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放射線被曝と生命の進化(断章) [有機農業/食物にする生命との付き合い方]

自然界には、地球誕生の時に宇宙から凝集し以来地殻に存在するもの(や宇宙線により生成されたものなど、さまざまな放射性核種が存在し、これらの核種を含む物質は、自然起源の放射性物質「自然放射性物質」(NORMa : Naturally Occurring Radioactive Materials)と呼ばれています。

原始の海の深い所で生命が誕生したのは約40億年から38億年前といわれています。グリ-ンランドで、38億年前の畳半畳ほどの小さな岩に幅30cmの黒い帯、生命が這い回った痕跡が発見されています。38億年前にはここは水深数百mの静かな海の底で、体長は1mmの百分の一位の現在のバクテリアのようなもので、水中を漂いながら、海中から炭素を含む栄養分を採って生きていたと考えらています。

 最も豊富にある自然起源の放射性各種はカリウム40ですが、半減期が約12.8億年ですから、現在の8倍ほどのカリウム40が有り、ベータ・β線やガンマ・γ線をだしていた。トリウム232は半減期141億年で約1.2倍。アルファ・α線を出すウラン235は半減期7億年ですから、現在の43~52倍位あった。ウラン238は半減期44.7億年だから、現在の約1.8倍ありました。これが崩壊で生成するウラン234、ラジウム226、ラドン222なども現在よりも多くあった。原始の生命に現在より多い、内部被曝や外部被曝させていたのでしょう。

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 我々の自然状態では宇宙線、宇宙から来る放射線で被曝しています。月地表面で100~500mSv/年、火星で70~300mSv/年で、宇宙空間で1日当たり1mSv位です。月の表面で1年間に受ける宇宙線(放射線)の量は、地球地上で浴びる宇宙線の300?1400倍です。宇宙空間や太陽から降ってくる、高いエネルギーを持ったX線、ガンマ線や電子や粒子です。粒子の約90%は水素の原子核の陽子が飛んでいる陽子線で約8%がヘリウムの原子核が飛んでくるアルファ線、重い鉄などの原子核が飛んでいる重粒子が約1%です。また、放射線に分類されませんが紫外線の被曝も多い。
 この宇宙線が、地球に侵入すると大気の様々な気体分子と衝突します。そして、新たな放射能・炭素14などができたり、γ線やβ線が多数生成(2次宇宙線)します。この2次宇宙線のγ線やβ線を被曝します。陽子線の生体に与える影響(線質係数)はγ線やβ線の5倍、アルファ線は、生体に与える影響(線質係数)がγ線やβ線の20倍。高地、高空では大気層が薄くなりますから、陽子線など生体に与える影響大きい宇宙線が多くなり、概ね宇宙放射線の線量強度が1,500m刻みで2倍になります。約25km以上の高度から気体分子と衝突もおきなくなり2次宇宙線がなくなります。
 宇宙線は水深1000m相当の深さでも検出されるものもあり、紫外線の一部は1000m付近まで届きます。つまり、太陽の光が余り届かない深い水域が宇宙線や紫外線被曝では安全です。生命誕生の舞台が水深数百mの静かな海の底だったのは、宇宙線を水深で遮蔽できたからと考えられています。つまり、当時の浅い海での宇宙線や紫外線被曝には対処できないが、カリウム40などによる被曝でできる損傷を、子孫を残せる期間は生き延びられるように修復できる能力をもった者が繁栄したのです。
 時がたつにつれて、カリウム40などの量は崩壊で減っていきます。30億年前ではカリウム40は現在の約8倍から約5倍に減り、ウラン235は現在の43~52倍から約20倍に、ウラン238は現在の約1.8倍から1.6倍に減っています。余力が生まれた修復能力で宇宙線など被曝にも対処できるようになり、宇宙線が多いが注ぎ込む太陽光のエネルギーを利用できるより浅い所に進出します。太陽光のうち赤い波長は水深10mほどで100%減衰しますが、緑色や青色の波長のは減衰が35%程度が緑色や青色の波長の光を吸収利用する紅色細菌があらわれます。
 地球の冷却によって28億~27億5千万年前に、地球内部のコアに強い地電流が発し強い地磁気が発生するようになりました。地球が一個の巨大な磁石のようになり地球の外側の周囲に磁気圏が作られました。宇宙線の粒子線は原子核ですからプラスの電荷を持っています。高速で飛んでくる電子はマイナスの電荷を持っています。運動する電荷は電流が流れているのと同じですから、磁場を作ります。この磁場と地球に出来た磁気圏の相互作用で、宇宙線の多くの部分、荷電粒子は地磁気線に沿って周回運動を繰り返しながら、一部はオーロラを出現させて、マイナスの電荷の電子は東方向に陽子などプラスの電荷をもつものは西方向に拡散し多くが到達しなくなりました。

