もろみ酢、粕酢、中国の酢(上) 麹菌 [調味料ー酢、料理酒、味醂]
健康機能がすぐれた食品として酢ブームが続いています。そのブームで泡盛(沖縄焼酎)の酒粕(もろみ)から抽出した「もろみ酢」が一般的になりました。「もろみ酢」は酢酸発酵は経ておらず、主成分はクエン酸です。これとは別に、江戸時代からすしに使う酢として日本酒、清酒の酒粕を原料とした粕酢、色から赤酢といわれる酢があり、酸味の主成分は酢酸です。
泡盛や焼酎、日本酒は、お米に麹菌を付け、お米のでん粉を糖化することから醸造が始まります。麹菌・コウジキン・きくきんは、何処にでも常にいる菌・カビの一群です。麹菌は発育初期にクエン酸をつくります。カビにとっては比較的高温である30℃以上でも生育できる種が多く、南方系のカビと言われています。コウジカビが積極的に培養して作られる種麹は別として、コウジカビが目に見えて生育した様子はあまり見かけません。
学名ではアスペルギルス・○○、Aspergillus 〇〇と名付けられます。顕微鏡で見ると胞子(分生子)と多数が一つの塊状についている分生子柄がカソリック教会の儀式でつかう器具アスペルギルスに似ています。このアスペルギルスは礼拝式で信者に司祭や牧師が聖水を撒くため使われる器具です。形態と聖水が散布されるように胞子が散布されることとから命名されたといわれています。(1792年、最初にこの菌を記述したイタリアの生物学者Pier Antonio Micheliは司祭でもあった。)
食品加工で実用されている麹菌は大きく4種類
ニホンコウジカビ・Aオリゼ(Oryza、イネの学名)は、稲の穂にいる菌です。(稲麹については下部)デンプンをブドウ糖に分解する性質が日本酒や甘酒、味醂の、タンパク質をアミノ酸に分解する性質が味噌、醤油の製造に使われる麹菌。
ショウユコウジカビ・Aソーヤ(sojae、ラテン語で大豆)タンパク質をアミノ酸に分解する性質が特に強く、味噌、醤油の製造に使われる。たまり醤油製造で発見されたA. tamarii は、今や絶滅危惧種。
ニホンコウジカビ・AオリーゼはA. flavusを野生型の先祖、ショウユコウジカビ・AソーヤはA. parasiticusを野生型の先祖とし、タンパク質をアミノ酸に分解する力やデンプン糖化力など麹菌として必要な形質に優れた株が人為的に選抜淘汰された。選抜淘汰の中で、野生型の先祖が持っていたカビ毒のアフラトキシン産生性を(1)アフラトキシン生合成を誘導の信号伝達系に欠陥(2)アフラトキシン生合成に必須な遺伝子発現調節因子に欠陥が生じ、アフラトキシン産生性を喪失し家畜化された菌群とされてます。
A.グラウカスは、鰹節の製造に使われます。低水分・高塩分でも増殖できるのでカビ付けをして、更により水分を抜き余分な脂肪が分解され、鰹節の独特の芳香、光沢を出します。
この画像はここからお借りしました。
黒麹
A・ニガー
続く
稲穂に麹菌が付くことがあります。稲麹は「稲霊(いなだま)」ともいわれます。
画像はここからお借りしました
稲麹を割ってみると、中には、
真っ白なお米に黄色い麹がまとわり、
その外側に、緑の麹が更に重なっています。
この稲麹からお酒を造っている酒造メーカーさんもあります。寺田本家さんもその一つです。
これと呼び名も外見も紛らわしい「稲こうじ病」という稲の病気があります。
病原菌はSarocladium oryzae という子嚢菌門(しのうきんもん)バッカクキン科の菌・かび。
引用=冷涼地で発生の多い病害。初め籾に黄緑色の塊が現れ、後に肥大・黒化し、厚壁胞子を多量に形成して粉状となり、収穫期に近づくと黒色の菌核を形成する。低温多湿などの好適条件下では大発生し、半数以上の穂が罹病する。特に飼料イネでは発生が多い。病原菌はマイコトキシンであるウスティロキシン(Ustiloxin)を産生し、まだ具体的事例はないが家畜中毒が懸念される。= 引用元 農業・食品産業技術総合研究機構
2013-08-05 09:36
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