ。 以上1面


2面 米国政府の回答要旨


3面解説
不安解消できず 「全頭検査」を切り捨て/牛肉問題で米が回答書 牛肉問題に対する今回の日本農業新聞への米国政府の回答は、日米合意に反し米国産牛肉に背骨が混入したことに対する米国側の「誤り」「公式謝罪」で始まるが、あくまで輸入の早期再開を求める内容だ。
安全性に不安を抱く日本の消費者や生産者に納得できるものとはとても言えない。

 農務省が17日に公表した調査報告書で、輸出を担当する検査官らが日米で合意した内容を知らなかったなど、ずさんな対応が明らかになった。強硬な姿勢で日本に貿易再開を要求した場合、ただでさえ不信感を抱く日本国民ににそっぽを向かれ、再開が遅れてしまうことを懸念してのことだろう。再開前に日本側の事前の検査を受け入れる方針を表明したのは、そうした反発を警戒してのことだ。

 しかし、混入事件が、単なる例外的なミスであり、農務省が明らかにした「対策」で十分に再発は防げると断言。回答全体は米国の牛海綿状脳症(BSE)対策の「システムは全体とすれば健全」という基本的な考えで一貫している。日本の全頭検査を「事実上何の意味もない」と切り捨てたことには、日本国内から反発の声が出そうだ。

 米国政府の立場は、米国の牛肉はそもそも安全という考えが根底にある。日米政府で合意した「20カ月齢以下に限定」「特定部位除去」という日本向け輸出プログラムさえ守れば問題なく、今回の調査報告書に盛り込んだ対策の徹底と日本側の事前査察で、早期再開にこぎ着ける、というシナリオを描く。一方で、消費者、生産者の反発で日本政府は「調査報告書では不十分」として、早期再開には慎重姿勢だ。

 回答は、米国が国内のBSEリスクをきちんと直視していないことを改めて示した。飼料規制強化など、日本国民の食の安全や納得を得られる抜本的な対策を抜きに、再開だけを急ぐべきではない。 (編集委員・山田優)


nice!(0)  トラックバック(0) 

米国BSEニュースやぶ睨み 2006/2/7より [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-0 2006年2月日小針店で印刷・配布の再録です。


これで良いの?食品安全委員会、
米国BSE調査、10分の1に縮小も
=07年度米農務省予算


 BSE調査、10分の1に縮小も=07年度米農務省予算 【ワシントン6日時事】米農務省当局者は6日、ブッシュ大統領が議会に提出した2007会計年度(06年10月~07年9月)予算教書で、BSE(牛海綿状脳症)の拡大調査継続費用の要求を見送ったことを明らかにした。同省は拡大調査の見直しを検討中で、このまま補正予算も計上されなければ米のBSE調査は現在の1割強の年間4万頭レベルに縮小することになる。 (時事通信) - 2月7日11時1分更新


食品安全委の答申の6
結論への付帯事項 ② 米国及びカナダにおけるBSE の汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応を行うためには、健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が必要である。管理対応がある程度効果を示し、流行が不連続で地域的な偏りや散発的な状況になった場合には、最低限、高リスク牛の全てを対象とした継続的なサーベイランスが必要であると考えられる。
1/19 プリオン専門部会にて


吉川座長 (議事録P41)
あと、今回の直接の査察の目的ではないですけれども、委員会として、先ほど飼料規制の問題が出ました。サーベイランスの問題に関しても直接輸出プログラム云々の問題ではないんですけれども、輸出対象となるものの背景リスクとして米国としてどういう対応を考えていくのか、その辺も査察ではないですけれども、リスクマネージメントとして米国側がサーベイランス規模を元に戻してしまうのか、あるいは拡大サーベイランスの格好で今後も情報を発信していくつもりなのか分かりますか。


農水省の国国際衛生対策室長 の説明(議事録P44)
申し訳ございません。1 点だけ御報告なんですけれども、先ほどサーベイランスの話が出ましたが、アメリカは1 2 月で本来はやめるつもりだった拡大サーベイランスは、現在、続けております。ただ、それはいつまでとは決めてはいません。今、当面続けるということで、現状同じ規模で続けております。


