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六月しか作れないの保存食・・らっきょう漬① [手作り食品]

7月、8月の暑さに茹だる頃、ラッキョウ漬を一粒食べると、シャッキリしますね。
ラッキョウは紀元前から食べられていました。中国には2500年前に栽培の記録があるそうです。中国から平安時代の頃に薬草で渡来し、於保美良(おおみら)と呼ばれて健胃・整腸に用いられました。戦乱が治まった江戸時代には野菜となって庶民の口に入るようになりました。中国では煮て食べることが多いそうです。日本でも江戸時代は煮て食べたそうです。沖縄では島ラッキョウのレシピがおおくありますが、今では漬け物にするのが多いです。


ラッキョウのジャコ煮
この画像はここからお借りしてます


ラッキョウは糖質も多く疲労回復に役立つし。食物繊維が21%も含まれており、含有量は食品中1位です。この食物繊維は腸内をきれいにして老廃物を排出し、新陳代謝を活発にしてくれます。



独特の匂いのもとはネギ類に含まれるイオウウ化合物の一種、硫化アリルです。血行をよくし、冷え性や生理不順の改善、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病の予防が期待されてます。
漬けものに加工しても、カリウムが多少減る程度で、生のときと栄養価はほとんど変わらないのです。

らっきょうは、ユリ科ネギ属の多年草で分けつが盛んでりん茎が多くでき、その分球で繁殖します。強健で吸肥力が強く、やせた土地でも育つちます。
8月頃に植え付け、秋に淡紫色の花をつけ、翌年の初夏に葉しょう基部が肥大して長卵型のりん茎になり、りん茎が肥大したところで休眠に入ります。収穫するのは休眠前で、肥大したりん茎を食用とします。

植え付けた翌年収穫する一年子は、大粒で皮が厚く、歯ごたえは抜群。二年目に分けつしてできた二年子は、小粒で皮が薄く、こりこりと歯ごたえがやさしいのが特徴で、「花らっきょう」と別扱いされてます。




ラッキョウは花はつけますが、種ができにくいので品種は少なく、
沖縄在来の島ラッキョウ・・細くて小さく、香りが強い。4月から9月に植え付けを行い12月から6月まで収穫されます。
代表的な大粒ラッキョウの”らくだ”、・・長卵形で首が長く、7〜10gの分球を6〜9個つけます。



ラクダより小さめで分球の数が多い八房(やつぶさ)、各地に在来種がある。
九頭竜(くずりゅう)・・福井県の九頭竜川河口で栽培されている在来品種から分球が10~15個程度と多い株を選抜育種した品種。
玉ラッキョウ・・台湾からの導入品種。染色体が3倍体の品種で、匂いは強くない。1年で1球が10~15球の分球をつけ、球は小粒の白色でやわらかく、小さめです。日本の在来種は植えつけてから2年目に収穫しますが、玉ラッキョウは植え付けの翌々年に収穫します。



花ラッキョウ・・これは品種名ではなく、二年子を漬け用に両端を切り落として丸い形にした小粒ラッキョウです。主に、玉ラッキョウです。
「花ラッキョ」は福井県産の銘柄商標。九頭竜の花ラッキョウ。玉ラッキョウのように二年掘り、もしくは三年掘り(三年子)します。分けつするので粒が小さくなり、コリコリッとした歯ごたえが良くなります。
エシャロット・・これも品種名ではなく、生食用に若採りしたラッキョウです。






梅干に入れる赤シソで防カビ? お酢‐⑥ [手作り食品]

先週、酢酸の酢の物は、高い濃度条件では酢酸が微生物の細胞内に入り、酵素などの活性を失わせて増殖できなくする、死滅させるとお伝えしました。

これから梅干の時季ですが、梅干を漬けている途中でカビが生えることがある。その時はカビを除いてから、赤シソを入れるとカビが生えなくのは何故かと訊かれました。



梅干の酸味、梅酢はクエン酸で殺菌力は酢酸より低い、抗菌効果は概ね「酢酸>乳酸・コハク酸>リンゴ酸>酒石酸・クエン酸> 塩酸の順で、酢酸が著しく強いのに対しリンゴ酸以下は微弱」だから、塩分を含んだ梅酢に漬かっていない部分でカビが生えても不思議はありません。

