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米国BSEニュースやぶ睨み 2006/2/7より [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №06-0 2006年2月日小針店で印刷・配布の再録です。


これで良いの?食品安全委員会、
米国BSE調査、10分の1に縮小も
=07年度米農務省予算


 BSE調査、10分の1に縮小も=07年度米農務省予算 【ワシントン6日時事】米農務省当局者は6日、ブッシュ大統領が議会に提出した2007会計年度(06年10月~07年9月)予算教書で、BSE(牛海綿状脳症)の拡大調査継続費用の要求を見送ったことを明らかにした。同省は拡大調査の見直しを検討中で、このまま補正予算も計上されなければ米のBSE調査は現在の1割強の年間4万頭レベルに縮小することになる。 (時事通信) - 2月7日11時1分更新


食品安全委の答申の6
結論への付帯事項 ② 米国及びカナダにおけるBSE の汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応を行うためには、健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が必要である。管理対応がある程度効果を示し、流行が不連続で地域的な偏りや散発的な状況になった場合には、最低限、高リスク牛の全てを対象とした継続的なサーベイランスが必要であると考えられる。
1/19 プリオン専門部会にて


吉川座長 (議事録P41)
あと、今回の直接の査察の目的ではないですけれども、委員会として、先ほど飼料規制の問題が出ました。サーベイランスの問題に関しても直接輸出プログラム云々の問題ではないんですけれども、輸出対象となるものの背景リスクとして米国としてどういう対応を考えていくのか、その辺も査察ではないですけれども、リスクマネージメントとして米国側がサーベイランス規模を元に戻してしまうのか、あるいは拡大サーベイランスの格好で今後も情報を発信していくつもりなのか分かりますか。


農水省の国国際衛生対策室長 の説明(議事録P44)
申し訳ございません。1 点だけ御報告なんですけれども、先ほどサーベイランスの話が出ましたが、アメリカは1 2 月で本来はやめるつもりだった拡大サーベイランスは、現在、続けております。ただ、それはいつまでとは決めてはいません。今、当面続けるということで、現状同じ規模で続けております。


寺田委員長 (P42)
管理側もそうなんですけれども、私は委員会の委員長として、私も反省するところがあって、管理側がどういう行動をやるかというのをこっち側から働きかける、何となく受け身で管理側もやってくれるという感じがあって、それはまずかったなと反省しているんですけれども、こういうふうに答申を出したと、しかも附帯事項を付けていると。

附帯事項の中でリスクコミュニケーションをやってくださいと言っているんです。2つあって、リスクコミュニケーションをやってくださいということと、もう一つは何だったか、サーベイランスは向こうのお願いですね。そういうことをちょっとフォローすべきだったなと反省していますので、これは管理側だけの問題ではなくて、委員会の方がアクティブに管理側に働きかけなかったことがいけなかったかなと。

10分の1に減っても「BSE の汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応」は可能かな、食品安全委員会さん??





日本の査察前に、
輸入解禁の直後に
米国産牛肉が輸入されたわけ
1/19時点での農水省の説明


 1/19 第35回プリオン専門部会の議事録より(P37)
( この頃、背骨付きの子牛肉がニューヨークから成田へ飛行中)


○ 吉川座長
例えば、国内見直しのときとか、そういうのを考えると、素人で考えれば再開するに当たって、こういうふうに法律をなおして再開するぞと変えて、その上でこういうところを見てきて、その問題の有無を確認して、その上で日米で合意して、ここの施設から来るこういう製品については十分大丈夫だと思うんで入れようとなるだろうと、多分一般の人も我々委員もそういう解釈をしていたところがあったと思うんです。だから、逆に言うとプログラムは非常に早く進行したのはどういうことだったんだろうというところがあまりわからないということなんだと思います。


○ 農水省・道野輸入食品安全対策室長
私どもの方から一般の方に説明したときにも質問が出された内容でもあります。要するにまさに査察の意義というのはどういう意義があるのかということだと思います。 食品の輸出入の二国間での手続ということで言いますと、要するに輸入国の必要な要件を満たしているものを輸出するということに関して、輸出国政府が関与する場合には基本的に輸出国政府が一義的な責任を持って相手国のリクワイアメントに適合するものを輸出するための仕組みをつくる。