寺田委員長 (P42)
管理側もそうなんですけれども、私は委員会の委員長として、私も反省するところがあって、管理側がどういう行動をやるかというのをこっち側から働きかける、何となく受け身で管理側もやってくれるという感じがあって、それはまずかったなと反省しているんですけれども、こういうふうに答申を出したと、しかも附帯事項を付けていると。

附帯事項の中でリスクコミュニケーションをやってくださいと言っているんです。2つあって、リスクコミュニケーションをやってくださいということと、もう一つは何だったか、サーベイランスは向こうのお願いですね。そういうことをちょっとフォローすべきだったなと反省していますので、これは管理側だけの問題ではなくて、委員会の方がアクティブに管理側に働きかけなかったことがいけなかったかなと。

10分の1に減っても「BSE の汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応」は可能かな、食品安全委員会さん??





日本の査察前に、
輸入解禁の直後に
米国産牛肉が輸入されたわけ
1/19時点での農水省の説明


 1/19 第35回プリオン専門部会の議事録より(P37)
( この頃、背骨付きの子牛肉がニューヨークから成田へ飛行中)


○ 吉川座長
例えば、国内見直しのときとか、そういうのを考えると、素人で考えれば再開するに当たって、こういうふうに法律をなおして再開するぞと変えて、その上でこういうところを見てきて、その問題の有無を確認して、その上で日米で合意して、ここの施設から来るこういう製品については十分大丈夫だと思うんで入れようとなるだろうと、多分一般の人も我々委員もそういう解釈をしていたところがあったと思うんです。だから、逆に言うとプログラムは非常に早く進行したのはどういうことだったんだろうというところがあまりわからないということなんだと思います。


○ 農水省・道野輸入食品安全対策室長
私どもの方から一般の方に説明したときにも質問が出された内容でもあります。要するにまさに査察の意義というのはどういう意義があるのかということだと思います。 食品の輸出入の二国間での手続ということで言いますと、要するに輸入国の必要な要件を満たしているものを輸出するということに関して、輸出国政府が関与する場合には基本的に輸出国政府が一義的な責任を持って相手国のリクワイアメントに適合するものを輸出するための仕組みをつくる。

今回、対日輸出に関して言えば、アメリカ農務省がその仕組みをつくって、それを運営し、パッカーが遵守をする。そういうふうな仕組みになるわけです。 私どもが査察と日本語で言っているのは、これは英文でアメリカ側と交換した文章には、インスペクションではなくてオーディットという意味でして、その遵守状況について確認をする。もっと言えば、そのプログラムが機能していることについて、今度は輸入国側が輸出国側に行って確認をするというプロセスなわけです。
決して日本国の役人がアメリカに行って、そのアメリカの施設の輸出を許可したりとか、取り消したりとか、そういうことを直接的にやるという仕組みではございません。

 こういった仕組みは日本がアメリカに牛肉を輸出するプログラムでも全く同じでございまして、我々厚生労働省が責任を持って対米輸出施設を認定しています。認定技術も私どもがつくっている。 アメリカの基準に適合しているものについて、日本の政府なり担当都道府県が検査をして、適合するものについて証明を出すという仕組みになっております。それを年1 回、アメリカの査察団がやってきて、今回我々がやったような、いわゆる普通のオーディットをやるというような仕組みでありまして、したがって個別の施設が輸出するというものについての承認について、日本側が許可しなければいかぬということはないわけです。

