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遺伝子組み換え作物で、かえって農薬使用量が増加 2004年 [遺伝子技術]

2004年1月20日小針店で印刷・配布した「畑の便り」の再録

 前に、新潟県が育種したコシヒカリ新潟 BLで農薬が半減するかもというニュースをお知らせしましたが、今週は増えるという話です。遺伝子組み換えで、殺虫毒素をつくる微生物の遺伝子を組み込んだり、特定の除草剤を無効にする遺伝子を組み込んだ大豆などが米国などで栽培されています。殺虫毒素を持てば(それは私たちが食べる部分にも含まれていますが)殺虫剤が要らない、減らせる。ラウンアップなど特定の除草剤をまいても枯れない大豆なら、畑一面にその除草剤を撒いても、雑草だけ枯れる。除草剤をまく時、作作物を避ける必要がないので、農薬の手間が省け、まく回数、つまり量が減らせると宣伝されています。しかし、実際には増えていました。

1996年の商業栽培が始まって以来のアメリカ政府のデータを、米国のノースウエスト・科学と環境政策センターのベンブルック博士が解析した結果で、先々月末公表されました。使用量が減ったのは、栽培が始まってからの三年間だけで、25%減少しました。その後は逆に年々大幅に増えています。2001年についに、非組換え作物に比べても多くなりました。組換え作物は除草剤と殺虫剤が5%多く散布され、2002年には7.9%、2003年には11.5%も多く使われました。その結果2001年から2003年の間に、アメリカでは合計で7300万ポンドの農薬が余分に散布された計算になるそうです。

増加の一番の理由は一種類の除草剤しか使わないため、予想通りにその除草剤の効かない雑草が現われたこと。本来なら、別の種類の除草剤を撒きます。畑を見回り、見つけ次第、作物にかからないように気をつけて雑草に散布します。手間がかかります。それで農家は散布量でカバーする方向に走ったのです。それを助長したのが、除草剤の値下げ。96年と比べ半値で、使用量が増えても別の農薬を撒くより経済的には有利なのです。遺伝子組み換え作物は、それによる遺伝子レベルでの環境汚染が懸念されています。ですから栽培する企業的農家は、元々環境保全より利益優先体質です。当然の選択であり結果かもしれません。

2004年1月20日印刷・小針店で配布したものに加筆

参照 ⇒遺伝子組換え作物と農薬使用量の関係 、米国のメガ作物の場合  白井 洋一
http://www.foocom.net/column/shirai/10425/


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