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有機の稲作は除草剤なしへの挑戦 [農薬を減らす工夫]

 №01-20 2001年5月15日に虹屋小針店で配布した「畑の便り」再録

有機の稲作は除草剤なしへの挑戦

まずご紹介するのは、島根県の清水さん(やさか共同農場・虹屋では、味噌、麹などを取扱)の体験談。
  除草剤は何故使われるか。

 自分は以前大規模農業法人で働いていました。そこでの主な仕事は農薬散布で、毎日全身に農薬を浴びながら、それがかかった上着と下着を一緒に洗濯することに躊躇したものです。この農場の田んぼの枚数は百七十枚近くありましたが、畦の草刈りだけでも大変な仕事で、ここでの社長が言うには、除草剤かあるから仕事が楽になったという考え方です。
ここを紹介してくれた農業公社の人も、日本人に米が100%自給できるようになったのは、つい最近のことでそれは農薬なしでは考えられないということを自分に説明してくれました。彼らが言っていることはそれなりに説得力がありそれを全て否定するつもりはありません。しかし田圃で作業をしているとふっと気がつくことかあります。

紙マルチとは?
 
 紙マルチー02.jpg  紙マルチgy036.jpg
 
小さな命を途絶させて、次は途絶えるのは・・
 レイチェルカーソンの「沈黙の春」を読んだのはこれから数年後で、確か最初のくだりには周りから鳥がいなくなってしまったというような事が書かれてあったと思います。自分が働いていた田圃の周りには、木がないので鳥がいないのは不思議ではないとしても、昆虫や川や用水にいるはずの魚たちも余り見あたりません。確かに農薬を蒔き散らし、虫たちが寄生する草を枯らしているわけだから、小さな命が途絶えるのは当然かもしれません。その後、個人で農業を営んでいる友人となんとか無農薬で米が作れないだろうかといろいろ話し合いましたが、農薬はやめることができても、ある程度の規模だとやはり除草剤だけは使用しないと無理だろうという結論に達しました。その除草剤の間題をクリアしてくれるのが、紙マルチ栽培ではないかと考えて自分が現在ここにいるわけです。

 米ぬか01images.jpg 生ヌカ

 加茂有機米生産組合の石附さんのやり方は生ヌカを使います。「田植えが終わると・・雑草が生えない様にするためにヌカを田んぼに撒きます。生の糠を田んぼにまくと糠が発酵する過程で田んぼの酸素を奪い雑草が発芽しにくくなります。田んぼの土も発酵の作用でとろとろになります。」糠を使う方法は、この方法では、植えられた稲の生育が遅れていると、稲までも害、根が傷害されること、糠が醗酵することで窒素分が供給されますが、コシヒカリは養分多過になると倒伏しやすいので、その心配があります。
 
米ぬか02.jpg 

トロトロfuyumizu_image.jpg
  豊栄の宮尾さんはトロトロ層を作る方法です。
 田植前に極浅く代掻きをします。糠を使う方法でできるトロトロの層を、田圃の土(有機分)を極浅く掻き揚げることで作り出します。この方法は、田畑輪環、一年おきに水田と畑に切り替えて栽培する地域で生まれました。水田の雑草と畑の雑草は種類が違います。畑の雑草は、水が湛えられた水田状態では生育し難いし、水田の雑草は乾燥した畑では育ち難いですから、田畑輪環は雑草の発生を抑制します。豊栄はずっと水田状態ですから、この方法は少し難しい地域ですが、宮尾さんは代掻きを工夫したりして行なっています。
 
  いずれのやり方でも、雑草の発生は無くなるわけではありません。夏には、除草機を押したり、手で取らなければなりません。私が訪ねた新潟県内で、こうした除草法に取り組んでいる農家は、どこも畦の雑草はカマや除草機で刈っていました。そしてカエルなどが跳ね回っていました。田圃の周りの「小さな命」や、将来の世代、消費者の健康を考えて、真夏の炎天下に除草機を押したり、腰を曲げて草取りをする生産者の姿を、ご飯を食べる時に思い起こしていただければ、幸いです。
 
トロトロp02.jpg 


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