 今回の場合、日本時間で1 2 月1 2 日で輸入を再開しますよということをアメリカ側に連絡をしたわけです。アメリカ側としては、直ちにその日をもって今度は輸出プログラムを施行したということになります。 では、なぜそんなに早く日本にその週の間に到着という現象が起きたかということでございますけれども、これに関しては勿論、日本でいわゆる対日E V プログラムの案について、私どもが諮問する段階ではもう既にアメリカでも公表され、U S D A のインターネットにも掲載をされております。 そのドラフトの段階で、勿論審議の内容によっては、そのドラフトの変更はあり得べしということの上で各パッカーは輸出プログラムを準備し、U S D A サイドもデスクオーディットと向こうでは言っていますけれども、恐らく書類の仮の事前審査ということをやっていたようです。

 ただし、施行した日以降に勿論その施設に農務省の担当官が出向いていって、実際に施設を確認し、オンサイトオーディットと向こうの方は言っていましたけれども、その上で認証するということをやっております。U S D A のホームページの方を御覧いただきますと、その承認日が各施設ごとに明記されておりまして、したがって、週内にやってきた第1 便については勿論ルール違反ということではなかったわけでございます。長くなりまして、済みません。以上のような状況でございます。


中略


それと、最初に第1便が来たのは非常に早かったもう一つの事情としては、インテグレーターだったので、かなり月齢のある程度わかっているものを非常に集めやすかったと、生産から肥育、と畜、食肉化ということが一貫してやれるような事情のあるパッカーがすぐに動いたということもあったので、かなり早く来たということに結果的にはなったんだと思います。





農水省、厚労省の責任


下の寺田委員長の発言からすれば、1/6に輸出許可をえ、20日には違反の背骨付き子牛肉を輸出する業者・施設に輸出許可を与えるような米農務省を、きちんと管理・監視できなかった日本のリスク機関、農水省・厚労省に一半の責任があるのではないだろうか。全てが米国の責任とは言えないのではないか??


 寺田委員長の12月21日の日本食糧新聞とのインタビューより
(米国の汚染状況をまず把握して、その上でEVプログラムで入ってくる物をリスク評価した)答申は二階建てになっている点が難しいんだと思います。わかりにくいという理由ですね。ほとんどが米国やカナダの牛肉のリスク評価及び汚染度の評価です。米国は日本と異なりサーベイランスとしてやっていますから、全頭検査をやってきた日本に較べてデータの質が日本に比べてよくありません。答申の結論部分は「米国の厳密な意味での汚染度の科学的評価は困難である。しかしながらEVプログラム(輸出プログラム)を加えるとリスクの差はあまり大きくない」という結論になります。

 例えば米国がかつての英国のような状況だったとすると、EVプログラムを作ったとしても科学的にリスクがあまり変わらないとは評価できないですね。米国はあまり汚染していないだろうと言う皮膚感覚だけでなく、日本ほど飼料規制は厳しくないですが、サーベイランスの結果を当てはめれば日本とそれほど変わらないという結論になります。米国は一時期の英国に較べればそれほど汚染されていないので、EVプログラムにのっとれば例えば30ヶ月齢以下でもいいのではないかと思います。厚労省と農水省にどうして30ヶ月で諮問しなかったのかと質問したら「国民感情に配慮」と言っていました。いずれ30ヶ月も諮問するのではないかと思っています。国内対策が先になるか分かりませんが。

 (EVプログラムなど)管理まで含めて両国はこういっているが、「本当にやるのかな」まで言及したら、評価なんかできません。「これはこういうことですよ」という前提で評価しなければばらないのですが、その前提は管理側が何らかの責任をもって管理側がきちんとやりますよといっていました。8月頃になって農水省、厚労省にきちんと監視するのでしょうねと確認を求めたら、「米国、カナダ政府がやります」と言い出しました。これで少し調査会が混乱しました。専門調査会で(米国や農水省の言っている事は)信用できないなどと言った発言が繰り返しでて、収拾がつかなくなったので私の方で(「法令順守を前提とすべき」)と発言しました。・・リスク管理側がきちんとやるんだと言っているのだから、評価側はそれに沿うしかないですね。EVプログラムそのものがまもられているかどうか評価機関(=食品安全委員会)ではできません。


