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土用干しをやらない梅漬け「どぶ漬」とカリカリ小梅のコツ [手作り食品]

昔、中国では梅を塩漬けにして、塩の混じった梅酢をとりだして「えんばい・塩梅」といって食酢などに用いていました。ワインビネガーのように酢は、お酒を造ってから更に酢酸発酵させる2度の手間がかかります。その点、「えんばい・塩梅」は一度でできます。

梅酢は器具や人体の傷口の消毒の他、金属の鍍金やはんだ付け、青銅器の酸化皮膜処理、鉄器の『黒留め』と呼ばれる酸化皮膜による防錆処理のためにも用いられていました。東大寺の大仏に金を鍍金する際にも使われたそうです。こうした用途に梅酢は昭和中期まで大量に使われていました。本来、梅干はこの副産物であり、中国では黒焼きにして腹痛・虫下し・解熱・腸内の消毒の漢方薬的な用い方をされていました。

今では、酸味のもとのクエン酸などの疲労回復や抗菌・防腐などで広く食べれていますが、抗菌・防腐の効果は、伝統的な製法の梅干に限られ、減塩の梅干(調味梅干)ではこの効能は期待できず、弁当に入れると調味梅干が先に腐る場合すらあるそうです。

 梅の漬物は昭和40年代に大きく変化しました。低塩化志向で塩分を10%前後に抑えたいと要求されるようになりました。しかし梅は年1回の収穫で翌年の収穫期までもたすためには、梅を20%以上の高塩で漬ける必要があります。つまり食塩差が10~15%のギャップを埋める製造法が考案されました。

土用干しをすると塩が吹く場合は25%以上、塩が吹かなくても塩度22%以上はある梅干を容器に入れて保存します。それを、流水に曝して塩分を除く流水脱塩します。そうすると流水脱塩で一緒に、酸味やビタミンなど様々な栄養や風味も流失します。それで、調味液であとから追加、添加するのです。調味液は、糖類、食酢、梅酢、香辛料、化学調味料、削りぶし等を混ぜて作ります。これが減塩の梅干、調味梅干です。





これでは、確かに弁当に入れると調味梅干が先に腐る場合すらあっても不思議ではないし、体に良いとされる梅酢の酸味が少ないのも合点されます。ですから、良い梅干を沢山食べるには、経済的には自分で漬けるのが一番良いのですが、しかし、梅干は夏の土用干しが大変ということで、自分で作る方が減っています。
 土用干しをしないで、梅漬け
土用干しの起源は、塩漬けにして梅酢を取り出して、不要になった梅を保存する、カビなどを生やさないで保存する方法が起源のようです。梅干しに色付けや防カビに赤じそを加えるようになったのは江戸末期ごろです。

ですから、梅をつけて食べるなら土用干しは不可欠な工程ではないのです。
 土用干しをしない梅干、干していないので梅漬けというほうが正しいのですが、乾燥させずにそのまま熟成させるものを関西では「どぶ漬け」といい伝統的に食されてきました。「白い御飯にのせて潰すと赤い果肉が飛び出しておいしい」梅漬けができるそうです。
京都の漬物屋さんのやり方は、
・梅(黄色く熟した物)・塩(梅の量の約20%)・紫蘇(適量)
<作り方>
1)梅を洗う 梅の表面の産毛をきれいに落す
2)塩をふる 濡れたままで梅の表面全体に塩をまぶす
3)蓋をする 残りの塩で梅に蓋をする
4)数日後、梅から液体(梅酢)が出たら、液漬けのまま揉み紫蘇を入れ、液と梅を同時に色付けする 

約20%の塩分は高いので、塩分を低くする方法を探してみました。冷蔵庫を利用し15%程度の低塩で作る方法を見つけました。
1)梅を洗う 梅の表面の産毛をきれいに落す
2)塩をふる 濡れたままで梅の表面全体に塩をまぶす
ここまでは同じですが、
3)150%の重石を載せて加圧します。
4)果粒内の水分・梅酢をできうる限り外に出た状態に、果粒が縮小し表皮にはシワが生じてくるまで、塩分で引き出された梅酢に梅が完全に埋没させておきます。約14日位がめどです。
5)その梅中へシソを均等に混合して、重石を除いて、2~7℃の冷蔵庫にいれ約3ヶ月静置します。
6)重石が除かれたので、シワシワの梅は梅酢とシソ色素などを再吸着し、原寸大迄パンパン状に膨張し、弾力のある食感がうまれます。約3ヶ月静置の間に、風味や芳香が静かに醸成されます。重石は必ず除去して置くこと。
重石と冷蔵熟成で低塩化を図っています。

カリカリ小梅を作るには、未熟のうちに穫り、10%食塩水の中に投入し落としブタをして重石します。48時間後に小梅重量の0.6%の水酸化カルシウムと2%の食塩を加える。以後毎日2%の食塩を追い塩して最終塩度20%で終える。
 梅の組織物質ペクチンが自分の持つ酸の攻撃で分解し軟らかくなるので塩漬時にカルシウムを加えてペクチン酸カルシウムとして強く硬化しておきます。

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