今回、対日輸出に関して言えば、アメリカ農務省がその仕組みをつくって、それを運営し、パッカーが遵守をする。そういうふうな仕組みになるわけです。 私どもが査察と日本語で言っているのは、これは英文でアメリカ側と交換した文章には、インスペクションではなくてオーディットという意味でして、その遵守状況について確認をする。もっと言えば、そのプログラムが機能していることについて、今度は輸入国側が輸出国側に行って確認をするというプロセスなわけです。
決して日本国の役人がアメリカに行って、そのアメリカの施設の輸出を許可したりとか、取り消したりとか、そういうことを直接的にやるという仕組みではございません。

 こういった仕組みは日本がアメリカに牛肉を輸出するプログラムでも全く同じでございまして、我々厚生労働省が責任を持って対米輸出施設を認定しています。認定技術も私どもがつくっている。 アメリカの基準に適合しているものについて、日本の政府なり担当都道府県が検査をして、適合するものについて証明を出すという仕組みになっております。それを年1 回、アメリカの査察団がやってきて、今回我々がやったような、いわゆる普通のオーディットをやるというような仕組みでありまして、したがって個別の施設が輸出するというものについての承認について、日本側が許可しなければいかぬということはないわけです。

 今回の場合、日本時間で1 2 月1 2 日で輸入を再開しますよということをアメリカ側に連絡をしたわけです。アメリカ側としては、直ちにその日をもって今度は輸出プログラムを施行したということになります。 では、なぜそんなに早く日本にその週の間に到着という現象が起きたかということでございますけれども、これに関しては勿論、日本でいわゆる対日E V プログラムの案について、私どもが諮問する段階ではもう既にアメリカでも公表され、U S D A のインターネットにも掲載をされております。 そのドラフトの段階で、勿論審議の内容によっては、そのドラフトの変更はあり得べしということの上で各パッカーは輸出プログラムを準備し、U S D A サイドもデスクオーディットと向こうでは言っていますけれども、恐らく書類の仮の事前審査ということをやっていたようです。

 ただし、施行した日以降に勿論その施設に農務省の担当官が出向いていって、実際に施設を確認し、オンサイトオーディットと向こうの方は言っていましたけれども、その上で認証するということをやっております。U S D A のホームページの方を御覧いただきますと、その承認日が各施設ごとに明記されておりまして、したがって、週内にやってきた第1 便については勿論ルール違反ということではなかったわけでございます。長くなりまして、済みません。以上のような状況でございます。


中略


それと、最初に第1便が来たのは非常に早かったもう一つの事情としては、インテグレーターだったので、かなり月齢のある程度わかっているものを非常に集めやすかったと、生産から肥育、と畜、食肉化ということが一貫してやれるような事情のあるパッカーがすぐに動いたということもあったので、かなり早く来たということに結果的にはなったんだと思います。





農水省、厚労省の責任


下の寺田委員長の発言からすれば、1/6に輸出許可をえ、20日には違反の背骨付き子牛肉を輸出する業者・施設に輸出許可を与えるような米農務省を、きちんと管理・監視できなかった日本のリスク機関、農水省・厚労省に一半の責任があるのではないだろうか。全てが米国の責任とは言えないのではないか??


 寺田委員長の12月21日の日本食糧新聞とのインタビューより
(米国の汚染状況をまず把握して、その上でEVプログラムで入ってくる物をリスク評価した)答申は二階建てになっている点が難しいんだと思います。わかりにくいという理由ですね。ほとんどが米国やカナダの牛肉のリスク評価及び汚染度の評価です。米国は日本と異なりサーベイランスとしてやっていますから、全頭検査をやってきた日本に較べてデータの質が日本に比べてよくありません。答申の結論部分は「米国の厳密な意味での汚染度の科学的評価は困難である。しかしながらEVプログラム(輸出プログラム)を加えるとリスクの差はあまり大きくない」という結論になります。

 例えば米国がかつての英国のような状況だったとすると、EVプログラムを作ったとしても科学的にリスクがあまり変わらないとは評価できないですね。米国はあまり汚染していないだろうと言う皮膚感覚だけでなく、日本ほど飼料規制は厳しくないですが、サーベイランスの結果を当てはめれば日本とそれほど変わらないという結論になります。米国は一時期の英国に較べればそれほど汚染されていないので、EVプログラムにのっとれば例えば30ヶ月齢以下でもいいのではないかと思います。厚労省と農水省にどうして30ヶ月で諮問しなかったのかと質問したら「国民感情に配慮」と言っていました。いずれ30ヶ月も諮問するのではないかと思っています。国内対策が先になるか分かりませんが。