第35回食品安全委員会プリオン専門部会(2006/1/19)での発言より
議事録P40
(食品の輸出入の二国間での手続では輸入国の必要な要件を満たしているものを輸出するということに関して、輸出国政府が関与する場合には基本的に輸出国政府が一義的な責任を持って相手国のリクワイアメントに適合するものを輸出するための仕組みをつくる。)アメリカの政府はプライマリーに責任を持っていると。だけれども専門調査会で厚生労働省、農林水産省の方も来ている場で管理側が責任を持ちますと言っておられたんです、 議事録を見ればわかります。終わりの2回ぐらいになって、これはアメリカの政府だと、事実はそうだと思うんですけれども、アメリカ政府が持つんだけれども、アメリカ政府がそういうふうに管理をやるように、きちんとやるのが私どもの責任だという立場で、何か起きたときに、逃げるわけではなくて、ジャッジメントは向こうです。アメリカだと思います。私らは見ているわけではないんだからわからない。

 それで、明らかにアセッサーの方から見て、これはおかしいと思ったら、管理側に勧告ということがあるわけです。だけれども、私ども直接初めからああだ、こうだと、これは私個人が決めたわけではないんだけれども、私はそういうふうに思っています。





OIE(国際獣疫事務局)は、
どうやってBSEを根絶する
つもりなのか??


米国の巧みな外交、世界戦略、長期にわたって軸の利益を実現していく姿勢が良く顕れています。しかしこれでは、吉川弘康座長(食品安全委員会、プリオン専門調査会)のいうとおり「これでBSEを制圧できるのか。どんな戦略でBSEに立ち向かうのかみえない」。

国際獣疫事務局(OIE) 家畜の国際的な衛生基準を決める機関で、167カ国・地域が加盟する。本部はパリ。日本は1930年に加盟した。毎年5月の総会で各国政府の家畜衛生担当官が牛海綿状脳症(BSE)などの国際基準の改正を議論、採択する。2006年の総会は5月21~27日。国際基準は、世界貿易機関(WTO)が貿易紛争を仲裁する際の判断の根拠になる。各国は基準より厳しい措置を取れるが、正当性を科学的に立証する必要がある。

2006年02月08日付日本農業新聞より
OIEのBSE国際基準緩和案のポイント

牛肉の貿易条件から 生後30ヶ月齢以下の月齢制限と感染牛や感染疑い牛の排除の項目を削除

BSE汚染度の国別ランク付け方法を変更
 全感染牛が8歳以上の高齢牛であれば「無視できるリスク国」として特定危険部位の除去なしで牛肉輸出が可能サーベイランス(汚染状況を監視するための検査)基準を変更

 段階的な縮小の方針を盛り込む殺処分する擬似患畜の範囲を縮小
 感染雌牛の発症前2年以内または発症後に生まれた産子を範囲から削除

BSE国際基準緩和案 月齢撤廃に反発/農水・厚労省専門家会合農水・厚労の両省は7日、専門家会合を都内で開き、家畜衛生の国際基準を決める国際獣疫事務局(OIE)が示した牛海綿状脳症(BSE)対策の基準改正案について意見を聞いた。骨なし牛肉であればBSE発生国産でも全月齢で輸出入を認めるなど基準緩和案を出したことに大半の専門家が「科学的根拠が示されていない」「基準の決め方が不透明」と猛反発した。 農水省は、生産者や食品事業者らとの意見交換会を経て政府の対応方針を決め、17日までにOIE事務局に意見を提出する。基準採択を決める5月のOIE総会では国内外の科学データを基に反論するとみられる。

