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搾油の工程(4) オイル・エキスペラー式圧搾法 [油脂ー搾油、栄養、コレステロール]


1904・明治37年の日露戦争後に、現在、圧搾の主流になっているOil Expeller、オイル・エキスペラー、ペラー式圧搾法、ねじプレス、螺旋式搾油機が入ってきます。このエキスペラー式の搾油機は、1900年にV.D.Andersonが試作機をつくり1910年にドイツのクルップ社が水圧プレスにかける前の予備装置に製作したのが世界初。日本には1918・大正7年には既に輸入されています。 出典

下図はバングラデッシュで行われている牛を動力としてpestle・乳棒、スリコギ、きねを駆動する搾油法です。

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これはpestle・乳棒、スリコギ、きねは縦になっていますが、横置きしネジのような螺旋の形態にします。

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シャフト軸が回転すると、取り付けられた螺旋状のウォームに沿ってケージ内に送り込まれます。「この溝をよく観ると、(上の)写真の下部の溝は深めに空いているが、写真上部(右側)に行くほどにその溝が狭まり、途中でギュッと溝がなくなっている部分があるのがわかるだろう。要は、写真下部(左側)のほうから菜種が入り、溝に従ってだんだんと移動していって、最後の溝が浅くなっていく部分でギュギュッと潰れ、油が絞られるということなのだ。」 出典
油は、鋼材の隙間からケージの外へ、その搾り粕は排出口から押し出されます。

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このエキスペラー式圧搾法の圧搾圧力は、原料がケージの中を前進するにつれて螺旋の間隔が狭まり圧縮比が高まり、700~2000kg/㎠位がかかります。圧力は、螺旋状のウォームを交換したり、外側のケージとウォームの隙間(0.2~1.0mm.)の大きさや粕の排出口の開度で調整します。

このエキスペラー式圧搾法では、菜種などの原料が連続して投入され、圧搾の工程が継続します。玉絞め法、板締水圧機(プレートプレス)では圧搾のたびに粕の排出、原料の再装填を行いますから搾油が断続しますが、エキスペラー式は連続します。大型化すれば、投入量も増やせます。今では、1時間に700トンの菜種を圧搾できる機器が使われているそうです。

これは、十分な量の原料を確保できれば(そのための資本が調達できれば)、このエキスペラー式圧搾法では少人数で大量の搾油が可能になります。ただ、菜種などの原料の品質は収穫時期や土地柄で変りますから、それを見極めて性状に合わせて回転速度や螺旋状のウォームを交換したり、外側のケージとウォームの隙間(0.2~1.0mm.)の大きさなどを変える操作などに熟練を必要とします。また多種の原料を搾る、例えばAさんの菜種をしぼり、次はBさんの胡麻をしぼるなど間欠的な用途には向きません。

エキスペラー式圧搾法は極めて高い圧搾圧力が可能です。そのように使えば大きな摩擦熱が発生し、搾油時点で高温に曝される油分に変質を起こすことになります。また油分を多く高い比率で搾れますが、それは同時に油分以外の成分、細胞内で油滴を包んでいる細胞膜なども多く出るようになります。つまり、搾った後の搾油の精製が重要になります。

玉絞め法は、「搾油量が少ないが良質の油がとれ、菜種の煎り具合で胡麻油に煮た香りの油となるため高く売れた。そのため後まで使用されており、昭和4年にも末次製の同機16台が(吉原製油で)増設されている。」 出典

さて、このエキスペラー式圧搾法は1924・大正13年に吉原製油・堺第2分工場に導入され、実用されてます。同時期に、有機溶剤で油分を抽出する抽出法も実用化されてます。それは大豆油の搾油です。 (続く)



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