 (EVプログラムなど)管理まで含めて両国はこういっているが、「本当にやるのかな」まで言及したら、評価なんかできません。「これはこういうことですよ」という前提で評価しなければばらないのですが、その前提は管理側が何らかの責任をもって管理側がきちんとやりますよといっていました。8月頃になって農水省、厚労省にきちんと監視するのでしょうねと確認を求めたら、「米国、カナダ政府がやります」と言い出しました。これで少し調査会が混乱しました。専門調査会で(米国や農水省の言っている事は)信用できないなどと言った発言が繰り返しでて、収拾がつかなくなったので私の方で(「法令順守を前提とすべき」)と発言しました。・・リスク管理側がきちんとやるんだと言っているのだから、評価側はそれに沿うしかないですね。EVプログラムそのものがまもられているかどうか評価機関(=食品安全委員会)ではできません。


第35回食品安全委員会プリオン専門部会(2006/1/19)での発言より
議事録P40
(食品の輸出入の二国間での手続では輸入国の必要な要件を満たしているものを輸出するということに関して、輸出国政府が関与する場合には基本的に輸出国政府が一義的な責任を持って相手国のリクワイアメントに適合するものを輸出するための仕組みをつくる。)アメリカの政府はプライマリーに責任を持っていると。だけれども専門調査会で厚生労働省、農林水産省の方も来ている場で管理側が責任を持ちますと言っておられたんです、 議事録を見ればわかります。終わりの2回ぐらいになって、これはアメリカの政府だと、事実はそうだと思うんですけれども、アメリカ政府が持つんだけれども、アメリカ政府がそういうふうに管理をやるように、きちんとやるのが私どもの責任だという立場で、何か起きたときに、逃げるわけではなくて、ジャッジメントは向こうです。アメリカだと思います。私らは見ているわけではないんだからわからない。

 それで、明らかにアセッサーの方から見て、これはおかしいと思ったら、管理側に勧告ということがあるわけです。だけれども、私ども直接初めからああだ、こうだと、これは私個人が決めたわけではないんだけれども、私はそういうふうに思っています。





OIE(国際獣疫事務局)は、
どうやってBSEを根絶する
つもりなのか??


米国の巧みな外交、世界戦略、長期にわたって軸の利益を実現していく姿勢が良く顕れています。しかしこれでは、吉川弘康座長(食品安全委員会、プリオン専門調査会)のいうとおり「これでBSEを制圧できるのか。どんな戦略でBSEに立ち向かうのかみえない」。

国際獣疫事務局(OIE) 家畜の国際的な衛生基準を決める機関で、167カ国・地域が加盟する。本部はパリ。日本は1930年に加盟した。毎年5月の総会で各国政府の家畜衛生担当官が牛海綿状脳症(BSE)などの国際基準の改正を議論、採択する。2006年の総会は5月21~27日。国際基準は、世界貿易機関(WTO)が貿易紛争を仲裁する際の判断の根拠になる。各国は基準より厳しい措置を取れるが、正当性を科学的に立証する必要がある。

2006年02月08日付日本農業新聞より
OIEのBSE国際基準緩和案のポイント

牛肉の貿易条件から 生後30ヶ月齢以下の月齢制限と感染牛や感染疑い牛の排除の項目を削除

BSE汚染度の国別ランク付け方法を変更
 全感染牛が8歳以上の高齢牛であれば「無視できるリスク国」として特定危険部位の除去なしで牛肉輸出が可能サーベイランス(汚染状況を監視するための検査)基準を変更