 OIEの改正案は、牛肉の貿易条件や検査基準などBSE対策に必要な規制を全体的に緩和する。骨なし牛肉の貿易条件では、生後30ヶ月齢以下の月齢制限と、感染牛や感染牛疑い牛の排除の2項目を削除する。会合では、月齢制限の削除に対して、日本やドイツで高齢牛の末梢(まっしょう)神経からBSE病原体が見つかっていることから複数の委員が制限の必要性を指摘。「(危険があるとして)検査の重点を生後30ヶ月齢超に置くOIE自身の基準と矛盾している」との意見もあった。汚染状況を監視する検査基準は、検出感度を従来より下げた上、一定の頭数を検査すれば、段階的に対象数を減らす考えが示された。 食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川泰弘座長は、この基準を適用すると米国が牛肉貿易に制限を受けない「リスクが無視できる国」になり、全頭検査をする日本が厳しい制限を受ける「リスクが不明な国」に該当する問題点を指摘。「これでBSEを制圧できるのか。どんな戦略でBSEに立ち向かうのかみえない」と厳しく批判した。


2006年02月10日付日本農業新聞
牛肉貿易のOIE案 「変更の根拠ない」/食品安全委   内閣府食品安全委員会は9日、定例会合を開き、国際獣疫事務局(OIE)が示した牛海綿状脳症(BSE)国際基準の改正案について農水省から報告を受けた。牛肉の貿易条件から生後30カ月以下の月齢制限をはずすなどの変更点の根拠が明示されていないことに、委員から疑問が相次いだ。

寺田雅昭委員長は会合後に「(基準案作りの過程が)透明性に欠ける気がする」との印象を述べた。 農水省は、OIE事務局に根拠の明示を強く求めていく方針だ。 OIEは改正案で、牛肉の貿易条件にと畜前後の検査で合格するとの項目を加えている。委員からは、BSEに関する検査の内容が各国で異なることを問題視し、統一を求める意見も出た。農水省は、BSEの診断基準や定義の統一が、改正案の採択を決める5月のOIE総会で焦 点の一つになると の考えを示した。





2004年11月に
米国BSE2例目が
発覚していたら??


日本の蒸し暑い夏、昨年7月。食品安全委員会で米国産牛肉の輸入再開を廻って審議が行われている最中に米国BSE2例目ガ発覚しました。下の記事を読むと米国が検査、BSEサーベイランスに真剣に取り組んでいれば、2004年の年末には発覚していたことが分かります。 歴史にIFはありませんが、一昨年11、12月に発覚していれば、輸入再開のための条件、農水省・厚労省の安全委への諮問内容が大幅に変わっていたのではないでしょうか??


2006年02月08日付日本農業新聞より
米国のBSEいったん「シロ」 再検査の声退ける [2006年02月08日付]

1回目の検査ではクロ。手順の異なる2回目の検査では灰色。再検査を求める研究者たちの要望を「検査態勢の信頼性にかかわるから」と握りつぶし、米国農務省は強引に「シロ」と発表していた。
2004年11月に始まった米国の2頭目の牛海綿状脳症(BSE)患畜発見をめぐるドラマの裏側が、先週公表された同省のお目付け機関である監査局(OIG)の報告書で明らかになった。「科学者としての経験からすると、(2回の迅速テストで陽性の)あれは99%クロだね」農務省は04年11月18日、2回の迅速テストを経て疑陽性の牛を発見したと発表した。その直後にニューヨーク郊外でインタビューした米国消費者連盟の食品専門家のマイケル・ハンセン博士は、記者の質問にこう言い切った。
03年12月にワシントン州で1頭目の患畜が発見され、2頭目の発見かと、米国のメディアも大きく報道していた。 ところが23日には、農務省は「国際的な標準と認められている手法で最終確認したところ、陰性だった」と発表。米国政府も1頭目も「カナダ産」という理由で、「米国のBSE患畜は発見されていない」と主張。いったん締め出された海外市場に対する貿易再開の攻勢を強めた。


米農務省監査局(OIG)の報告書は、本来科学的であるべきBSE検査の根幹、陽性の判定作業を、自分たちの都合によって大きく捻じ曲げようとした農務省幹部のごり押しを明るみに出した。 「なんとしてもクロは発見したくない」。手順に反してサンプルを冷凍し、日本や英国で利用する感度の高い検査方法は使わない。検査の都合の良いところだけを取り出して公表する。これでは米国の検査体制そのものの信頼性が問われる。先月は食肉施設と検査官の見逃しで特定部位の背骨が日本に輸出されて大きな問題となったが、今回のOIG報告書は根本的な部分のずさんさを示したものだ。


