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CNN「BSE由来疾患、英で3万人が感染の疑い 献血で拡散の恐れも」を解読 [牛‐肉、乳、飼育]

CNNのニュースで「BSE由来疾患、英で3万人が感染の疑い 献血で拡散の恐れも」と報道された。BBCでもニュースであった。

これらをまとめると

今回の記事となった研究は、その試料・サンプルは英国の41病院で2000年から2012年の間で行われた手術で摘出された3万2441人の虫垂組織。それを英神経病理学研究所のセバスティアン・ブランドナー氏のチームが調べた結果である。英国にはBSE牛⇒人感染しながら発症していない人(キャリア)は4000人に1人の割合で存在すると考えられていたから、32000人なら8人が予期される人数。結果は倍の16人。2000人に一人の比率で、英国人口構成で試算すると3万人の感染しながら発症していない人(キャリア)がいることになる。

ブランドナー氏の「研究で、vCJDの原因となるプリオン蛋白は少なくとも3種類あることが判明。こうしたプリオンの感染者が、さらに長い潜伏期間を経て発症する可能性もあるとしている。」 CNN

プリオン蛋白遺伝子(コドン129)にはメチオニン(M)とバリン(V)の正常多型がありますが、これまでに発症が報告されている変異型CJDの患者さんは全員M/M型・メチオニンホモ接合です。しかし、研究では感染しながら発症していない人(キャリア)では、V/V型・バリンホモ接合の割合が多いことがわかりました。M/V型・メチオニンバリンヘテロ接合も見つかっている。V/V型やM/V型の遺伝子型の人がvCJDに罹るとM/Mの人よりも長い時間をかけて病気が進行する、長い潜伏期間を経て発症する可能性があると英神経病理学研究所のブランドナー氏は言っています。



輸血・献血で人⇒人の伝達

輸血・献血で人⇒人の伝達は既に起こっていて2003年に輸血から6年半後に発症した例を皮切りに、2007年までに4例が英国から報告されている。発症までに6~8年。「拡散の恐れ」は英国で既に取られている手段で防げるかが問題となる。

輸血からの感染の可能性は、血液中のプリオンの分布が人と似ている羊での実験で起きているから早くから懸念されていて、1999年10月以降,英国では輸血用血液から白血球を除去している。また自国の血液から血漿分画製剤を作ることも禁止している。4例はそれ以前の輸血だから、この措置が有効だと言えるかとなると????

羊、ヤギの伝達性海綿状脳症のスクレイピーに感染させたハムスターの血液から、白血球を除去処理し千分の一にした血液の感染力は、対照の半分以上(58%)も残っていた。研究では血漿が一番疑わしいとしています。人で実験できないから、人の血液での白血球除去効果は不明。

また、マウス実験からは「BSE由来のウシ異常型プリオン蛋白がいったんヒトに感染しヒトプリオン蛋白に適合して変異型CJDとなったら、M/MだけでなくM/VやV/Vの遺伝子型にも病気を起こしやすくなる」



米国からの輸入血液製剤

日本は血液製剤の多くを輸入に頼っている。 詳しくは http://www.bpro.or.jp/newsletter/pdf/133.pdf

BSEが人に伝達したvCJDを伝達する可能性が一番疑わしい血漿、その血漿分画製剤の需給状況をみると、日本で原料となる血漿が献血で得られてない製剤がある。抗HBs免疫グロブリン、破傷風免疫グロブリン、抗D免疫グロブリンなど

あらかじめ、肝炎や破傷風の抗体値が高い供血者が必要で、長期の定期的なワクチン接種・検査・採血、生活制限が課せられる。このため、日本の献血制度では不可能となっており、供給(売血)制度の整っている米国から全量輸入しているのが現状である。

米国産牛肉のBSE安全性の論議では、牛肉を食べて日本人がvCJDになる危険性が主で、この米国から輸入される血液製剤は意識されない。米国産牛肉は食べなければよいが、「輸血の際のいかなる小さなリスクも、最も必要な時に輸血を受けなかった際のリスクに比べれば十分に見合う」から輸血・血液製剤拒絶は難しい。

米国の供血者がvCJDで有ってもvCJDは血液検査では検出できないから、血液製剤から除外することはできない。エイズと違って無害化する処理もない。もしそれでvCJDになり潜伏期に献血すれば、日本国内で拡がる。だから、日本に輸出される牛肉だけでなく、米国での畜産全体でのBSEの危険性が問題なのだ。

蛇足

この研究は、専門家間では昨年2012年8月に報じられている。 http://www.hpa.org.uk/hpr/archives/2012/news3212.htm

英国政府には2013年の4月に報告されている。それを伝えるTelegraph紙の記事見出しは「血液で感染する狂牛病で1000人が死ぬ可能性」で書き出しは「1000人がイギリスの病院での輸血でヒトの狂牛病で死ぬ可能性が、大臣に報告された。 政府の専門家は、輸血を通じて変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)に感染している危険性のある人々が存在するとしている。イギリスの約30000人が狂牛病のキャリアーであると思われる、それは考えられていたことの2倍である。 専門家は現在のvCJDでの死亡者の176人からその数は、5倍に達する可能性があると見ている。汚染された肉を食べて発生したように輸血から感染するというのだ。」 詳しくは http://thymeup.blog.so-net.ne.jp/2013-05-01





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