 段階的な縮小の方針を盛り込む殺処分する擬似患畜の範囲を縮小
 感染雌牛の発症前2年以内または発症後に生まれた産子を範囲から削除

BSE国際基準緩和案 月齢撤廃に反発/農水・厚労省専門家会合農水・厚労の両省は7日、専門家会合を都内で開き、家畜衛生の国際基準を決める国際獣疫事務局(OIE)が示した牛海綿状脳症(BSE)対策の基準改正案について意見を聞いた。骨なし牛肉であればBSE発生国産でも全月齢で輸出入を認めるなど基準緩和案を出したことに大半の専門家が「科学的根拠が示されていない」「基準の決め方が不透明」と猛反発した。 農水省は、生産者や食品事業者らとの意見交換会を経て政府の対応方針を決め、17日までにOIE事務局に意見を提出する。基準採択を決める5月のOIE総会では国内外の科学データを基に反論するとみられる。

 OIEの改正案は、牛肉の貿易条件や検査基準などBSE対策に必要な規制を全体的に緩和する。骨なし牛肉の貿易条件では、生後30ヶ月齢以下の月齢制限と、感染牛や感染牛疑い牛の排除の2項目を削除する。会合では、月齢制限の削除に対して、日本やドイツで高齢牛の末梢(まっしょう)神経からBSE病原体が見つかっていることから複数の委員が制限の必要性を指摘。「(危険があるとして)検査の重点を生後30ヶ月齢超に置くOIE自身の基準と矛盾している」との意見もあった。汚染状況を監視する検査基準は、検出感度を従来より下げた上、一定の頭数を検査すれば、段階的に対象数を減らす考えが示された。 食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川泰弘座長は、この基準を適用すると米国が牛肉貿易に制限を受けない「リスクが無視できる国」になり、全頭検査をする日本が厳しい制限を受ける「リスクが不明な国」に該当する問題点を指摘。「これでBSEを制圧できるのか。どんな戦略でBSEに立ち向かうのかみえない」と厳しく批判した。


2006年02月10日付日本農業新聞
牛肉貿易のOIE案 「変更の根拠ない」/食品安全委   内閣府食品安全委員会は9日、定例会合を開き、国際獣疫事務局(OIE)が示した牛海綿状脳症(BSE)国際基準の改正案について農水省から報告を受けた。牛肉の貿易条件から生後30カ月以下の月齢制限をはずすなどの変更点の根拠が明示されていないことに、委員から疑問が相次いだ。

寺田雅昭委員長は会合後に「(基準案作りの過程が)透明性に欠ける気がする」との印象を述べた。 農水省は、OIE事務局に根拠の明示を強く求めていく方針だ。 OIEは改正案で、牛肉の貿易条件にと畜前後の検査で合格するとの項目を加えている。委員からは、BSEに関する検査の内容が各国で異なることを問題視し、統一を求める意見も出た。農水省は、BSEの診断基準や定義の統一が、改正案の採択を決める5月のOIE総会で焦 点の一つになると の考えを示した。





2004年11月に
米国BSE2例目が
発覚していたら??


日本の蒸し暑い夏、昨年7月。食品安全委員会で米国産牛肉の輸入再開を廻って審議が行われている最中に米国BSE2例目ガ発覚しました。下の記事を読むと米国が検査、BSEサーベイランスに真剣に取り組んでいれば、2004年の年末には発覚していたことが分かります。 歴史にIFはありませんが、一昨年11、12月に発覚していれば、輸入再開のための条件、農水省・厚労省の安全委への諮問内容が大幅に変わっていたのではないでしょうか??


2006年02月08日付日本農業新聞より
米国のBSEいったん「シロ」 再検査の声退ける [2006年02月08日付]

1回目の検査ではクロ。手順の異なる2回目の検査では灰色。再検査を求める研究者たちの要望を「検査態勢の信頼性にかかわるから」と握りつぶし、米国農務省は強引に「シロ」と発表していた。
2004年11月に始まった米国の2頭目の牛海綿状脳症(BSE)患畜発見をめぐるドラマの裏側が、先週公表された同省のお目付け機関である監査局(OIG)の報告書で明らかになった。「科学者としての経験からすると、(2回の迅速テストで陽性の)あれは99%クロだね」農務省は04年11月18日、2回の迅速テストを経て疑陽性の牛を発見したと発表した。その直後にニューヨーク郊外でインタビューした米国消費者連盟の食品専門家のマイケル・ハンセン博士は、記者の質問にこう言い切った。
03年12月にワシントン州で1頭目の患畜が発見され、2頭目の発見かと、米国のメディアも大きく報道していた。 ところが23日には、農務省は「国際的な標準と認められている手法で最終確認したところ、陰性だった」と発表。米国政府も1頭目も「カナダ産」という理由で、「米国のBSE患畜は発見されていない」と主張。いったん締め出された海外市場に対する貿易再開の攻勢を強めた。


