SSブログ

癌治癒をうたう健康食品、サプリメントの見分け方(下) 2004年 [サプリメント・健康食品]

2004年8月31日小針店で印刷・配布した「畑の便り№04‐36」の加筆再録

 癌治癒をうたう健康食品、サプリメントの見分け方(上)

抗がん剤が開発されるまでに、その効果を調べる手順

  抗がん剤が開発されるまでに、その効果を調べる手順は大まかに5段階あります。(普通の医薬も同様の手順です)

04-36_05.jpg

 

(1)基礎研究、非臨床研究 
試験管内や動物での試験 ヒトに投与される前の段階のものです。植物の成分、
細菌の培養液などの自然界からのものや人工的に合成された物質を、試験管内のヒトがんの培養細胞を使い、その細胞をやっつけてしまう抗がん活性をしめす候補物質を探し出します。スクリーニング(ふるい分け)テストといわれます。

  次にヒトの培養がん細胞や、ヒトのがん細胞を植えつけたマウスなど動物に投与し、有効性が研究され、候補物質の効き目とどのような副作用がでるか、毒性の程度を調べます。 

 (2) 臨床試験第一相 (phase フェーズI) 
初めてヒトに投与される段階のもの 標準的な治療法が効かなくなった患者さんや、標準的な治療法がないがんの患者さんなど少数のがん患者に投与して、抗がん剤の安全性や人体内での薬物動態(吸収・分布・代謝・排泄)を調べます。(抗がん剤以外では健康成人を対象に行われる)基準以上の副作用が顕れない最大の投与量をわりだします。

 (3) 臨床試験第二相 (phase II) 
がん患者を対象に、第一相ではあまり行えない反復投与、長期投与を行い薬の効き目や副作用の程度を調べ、適切な投与量、推奨用量を割り出します。
この段階での抗がん剤の効き目は、腫瘍縮小効果を目安されます。日本では抗がん剤は、全体の20%の患者で腫瘍の大きさが4週間以上で半分の状態になれば有効と判定されます。そして、日本ではこの臨床試験第二相で有効と判定されれば、抗がん剤として認可されます。(抗菌剤であれば80%以上の効果がなければ駄目)

 sbt_b.jpg

欧米では、次の段階の第三相試験で、「二重目かくし試験」での有効とのデータが必要です。

 投与される方では「この薬は新しい薬でいままでのもよりきっと効果があるはずだ!暗示効果」から症状が良くなってしまう方がいます。また、効き目の程度を判定する側(医師)の方も、ひいき目に見る傾向があり、効かないクスリでも効いたと思いこみがちです。これらのバイアス(片寄・偏り)がこの臨床試験第二相 (phase II)段階での臨床試験ではぬぐえません。

それ故に日本で使われる抗がん剤の多くが、外国では必要な臨床での有効性試験をしていないので、通用しないのです。

  抗がん剤以外では、日本でも現在は次の段階の試験が必要です。

(4)臨床試験第三相 (phase Ⅲ) 
今までの治療法と公正に比較してどうなるか、優れているのかを検討、証明する試験です。臨床試験第二相で有効とされ腫瘍縮小効果が認められても、「腫瘍縮小=延命」かというと、必ずしもそうではなく、例えば副作用による身体への影響で「効果は高いが副作用でやられてしまった」ということもおこります。最終的な生存期間や無再発生存期間などを物差しに比較します。

  この第三相段階のもう一つの特徴は、1000人単位の多数のがん患者が対象にした大規模比較試験で、「二重目かくし試験」が行われることです。

 Dbt_b.jpg

  従来からの薬でも、新薬の試験投与では「この薬は新しい薬でいままでのもよりきっと効果があるはずだ!暗示効果」から症状が良くなってしまう方がいます。また、効き目の程度を判定する側(医師)の方も、ひいき目に見る傾向があり、効かないクスリでも効いたと思いこみがちです。

  このような「ひいきの引き倒し」をなくして、先入観なしに公平にクスリを評価するために、患者にも医師にも新薬Aが処方されているのか、従来の薬Bが処方されているのか、わからないように工夫された試験が「二重目かくし試験(ダブル・ブラインド試験)」です。正確に評価するための手段として一般的に用いられている方法です。