▽迅速テストで6回クロ 2004年11月、歩行困難な牛から採取した脳を、州の施設が感度の高い迅速検査で調べたところ、3度にわたって強い陽性と判定された。農務省の定める手続きに従って、サンプルを国立獣医研究所(NVSL)に送った。NVSLでも迅速検査は3度にわたってクロの判定だった。 陽性であることが強く疑われたが、免疫組織化学検査(IHC)と、顕微鏡による検査では陰性だったとして、米国農務省は「当該の牛は陰性だった」と公式発表していた。


▽NVSLでも灰色しかし、実際にはNVSLの検査が必ずしもシロとは言えなかったことが、報告書で分かった。 NVSLは脳から二つのサンプルを採取。一つは通常のIHCに回されて陰性と判定されたが、もう一つは実験用として検査され、その結果は「判断できず」だった。いわば灰色の結果が出ていたことになる。当惑した研究者たちは別のIHCと顕微鏡による判定を試みたところ、今度はシロ。


▽研究者の要請を無視 相次ぐちぐはぐな結論に、研究者たちは「再度の検査が必要だ」と主張。複数のIHC、日本などが採用し感度が高いといわれるウエスタン・ブロック(WB)などによる検査なども提案したものの、NVSLを統括する農務省の本部が「必要なし」と判断し、無理やり「シロだった」と発表したのが内幕だった。 「検査の信頼性を保つ」というのが農務省本部の言い分だが、理由になっていない。


▽サンプルを「凍結」さらに、NVSLはサンプルを「凍結」していることも判明した。国際的には検査前の凍結はIHCの感度が落ちるとされ、農務省の手順でも冷凍しないはず。報告書は、英国や日本でも一般的に使われている感度の高いWBなどを使わずIHCだけに固執した点を問題視している。


▽英国研究所も確認OIGの警告に押されるかたちでNVSLは05年6月にWBによる検査を行ったところ、3つのサンプルの一つが陽性と判明。念のため、英国の研究所に再確認を求めたが、ここでも陽性と判定された。半年以上の曲折を経て、米国で2頭目の患畜が最終的に判明した。





本当に小泉政府は
米ブッシュ政権に
飼料規制強化を要求するの?


[2006年02月09日付] 日本農業新聞
BSE対策で米国に 飼料規制強化へ警告/首相

小泉純一郎首相は8日の衆院予算委員会で、米国の牛海綿状脳症(BSE)対策の中で最も不備が指摘されている飼料規制の強化について、「具体的な事例を上げて、米国政府にきちんと伝える。警告するというのは大事だと思っている」と述べ、米国政府に強く要請していく考えを表明した。民主党の川内博史氏の質問に答えた。

川内氏は、米国ではBSEの感染源の一つとされる牛由来の肉骨粉を豚や鶏に与えることが認められていることから、牛の飼料と混じる「交差汚染」が心配されている問題を指摘。「食の安心と安全を守る立場から米国産牛肉の問題を議論する大前提だ」と政府に対応を迫った。これに対し小泉首相が前向きに答弁したほか、中川昭一農相はすでに飼料規制強化を米国に要請していることを強調した上で、「さらに強く、できるだけ早く日本の要望が取り入れられた米国産牛肉が確立されるように強く要望したい」との考えを重ねて示した。





輸血で英3例目のヤコブ病
8年後に発症


牛海綿状脳症(BSE)が感染して起こるとされる変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病。英国健康保護庁(HPA)が9日、輸血輸血を通して変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染した新たな3例目の発生が最近確認されたと発表。 HPA Press Statement:New case of variant CJD associated with blood transfusion,05.2.9 http://www.hpa.org.uk/hpa/news/articles/press_releases/2006/060209_cjd.htm