米農務省監査局(OIG)の報告書は、本来科学的であるべきBSE検査の根幹、陽性の判定作業を、自分たちの都合によって大きく捻じ曲げようとした農務省幹部のごり押しを明るみに出した。 「なんとしてもクロは発見したくない」。手順に反してサンプルを冷凍し、日本や英国で利用する感度の高い検査方法は使わない。検査の都合の良いところだけを取り出して公表する。これでは米国の検査体制そのものの信頼性が問われる。先月は食肉施設と検査官の見逃しで特定部位の背骨が日本に輸出されて大きな問題となったが、今回のOIG報告書は根本的な部分のずさんさを示したものだ。


▽迅速テストで6回クロ 2004年11月、歩行困難な牛から採取した脳を、州の施設が感度の高い迅速検査で調べたところ、3度にわたって強い陽性と判定された。農務省の定める手続きに従って、サンプルを国立獣医研究所(NVSL)に送った。NVSLでも迅速検査は3度にわたってクロの判定だった。 陽性であることが強く疑われたが、免疫組織化学検査(IHC)と、顕微鏡による検査では陰性だったとして、米国農務省は「当該の牛は陰性だった」と公式発表していた。


▽NVSLでも灰色しかし、実際にはNVSLの検査が必ずしもシロとは言えなかったことが、報告書で分かった。 NVSLは脳から二つのサンプルを採取。一つは通常のIHCに回されて陰性と判定されたが、もう一つは実験用として検査され、その結果は「判断できず」だった。いわば灰色の結果が出ていたことになる。当惑した研究者たちは別のIHCと顕微鏡による判定を試みたところ、今度はシロ。


▽研究者の要請を無視 相次ぐちぐはぐな結論に、研究者たちは「再度の検査が必要だ」と主張。複数のIHC、日本などが採用し感度が高いといわれるウエスタン・ブロック(WB)などによる検査なども提案したものの、NVSLを統括する農務省の本部が「必要なし」と判断し、無理やり「シロだった」と発表したのが内幕だった。 「検査の信頼性を保つ」というのが農務省本部の言い分だが、理由になっていない。


▽サンプルを「凍結」さらに、NVSLはサンプルを「凍結」していることも判明した。国際的には検査前の凍結はIHCの感度が落ちるとされ、農務省の手順でも冷凍しないはず。報告書は、英国や日本でも一般的に使われている感度の高いWBなどを使わずIHCだけに固執した点を問題視している。


▽英国研究所も確認OIGの警告に押されるかたちでNVSLは05年6月にWBによる検査を行ったところ、3つのサンプルの一つが陽性と判明。念のため、英国の研究所に再確認を求めたが、ここでも陽性と判定された。半年以上の曲折を経て、米国で2頭目の患畜が最終的に判明した。





本当に小泉政府は
米ブッシュ政権に
飼料規制強化を要求するの?


[2006年02月09日付] 日本農業新聞
BSE対策で米国に 飼料規制強化へ警告/首相

小泉純一郎首相は8日の衆院予算委員会で、米国の牛海綿状脳症(BSE)対策の中で最も不備が指摘されている飼料規制の強化について、「具体的な事例を上げて、米国政府にきちんと伝える。警告するというのは大事だと思っている」と述べ、米国政府に強く要請していく考えを表明した。民主党の川内博史氏の質問に答えた。

川内氏は、米国ではBSEの感染源の一つとされる牛由来の肉骨粉を豚や鶏に与えることが認められていることから、牛の飼料と混じる「交差汚染」が心配されている問題を指摘。「食の安心と安全を守る立場から米国産牛肉の問題を議論する大前提だ」と政府に対応を迫った。これに対し小泉首相が前向きに答弁したほか、中川昭一農相はすでに飼料規制強化を米国に要請していることを強調した上で、「さらに強く、できるだけ早く日本の要望が取り入れられた米国産牛肉が確立されるように強く要望したい」との考えを重ねて示した。





