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牛肉問題で米国政府 輸入早期再開に固執 2006-07a [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-0 2006年2月小針店で印刷・配布の再録です。



牛肉問題で米国政府
輸入早期再開に固執
2006年03月01日付 日本農業新聞


牛海綿状脳症(BSE)対策の不手際で米国産牛肉の輸入が停止されている問題で、米国政府は28日、6項目にわたる日本農業新聞の質問状に回答した。

日本向け牛肉にせき柱(背骨)が混入した責任を認めながらも、「こうした誤りの再発を防ぐための数々の対策をとってきた」と、あくまで輸入の早期再開に固執する姿勢を変えていない。また、日本政府が求めていた4項目の質問に対し、早急に農水省に回答する方針を明らかにした。
日本側の事前査察には「前向きに検討する」とした。

 米国政府は大使館を通じ「誤りが繰り返される可能性を最小限に抑えるために問題点を特定したが、私たちの(対策)システムは全体とすれば健全なものだ」と主張。今回の事件が例外的だとして早期再開を求めた。

 日本の消費者が貿易再開に不安を持っている点に対し、「(消費者が)感情ではなく、事実に基づいて判断することを望む」「多くの日本人が米国産牛肉を食べたいと考えている」などと述べ、米国の主張の“正当性”を強調。「近い将来に(米国産牛肉の輸入が)再開されるべきだ」と断言した。 日本が行っている全頭検査を、「若い牛に対するテストは信頼性に欠け、事実上何の意味もない」と強く批判した。


■甲斐諭九州大学大学院教授の話 米国政府は輸出市場である日本の消費者の不安をもっと深刻に受け止めてほしい。もう一度牛肉貿易を再開するためには日本政府のきちんとした査察が欠かせない。輸出できる施設を設備の整った大手に限るなどの条件が必要だ。日本政府は米国が飼料規制を強めることを要求するべきだ。 以上1面


2面 米国政府の回答要旨


3面解説
不安解消できず 「全頭検査」を切り捨て/牛肉問題で米が回答書 牛肉問題に対する今回の日本農業新聞への米国政府の回答は、日米合意に反し米国産牛肉に背骨が混入したことに対する米国側の「誤り」「公式謝罪」で始まるが、あくまで輸入の早期再開を求める内容だ。
安全性に不安を抱く日本の消費者や生産者に納得できるものとはとても言えない。

 農務省が17日に公表した調査報告書で、輸出を担当する検査官らが日米で合意した内容を知らなかったなど、ずさんな対応が明らかになった。強硬な姿勢で日本に貿易再開を要求した場合、ただでさえ不信感を抱く日本国民ににそっぽを向かれ、再開が遅れてしまうことを懸念してのことだろう。再開前に日本側の事前の検査を受け入れる方針を表明したのは、そうした反発を警戒してのことだ。

 しかし、混入事件が、単なる例外的なミスであり、農務省が明らかにした「対策」で十分に再発は防げると断言。回答全体は米国の牛海綿状脳症(BSE)対策の「システムは全体とすれば健全」という基本的な考えで一貫している。日本の全頭検査を「事実上何の意味もない」と切り捨てたことには、日本国内から反発の声が出そうだ。

 米国政府の立場は、米国の牛肉はそもそも安全という考えが根底にある。日米政府で合意した「20カ月齢以下に限定」「特定部位除去」という日本向け輸出プログラムさえ守れば問題なく、今回の調査報告書に盛り込んだ対策の徹底と日本側の事前査察で、早期再開にこぎ着ける、というシナリオを描く。一方で、消費者、生産者の反発で日本政府は「調査報告書では不十分」として、早期再開には慎重姿勢だ。

 回答は、米国が国内のBSEリスクをきちんと直視していないことを改めて示した。飼料規制強化など、日本国民の食の安全や納得を得られる抜本的な対策を抜きに、再開だけを急ぐべきではない。 (編集委員・山田優)


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