ある変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が、発症する1年8カ月前に献血をしました。その血液からつくられた血液製剤(血液成分輸血)を投与された人が、8年後に発症し、専門のナショナル・プリオン・クリニックで治療を受けているそうです。

 2004年に英国政府は、汚染された血液製剤を使っていると思われる血友病患者を中心に、数千の警告書簡をおくり、そのうちの30人については、感染したドナーからの献血を受けたことが確認され、今回の患者は、そのうちの一人。30人足らずの少数者のうち3人に感染が起きたことが確認された事は、vCJDが輸血により人から人に伝達できることのさらなる証拠であり、感染供血者からの輸血を受けた人の感染率が非常に高いことを意味します。

英国健康保護庁(HPA)感染症センター所長は、この3例目の確認は、輸血がvCJD伝達の比較的効率的なメカニズムであることを示唆すると警告しています。 また輸血により感染してから発症するまでに、かなりの潜伏期間があるのではないかと疑われます。その潜伏期間中に、献血・輸血・感染のサイクルが一巡り、二廻りする可能性があるわけです。血液検査で判別できない現状では、BSEが単に食品の安全だけでなく、輸血、現代の医療の安全性を根本から脅かす病であることを示しています。





BSE迅速検査で陽性となった場合、
最終的に陰性となるケースは少ない
完全にBSEを根絶するのであれば
完全な飼料規制が必要だ


日本農業新聞2/12 ダニー・マシューズ博士とのインタビュー
英国獣医研究所(VLA)の研究調査部門のトップ。BSE研究の世界的権威。
Q(農業新聞) OIG米農務省監察局は報告書のなかで04年11月にいったん陰性と結論付けた牛について「新たなBSE検査を農務省に行わせる前に海外の専門家に意見を求めた」としている


A(マシューズ博士) それは私だと思う。・・迅速検査で陽性となった場合、最終的に陰性となるケースは少ない。・・


Q それは米国農務省の検査が劣っていたからか
A 多くの国では英国ほどBSEのサンプルは多くない。IHC(免疫組織化学的検査)の場合、(検査の過程で)様々な手順が必要だが、感度の設定などで戸惑うこともある。(経験が浅いところで)感染を見逃す可能性があるものだ。検査の習熟度を上げるために、欧州では年に2回の研修会を開いている。・・IHCがWB(ウエスタン・ブロット法)より劣ることはない。米国から送られたサンプルから、我々は明らかな陽性反応を得た。問題は習熟度だ。・・最近終えた研究では人工的に感染させた牛からサンプルを取り出し数ヶ月ごとに検査法の違いを調べた。早い段階ではIHCの方が優れている。

Q 農務省の姿勢に問題があるのか
A 私の立場で余所の国のことを「良い」とか悪いとか言えない。OIEでは検査の見直しの議論が出ている。最初の迅速検査で陽性の場合、もう一度別の迅速検査をして陽性であれば「陽性が確認された」ということにする方向だ。2度目にマイナスだったら、IHCやWBなど別の方法で3回目の検査をして確認すれば良い。米国のケースもこうした仕組みになれば、スムーズに確認できただろう。(検査の見直しは)1月に研究者で話し合った段階で、その後マニュアルの見直し、各国の意見を調整するため今年の5月(OIE総会)には無理だ。

Q 米国の飼料規制は抜け穴が多いと言う批判が多い。
A (家畜全体への肉骨粉の飼料を禁じている)欧州や日本と異なる部分的な規制では「抜け穴がある」と言えるかも知れない。完全にBSEを根絶するのであれば完全な飼料規制が必要だ。だが、BSEの汚染度が低い国では、部分規制で事態をコントロールしながらリスクを下げると言う考え方もある。米国政府はそういう方法を選択したのだろう。私は、それが必ずしも悪い考えだと思わない。食品安全対策はコストが掛かる。BSEのリスクに応じてどの部分に予算を策というのは各国が判断すべきだ。 


nice!(0)  トラックバック(0) 
前の10件 | - 牛‐肉、乳、飼育 ブログトップ