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置くだけ、首から下げる空間除菌剤の正体 [有機農業/食物にする生命との付き合い方]

インフルエンザやノロウイルスの流行とともに「お部屋の空気まるごと除菌」「ポンとおくだけ空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去!」、付属ストラップで社員証や身分証のように首から下げることで「30日間にわたって付近のウイルスを除菌する」等の除菌をうたった商品が売られています。これは、塩素系漂白剤の次亜塩素酸ナトリウムや二酸化塩素をつかっています。それらが、「食品添加物で使われているから安全」として売られています。

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 これらから出る、塩素ガス、酸素、塩化水素、二酸化塩素は化学活性が強く、付いた物を変質させる力が強いのです。色素に付けば脱色や漂白作用、菌につけば殺菌、ウイルスにつけば蛋白質の外套を変質して感染力を奪います。私たちは、鼻をつくような刺激臭として感知したり、咳き込んで、その場を逃げるように警報を体は出します。ラットの吸入による半数致死濃度(LC50)は塩素は146ppm、二酸化塩素は32ppmです。

次亜塩素酸ナトリウムは最も広く用いられている塩素系殺菌消毒剤で、飲料水、果実、野菜の殺菌から、各種食品製造施設、装置、その他の消毒殺菌に用いられる。漂白効果も強い。

二酸化塩素は小麦粉の改質、漂白に使われています。

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 収穫直後の小麦粒の中では、細胞組織が生きており、小麦粉に含まれている成分を分解する作用がある各種の酵素の活性が強く、さらに小麦粉生地を軟らかくする還元性物質の量も多いので、こういう小麦粉でパンやケーキをつくっても、生地がだれることや、思うように膨らまない。こういう状態の小麦を「新麦性が強い」といいます。

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新麦性は、小麦や小麦粉を保管している間に自然酸化で徐々になくなっていきます。このような小麦や小麦粉の微妙な品質変化を「熟成(エージング)」といいます。 

保管するということは、倉庫などの保管料がかかります。それを節減するために、小麦を製粉する工程で二酸化塩素を加えて酵素を死活したり、還元性物質を変質させるのです。これが改質で漂白作用も顕われます。

使用条件では残留しないよう規定されています。

次亜塩素酸ナトリウムは、皮膚や目に付いた場合は直ちに大量の水で洗い流す使用条件です。首から下げるタイプをつけてお子さんを抱っこしていたら、子供が化学火傷をしたニュースがありました。

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二酸化塩素は、室温で塩素様の刺激臭を持つ気体であり、空気より重く、強い酸化力を持つが、光、熱に不安定で、塩素と酸素に分解します。水溶液の安全性はかなり高いようです。参照 二酸化塩素の安全性データ

気体、ガスでは、ラットの吸入による半数致死濃度(LC50)は塩素は146ppm、二酸化塩素は32ppmです。「混ぜたら危険」ででる塩素ガスより危険性が高い。米国産業衛生専門家会議は、労働時間が8時間/日及び40時間/週の作業環境の基準値は0.1ppmを設定しています。(下表)

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ウイルスを殺す、不活性にする二酸化塩素の濃度は、0.03から10ppmと大幸薬品は言っています。国民生活センターの調査では、この濃度では刺激臭で大半の人が不快になるのです。

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国民生活センターは、室内に置く据置タイプの商品テストを2011年に行っています。


二酸化塩素の放散速度が比較的大きかったタイプ(No.6~8)を、それぞれの経過日数の放散速度から6 畳(24 m3)、8 畳(32 m3)、10 畳(40 m3)の部屋(25 ℃、換気回数0.5 回/h)の二酸化塩素の気中濃度を計算により求めています。それで、0.03ppmの濃度になっています。ウイルスを殺す、不活性にする濃度です。
センターは臭いの苦情が多いので、人による「嗅覚測定法」によりモニターテストを行っています。
日本建築学会では、通常の部屋において、80 %以上の人がその臭気の存在を受け入れられる環境条件を保持すること(非容認率 20%以下)を目標として環境基準を定めています。

長時間在室していられるかどうか(生活環境不快度)を5 段階で評価したところ、0.03ppmの商品では「在室したくない」「できれば在室したくない」と回答した人が比較的多く、不快に感じた人が40~50%です。

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臭気強度が小さかった商品、つまりウイルスに効果がないだろう濃度でも非容認率が20~30%です。

首から下げるタイプは、動く人が使う商品ですが、このように多数の人を不快にするものを首から下げるでしょうか?人を不快にしない濃度では、ウイルスに効果がないだろうに!

日本二酸化塩素工業会は、首下げ型製品について消費者の皆様に「屋外での使用は期待される働きが得られない場合があるため、屋内で使用すること。」という使用上の注意の徹底するそうです。



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