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遺伝子組替え作物の実態は収量が減り、農薬使用は増大 2001年 [遺伝子技術]

2001年8月小針店で印刷・配布した「畑の便り」の再録

 12日、輸入のレトルトカレーで食品衛生法違反での回収が始りました。日本で許可されていない食品添加物が使用されていたからです。10日には、森永のスナック菓子の回収が始りました。こちらは、日本で安全審査を経ていない未承認の遺伝子組替えじゃが芋が原料に含まれていたと言う食品衛生法違反です。

 この10日頃から、以前予想したように「アメリカやカナダでは、安全とされたじゃが芋なのに、何故、回収しなければならないのか、消費者に媚びて、不必要な回収をしている」という論調が一部マスコミにでてきました。 虹屋が不思議に思うのは二つあります。

 「国民の生命と財産を守る」という国家の存在理由からすれば、国民の食べ物の安全を確保することは大切な主権行為です。米国は、アメリカで認められていない農薬が他所の国からきた食糧に残留していたら、それは即刻に送り返す厳しい措置をとっています。日本で、日本の安全承認を受けていない遺伝子組替え食品を、日本国民が食べないように回収することは当然の措置ではないでしょうか。アメリカやカナダが安全と言っても、日本国民の食の安全を護る責任は日本国が負っているのだから、日本国が安全を確認していないものはダメというのは当然ではないでしょうか。

 「外国では安全とされたものを日本で禁止するのは、おかしい」というのは、国家主権の放棄ではないでしょうか。近頃、歴史教科書問題や靖国問題では、日本の国家主権や独自性が声高に唱えられていますが、食に関しては国の役割をきれいさっぱり忘れるのは何故でしょうか。

 もう一つは、「除草剤耐性などの遺伝子を組み込まれても、変わるのはその点だけで、他の性質は変わらない」という実質的同等性や、遺伝子組替え作物で農薬の使用量が減るといった遺伝子組替え作物を推進する主張を鵜呑みにしている点です。

 アメリカの全大豆生産量の約60%を占めるモンサント社の除草剤耐性大豆(ラウンドアップ・レデイー大豆、以下RR大豆)の栽培の実態で見てみましょう。
 米国で98年度の米国での栽培データを基にした研究が行なわれました。その結果は大豆を栽培した16州の平均農薬使用量で見れば、在来種の大豆を栽培した場合に較べ、遺伝子組替えRR大豆栽培では11.4%多い農薬使用量でした。

 最大の大豆栽培を誇るアイオワ州など主要な六つの州に限れば、RR大豆の農薬使用量は30%多かった。在来の中の最も農薬便用量の少ない農家に比べれぱ、RR農家で最も農薬便用量の多い場合は34倍以上の農薬を撒いていました。
 遺伝子組替えRR大豆では除草剤ラウンドアッブは1回だけ散布すれば良いとモンサント社は宣伝しています。しかしはモンサント社ですら、実際には1回で済まずに、RR大豆栽培農家の約1/4は年間3回ラウンドアップを散布しなければならないことを認めています。減るはずの農薬が逆に増えてます。

 この研究を行なったC‐ベンブルック博士は、増加の原因を次のように指摘しています。RR大豆という単一作物と除草剤ラウンドアップの使用により、この除草剤に耐性の、撒かれてもなかなか枯れない雑草が出現が予想されていたが、それが現実のものとなり、耐性雑草がはびこり、農家は以前よりもラウンドアップを更にたくさん散布するようになっている。その上、モンサント社がラウンドアップの価格を40%も値下げしたため、競争他社も農薬を値下げし、農家にとっては農薬を増やすことに歯止めがかからなくなった。

 「除草剤耐性などの遺伝子を組み込まれても、変わるのはその点だけで、他の性質は変わらない」という実質的同等性はどうでしょうか。収量と言う全体的な点で見てみると、RR大豆は在来種に比べて、C‐ベンブルック博士の研究では5~10%の収量減という結果、ネブラスカ州立大学の調査では、平均6%の減収です。『農業ジヤーナル』誌の独自調査によれば、インデイアナ州では15・5%、イリノイ州ではl%、アイオワ州では19%減収です。

 その原因は解明中ですが、実質的同等性があるのなら、ただラウンドアップをかけられても枯れないという点だけが違うのなら、収量にこれだけの違いがあるものでしょうか。おかしい。安全審査は、実質的同等性を前提に組み込まれた遺伝子、それがあらわす性質だけの安全性を調べています。実質的同等性が無ければ、安全審査自体が無効です。「アメリカやカナダで確認された安全性」自体があやしくなります。組み換え作物、例えば組み換えじゃが芋を丸ごと、全部の性質で安全性を確認する必要がでてきます。
 


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