 宇宙線被曝が減りました。現在の地磁気がゼロになり磁気圏がなくなると、世界平均で宇宙線被曝が倍増すると試算されています。現在の海上では、1年で0.26mSv程度です。浅く太陽光が燦々と降り注ぐ浅い海に生命が進出できます。浅い水深では、赤い波長も減衰が少ない。水深1メートルで赤い波長の減衰は約30%、青と緑の波長は約5%です。それで赤い波長と青い波長を吸収利用し、緑の波長は反射するつまり緑色に見える葉緑素で光合成を行うジアゾバクテリアが繁殖します。
 光合成は酸素を作り出し、海水中の酸素濃度が高まります。酸素は化学的活性が強いので、呼吸でより多くのエネルギーを取り出せます。しかし、活性酸素といわれる形態は、生物を傷つけます。酸素呼吸では1~2%の酸素分子が活性酸素になります。放射線は生物のDNAなどを直接切断する損傷と水を分解し水素と活性酸素を作り出し、その活性酸素が傷つけるという二つの経路で生物を傷つけます。環境に海水中に酸素が豊富に含まれ、酸素呼吸が盛んにすれば、後者の活性酸素損傷の経路が昂進することです。
 環境が酸素豊富に変って、3つの適応パターンになっています。一つは酸素があると死滅する嫌気性、一つは酸素がなければ生存できない好気性、その中間の酸素が有っても無くてもOKの条件的嫌気性。好気性はカタラーゼなどなどの活性酸素を無毒化する酵素を持つように進化した生物です。それでも、活性酸素は無害化しきれない。磁気圏の形成で放射線被曝での損傷を修復する能力に余力が生まれたましたが、新たな負荷、酸素呼吸で発生する活性酸素がかかり活用されている。
 海中から大気中に出た酸素が現在の十分の一、約2%になると高空にオゾン層ができはじめます。約4億~4億5千万年前にオゾン層で太陽光の紫外線、特にDNAを損傷するUVC(波長280~100ナノメートル)が完全に、UV-B(315~280ナノメートル)は一部、遮断されるようになります。そして生物が上陸します。
上陸によって放射線被曝はどう変化したでしょうか?外部被曝は増えたのではないかと思います。カリウム40のβ線は、水中にでは約1センチほどしか飛びません。γ線も約1mです。陸上ではβ線は大気中を約10mほど飛びます。γ線は約100mです。水中では、半径1mの球形の内部にあるカリウム40などの出す放射線で外部被曝します。上陸すると、半径約100mの大地から出るγ線と10m以内のβ線を浴びることになる。宇宙線も水中にいれば、水で遮蔽・減衰します。
 この約4億年前時点でカリウム40などは随分減っています。カリウム40は生命誕生時に現在の8倍ありましたが1.25倍に減り、ウラン235は現在の43~52倍位が1.5倍位に、ウラン238は現在の約1.8倍から1.06倍に減っています。これらによる内部被曝は、この減少で減っています。しかし、ラドン222の呼吸による内部被曝は増えたと思います。
 2007年に海洋地球研究船「みらい」の観測航海で水深4.5mの海水ラドン濃度が測られています。1.5~0.5Bq/?で「風速が弱いと1.5Bq/m3 と大きく、表層海水中ラジウム濃度1.6 Bq/m3とほぼ等しい。」「風が強くなると海洋表層の混合層が発達して、海水中ラドンが大気に散逸するため」のラドン欠損現象・低下が見られました。新潟県放射線環境センターの柏崎刈羽地域での調査では、ラドン濃度は夏から秋に高く冬低い季節変動を示し、月平均値で 4~8 Bq/?の範囲です。つまり、陸上の大気中の方が、海水中よりもラドン222濃度が大きい。それで、ラドンを呼吸で取り込む量が上陸によって増えたから、それによる内部被曝も増えたと思います。


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