 葉が暗紫色のアカジソ、緑色のアオジソ、葉の表が緑色で裏が赤紫色のカタメンジソ、葉が縮緬状に縮れて赤紫色のチリメンジソ、緑色のアオチリメンジソなどがあります。これらは、植物学的には同じで、容易に交雑して種を作ります。シソ科のシソやミント、ラベンダーなどの葉の表面には、たくさん散らばっている腺鱗・センリンという小さな器官、中に精油が蓄えられたミクロな風船があります。これが風で葉がぶつかる、指で揉まれるといった機械的な刺激によって風船が壊れて中に蓄積された精油が空気中に揮散して、独特の匂いになります。





 葉を食用にする時季のシソの腺鱗・センリンには、ペリラアルデヒド・perillaldehyde・Perillaldehydeという香油を多く含んでいます。ペリラ・perillaはシソの英名です。ペリラアルデヒドには強い防腐、防かび、殺菌、解毒作用もあり、刺身の妻として魚の生臭さを取り、食中毒を防ぐ目的で使われています。この防かび作用は、食塩NaClと併用すると非常に高まります。



 輪切りにした胡瓜を10%食塩水に一夜漬けたものを、一つはそのままで、もう一つはシソを細切し胡瓜の2%分量加えたものを、密閉し10~15℃の室温に25日間放置しました。シソを加えず白い酵母様のコロニーが胡瓜表面に多数発生しましたが、シソの葉の細切りを加えた方は肉眼的にはコロニーは認められなかったのです。

シャーレの培地を使って詳しく調べると、食塩単独やペリラアルデヒド・シソを単独で加えた培地では、カビ(糸状菌)の発育が3日程度遅れただけでした。二つとも加えた培地では、殆どの菌株で20日以上も発育を抑えました。カビ(糸状菌)の中には、耐塩性が強いモノもいますが、ペリラアルデヒドを加えると発育が抑えられました。更に酸の強さがpH5以下では、細菌の生育も効果的に阻害しました。梅酢のpHは3~4です。


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つまり、赤シソが加わった梅干では、塩分、梅酢の酸の強さpH、シソのペリラアルデヒドの3者の相乗的働きで、カビ(糸状菌)や細菌の発育・繁殖を抑えています。

    ℓ-ペリラアルデヒド(しそ精油成分)の抗菌性について PDF 第1報 第2報



なぜ、酢の物では細菌が繁殖しないのでしょうか? お酢-5 [手作り食品]

暑い時には酢の物が美味しいですが、酢の物では細菌が繁殖しないのでしょうか?
米酢は、先ずお米の糖類を酵母が嫌気的環境でアルコール発酵して、そのアルコールを酢酸菌が好気的環境で食べて酢酸にする2段発酵でつくられます。酢酸菌は、28属にわかれて416種があります。その中には糖から直接に酢酸を作ることもできる菌もいます。酢酸菌の表面は、外膜-細胞壁-細胞膜(内膜)の3層構造のグラム陰性菌。細胞壁と細胞膜(内膜)の間の空隙で様々な糖類やアルコールを酸化して、エネルギーを得て、酸化生成物の糖酸(酢酸などの有機酸)を菌体外に蓄積します。

酢酸など有機酸は菌体外の水分中ではイオンに解離、酢酸ならCH³COOHがCH³COO⁻とH⁺(水素イオ=陽子・プロトン)にわかれます。このCH³COO⁻などは細胞膜に吸着してしまい、細胞膜を通って細胞内に入れません。段々蓄積して、菌体外のH⁺(水素イオン)濃度が高まる=pHが下がると、非解離型の酢酸・CH³COOHが増えます。

 


この非解離型は、1秒間に1万分子以上が細胞膜を透過できます。細胞内は中性ですから、たちまち解離し水素イオン=陽子・プロトンができます。陽子ですから他の分子、酵素タンパクなどの電子を奪ったり、共有結合して分子に引っ付いて、不活性化します。それで、入られた微生物は死滅したり増殖できません。だから酢の物が腐り難い。この働きは、塩分があるとより効果的です。



 pH5以下の酸性域では酢酸の方が、pH6~7の中性域ではクエン酸の方が効果があります。


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