輸血で英3例目のヤコブ病
8年後に発症


牛海綿状脳症(BSE)が感染して起こるとされる変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病。英国健康保護庁(HPA)が9日、輸血輸血を通して変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染した新たな3例目の発生が最近確認されたと発表。 HPA Press Statement:New case of variant CJD associated with blood transfusion,05.2.9 http://www.hpa.org.uk/hpa/news/articles/press_releases/2006/060209_cjd.htm


ある変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が、発症する1年8カ月前に献血をしました。その血液からつくられた血液製剤(血液成分輸血)を投与された人が、8年後に発症し、専門のナショナル・プリオン・クリニックで治療を受けているそうです。

 2004年に英国政府は、汚染された血液製剤を使っていると思われる血友病患者を中心に、数千の警告書簡をおくり、そのうちの30人については、感染したドナーからの献血を受けたことが確認され、今回の患者は、そのうちの一人。30人足らずの少数者のうち3人に感染が起きたことが確認された事は、vCJDが輸血により人から人に伝達できることのさらなる証拠であり、感染供血者からの輸血を受けた人の感染率が非常に高いことを意味します。

英国健康保護庁(HPA)感染症センター所長は、この3例目の確認は、輸血がvCJD伝達の比較的効率的なメカニズムであることを示唆すると警告しています。 また輸血により感染してから発症するまでに、かなりの潜伏期間があるのではないかと疑われます。その潜伏期間中に、献血・輸血・感染のサイクルが一巡り、二廻りする可能性があるわけです。血液検査で判別できない現状では、BSEが単に食品の安全だけでなく、輸血、現代の医療の安全性を根本から脅かす病であることを示しています。





BSE迅速検査で陽性となった場合、
最終的に陰性となるケースは少ない
完全にBSEを根絶するのであれば
完全な飼料規制が必要だ


日本農業新聞2/12 ダニー・マシューズ博士とのインタビュー
英国獣医研究所(VLA)の研究調査部門のトップ。BSE研究の世界的権威。
Q(農業新聞) OIG米農務省監察局は報告書のなかで04年11月にいったん陰性と結論付けた牛について「新たなBSE検査を農務省に行わせる前に海外の専門家に意見を求めた」としている


A(マシューズ博士) それは私だと思う。・・迅速検査で陽性となった場合、最終的に陰性となるケースは少ない。・・


Q それは米国農務省の検査が劣っていたからか
A 多くの国では英国ほどBSEのサンプルは多くない。IHC(免疫組織化学的検査)の場合、(検査の過程で)様々な手順が必要だが、感度の設定などで戸惑うこともある。(経験が浅いところで)感染を見逃す可能性があるものだ。検査の習熟度を上げるために、欧州では年に2回の研修会を開いている。・・IHCがWB(ウエスタン・ブロット法)より劣ることはない。米国から送られたサンプルから、我々は明らかな陽性反応を得た。問題は習熟度だ。・・最近終えた研究では人工的に感染させた牛からサンプルを取り出し数ヶ月ごとに検査法の違いを調べた。早い段階ではIHCの方が優れている。

Q 農務省の姿勢に問題があるのか
A 私の立場で余所の国のことを「良い」とか悪いとか言えない。OIEでは検査の見直しの議論が出ている。最初の迅速検査で陽性の場合、もう一度別の迅速検査をして陽性であれば「陽性が確認された」ということにする方向だ。2度目にマイナスだったら、IHCやWBなど別の方法で3回目の検査をして確認すれば良い。米国のケースもこうした仕組みになれば、スムーズに確認できただろう。(検査の見直しは)1月に研究者で話し合った段階で、その後マニュアルの見直し、各国の意見を調整するため今年の5月(OIE総会)には無理だ。

Q 米国の飼料規制は抜け穴が多いと言う批判が多い。
A (家畜全体への肉骨粉の飼料を禁じている)欧州や日本と異なる部分的な規制では「抜け穴がある」と言えるかも知れない。完全にBSEを根絶するのであれば完全な飼料規制が必要だ。だが、BSEの汚染度が低い国では、部分規制で事態をコントロールしながらリスクを下げると言う考え方もある。米国政府はそういう方法を選択したのだろう。私は、それが必ずしも悪い考えだと思わない。食品安全対策はコストが掛かる。BSEのリスクに応じてどの部分に予算を策というのは各国が判断すべきだ。 


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