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搾油の工程、やり方(3) 玉絞め法、板締水圧機(プレートプレス) [油脂ー搾油、栄養、コレステロール]

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「油搾木(あぶらしめぎ)式」で搾油された綿実油に、石灰を混ぜ合わせ和紙で漉して透明にする「灰直し」製法が生まれ精製された白油が出回り始めてから約250年後に明治維新(1868年)をむかえます。「矢締め式」「油搾木(あぶらしめぎ)式」の搾油は、動力が人力から水力・蒸気力・電気力と変わりながら寛政年間から明治末期まで各地で続けられ ました。現在、日本で唯一綿実油を搾油している岡村製油㈱は、1892・明治25年創業当時は「油搾木式」(立木式)を使っています。

開国後、搾油・精油のさまざまな技術が入ってきます。

まず、油圧で下の菜種などの入った臼を押し上げる玉締め法(玉搾り)がでてきます。
明治5年製の玉搾り機が、虹屋で扱っている黒ごま油の鹿北製油(鹿児島県)では現役で働いています。


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下から上へ、油圧で下の台をゆっくりゆっくり押し上げます。しばらくすると、じわりじわりと油が出てきます。この方法だと原料にかかる圧力がとても低い(玉締め絞りでの最高圧力は150~170kg/c㎡)ため、摩擦熱が小さい。搾る度に入れ替える(バッチ式)ので、熱が機械にこもることもありません。ビタミンEなどがたっぷり残ります。
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油分の20~30%くらいと江戸時代からの「油搾木式」と同程度しか搾り出せません。しかし、労働力が大幅に減ります。灘の水車搾りでは5人体制(搾り人一人・添槌一人・親司一人・下働き二人)でしたが、搾り人一人・添槌一人は不要になります。現在も使っている製油所では、二人程度です。灘の水車搾りで菜種油は5人で1日で3石6斗約540kgで一人当り約110kg、玉締め法(玉搾り)では約800kg(鹿北製油)で一人当り約400kgです。

江戸時代の油需要の大半は、灯明・行灯の燃料でした。明治になり石油ランプが入ってきます。明るさが灯明の0.25燭光、行灯の0.2燭光をはるかに上回る3.2燭光であったことや当時の灯油価格が菜種油に比べて半値であったことから急速に普及します。菜種油の需要が激減。菜種油の搾油は、まずコストを下げることが課題になり、それにあっていました。

明治20(1877)年頃に丸板や長板を水圧をかけて押付けて搾る板締め水圧機(プレートプレス)「搾油機一台に鉄製棚板十五段あり、人毛にて編みたる手袋という布にて原料粉末を包み、板締機にて予め整形したるものを格段に装填加圧するもの」が輸入され利用されます。1台で1日約8000kg程度搾ることが可能だそうです。。

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オリーブ油

四日市製油会社(創立、明治21年)は、これで「一昼夜に凡そ百石(1石=約150kg)の菜種子を圧搾せり。これ等の機械一式の代価は四万五千円なりと云ふ。而して、一昼夜の営業費用は凡そ参拾円余なりしと云へば、即ち菜種子一石につき参拾銭の割台なりしなり。されば、これを四日市附近の日本風の搾り器に依る菜種子一石の搾り費用凡そ六拾銭なりしに比ぶれば、その生産費は僅かに半額なりしを知るべし」 出典


玉絞め法と板締め水圧機(プレートプレス)は、原料の菜種などを布状の濾過材・搾布で包みます。圧搾の圧力が高いと布が破れて、油に原料が混じってしまいます。そのため、圧搾の最高圧力が玉締め絞りで150~170kg/c㎡、プレートプレスは110kg/c㎡程度です。

板締め水圧機では、水平方向(圧縮方向に直角方向)は開放されています。玉絞め法では、タガがはまっています。

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「前の桶のようなものは、外側は鉄製の『わっか』を三段重ねにし、その中に鉄の板を並べただけのものです。
鉄製のわっかの底にはマットを敷き、帯状に編んだ繊維を内側にめぐらせます。
その中に蒸気を通した胡麻を入れ、上部は繊維で包み込むように押し込んで玉締め機にセットします。」 出典

それで、圧搾圧力は玉搾り法が高くできます。ならば、布状の濾過材・搾布を使わず丈夫な孔あき鋼製のケージを設置して、中に直接原料の菜種など入れれば、より高い圧力がかけられる??この原理での圧搾機をケージプレスといいます。圧搾圧力は420kg/c㎡か、それ以上で使われます。

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そして、1904・明治37年の日露戦争後に、現在圧搾の主流になっているOil Expeller、オイル・エキスペラー、ペラー式圧搾法、螺旋式搾油機が入ってきます。 (続く)

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Kajikawa Ryoji

こんにちは、初めまして。
とても素晴らしいブログありがとうございます。
玉搾り末次鉄工所の古いプレスを探しています。
誰か売っている会社、お店ご存知でしょうか?
一度メールでお話しできないでしょうか?
ryojikajikawa@gmail.com
連絡お待ちしています。宜しくお願いします。

by Kajikawa Ryoji (2016-10-15 03:54) 

DebbieHoffmann

第一次AIブーム【ニューラルネットワーク研究の開始】 第二次AIブーム【エキスパートシステムへの期待】 第三次AIブーム【ディープラーニングによる可能性の拡大】 人工知能の進化と2045年問題【シンギュラリティへの到達】 人工知能研究の権威レイ・カーツワイルは著書『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology』の中で、2045年以降、人工知能が人工知能のプログラムを改良し続け、猛スピードで進化を遂げていくと予測しています。 <a href=https://jamedbook.com/14010-2/>https://jamedbook.com/14010-2/</a> ただし、腹壁破裂のみについてはその発生率が上昇する可能性は否定できないとしています。以上の理由で、当院では妊娠が判明する前からアスピリンを開始し、36週前に中止する服用法を推奨しています。
by DebbieHoffmann (2018-11-20 07:23) 

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