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半額ハンバーグと食糧自給(3-1) [有機農業と飢餓、食料自給]

 2001年8月に虹屋小針店で配布した「畑の便り」再録
 
某ハンバーグが、平日半額セールをやっています。こういった食品は、原材料費は小売価格の三分の一から4分の一、そこに店員などの人件費や店舗・調理設備などの経費が加わり原価が形成されます。半額でも材料費は回収できます。
 
  ハンバーグ平日半額でも、それだけを買う人と言うのは、ほとんどいないのだそうです。たいてい飲物やオモチャ付のセットもついでに買う。一つ売るのも二つ売るのも手間は同じ、こうした「ついでが買い」で十分に利益が出るそうです。
  この会社、ファーストを名乗る以上お客さんを待たせてはいけないということで、直ぐ出せるように予め何個かハンバーグを常に作り置きをしておく。さらに、そうした物が一定時間、10分と15分とかたっても売れないときは、捨て生ゴミにしています。
 
  このような生ゴミ製造は、この会社に限りません。例えば、コンビニの弁当は、お客さんが欲しい時に店舗の棚に並んでいなければなりません。欲しい時にあるという便利さがコンビニのコンビニたる所以です。常に品揃えしておくと言うことは、賞味期限切れで、常に生ゴミにする弁当が出るということです。
 
  この春から施行された食品リサイクル法で、ある程度の比率でのリサイクルが義務付けられました。このハンバーグ会社は、一店舗当りで数千万円を投資して、作り置きをしなくてもよい新しい調理施設の加設を進めています。
 
  この設備が、仮に15年で更新するとすれば、年間に数百万円の新たな設備費がかかる。これまでは、予め作り置きをしておいて売れなければ、生ゴミにして、ゴミ処理業者に渡す方法でかかる経費・ゴミ処理費が、この数百万円以下だったから、ハンバーグを捨てていたわけです。
 
 
  食品リサイクル法施行後は、リサイクルが義務になり、堆肥や飼料などにする経費がかかる。リサイクル経費などが、この数百万円以上になる見込みが出てきたから、新たな調理設備を設けて廃棄するハンバーグを減らそうとしているわけです。私達の食べているハンバーグを堆肥や飼料にするのに、そんなにお金がかかるのでしょうか。
 
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  以前ご紹介した今井明夫さん(新潟県の新潟県妙法育成牧場場長)は、もともと”家畜の栄養士さん”。県内外からこうした食品、生ゴミにされた弁当などを家畜の飼料に出来ないかという話が持ち込まれます。いずれも、ダメ。今井さんの話では、飼料にしたら「家畜がたちまち病気になってしまう」。端的に言えば、食塩と脂質が多過ぎる。ヌカなどに混ぜて、全体で塩分濃度を下げるなどしなければならない。このため、多大な経費がかかるのです。
 
  堆肥にするにしても同様です。家電メーカーが販売している、家庭用の生ゴミを堆肥にする機械も、予め、ヌカやオガクズなどで作った母材を入れて、さらに温度管理に電気を大量に消費します。30年程前は、こうした廃棄物、残飯で豚を飼っていました。食の変化が、家畜が食べたら病気になる食品を、我々の常食にしてしまった。
 
  件のハンバーグ会社は、先日、株式の公開をしました。その際、藤田社長は「半額などで、12歳以下の子供たちが気軽に食べるようになった。人間の味覚、食の基本は12歳までに出来るから、この子達は、大人になっても、老人になっても、わが社のハンバーグを食べつづける。(顧客は減らないから、わが社は安泰です。安心して株を買ってください)」と言っていました。「家畜がたちまち病気になってしまう」食品を、そんなに食べ続けて常食にして大丈夫?
 
  ハンバーグなどのファーストフードの先進国、米国では「我々がかかえているのは、歴史上最も肥っていて、最も不健康な子供たち」で米国全土で「肥満が、伝染病特有の速度と拡散性で蔓延している」。毎年約二十八万人が、肥満が直接的原因で死亡(肥満は米国の死亡原因の第2位)、肥満から発生する医療費など健康管理に2400億ドルが費やされています。日本も同じ轍を踏むのでしょうか?日本人の脳卒中や心臓病が増えると言われています。
 
  また、このことは日本が大量の食糧を輸入し続けるということです。牛肉は、値段を追求すれば輸入です。日本の湿気の多い気候では、パンに向く小麦粉は作れません。基本的食糧を国外に頼ることはどんな事態を招くでしょうか。
 
  日本が、米を完全に自給できるようになったのは、昭和30年代に入ってからです。明治の開国以降それまで、日本の需要を満たすだけの米を、日本列島では作れなかったのです。不足分はどうしたのでしょう。?    続く


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