  欧米では、この臨床試験第三相で有効とならなければ、医薬品として認可されません。

(5)臨床試験第四相 (phase Ⅳ)
 医薬品の承認後に実際に使ってみて、他の薬と併用した場合の効果、副作用とか、実際に期待・予想された効果があるか調べることです。

また、これとは別に「市販後調査」として、新医薬品については市販後(日本では6年間)の副作用報告が義務づけられています。

  このように、癌に効果があるといっても、その科学的根拠には様々な段階があります。

健康食品、サプリメントの多くは試験管内や動物での試験での水準、よくて薬の候補物質

  試験管内や動物での試験で効果があっても、それは薬の候補物質です。健康食品、サプリメントとかバイブル本にある科学的証拠は、大概この段階です。中にはこれもない物もあります。つまり、健康食品、サプリメントとかはよくて薬の候補物質です。

  例えば、アガリクスの制ガン効果は、東京大学医学部や国立がんセンター研究所などのガン専門研究グループの、ガン細胞を移植したマウスでのデータです。45日後にマウスのガン細胞が完全に消滅し治った全治率や治った後に再びガン細胞を移植しても、ガン細胞が増殖しなかった阻止率です。

  体験談など人が服用した場合の治癒効果が喧伝されて、あたかも臨床試験第二相段階のヒトでも有効との証拠があるように書かれています。しかし、その健康食品、サプリメントを服用、投与された人数が書かれていないことです。効いた治ったという体験談が10人あっても、20人中の10人なのか、100人中の10人か、1000人中の10人なのかで全く意味がちがいます。

そしてよく読むとが、判定基準が普通とは違っていたりします。また、外科手術やほかの抗がん剤と併用した場合は、その健康食品、サプリメントが本当に効いたのかはわかりません。その点が明記されていない。

癌治癒をうたう健康食品、サプリメントの見分け方(上)の八木田・近畿大学腫瘍免疫学研究所元教授は、判定基準は八木田独自の物です。

普通の学会基準では画像判定によるのに、参考程度にしかならない腫瘍マーカーのみで判定していたり、腫瘍断面積が半分以下になるとPR(有効判定)が普通・学会基準ですが八木田基準では10%~20%減でもPR判定しています。「手術で腫瘍を摘出した患者を(新免疫療法で)癌が消失した患者に数えていた」と報じられてます。学会基準では奏効率は1~2%程度だと内部告発者は証言しています。

臨床試験第二相段階の試験は単純盲検で、もともと「効き目の程度を判定する側(医師)の方も、ひいき目に見る傾向があり、効かないクスリでも効いたと思いこみがちです。」とお伝えしました。八木田・元教授はサプリメントを投与する新免疫療法の発案、施術者で、そのサプリメントは妻の会社の製造ですから、単なる贔屓・ひいきではなく、利害関係者です。

日本の医学界・医薬界が長年、臨床試験第二相で有効なら、抗がん剤として認可、販売、使用してきた、世界では通用しないやり方のツケ、膿が近畿大学腫瘍免疫学研究所元教授の新免疫療法だと思います。

抗がん剤は効果と副作用を同時に味わう。その重要な副作用情報が開示されているか

 臨床試験のやり方をみれば、治療に用いるのには副作用情報が重要です。

 抗がん剤に共通して言えることは、抗生物質が細菌のみに毒性を発揮し、人間に殆ど毒性を示さないのに対し、抗がん剤は患者にもダメージを与えてしまい、選択毒性の低い事です。つまり「薬は一般に投与量を上げると効果が出てきます。もっともっと投与量を増やすと今度は副作用が出てきます。この効果と副作用の幅が非常に広いのが一般の薬で、通常量の10倍ぐらい投与しても、それによって死ぬことはない。これが一般的な薬です。
  これに対して抗がん剤は、効果をあらわす量と副作用を出す量がほぼ同じ、あるいは場合によってはこれが逆転している場合さえあります。すなわち、投与量が少ないところですでに副作用が出て、さらに投与すればやっと効果が出るといったような場合です。このように必ずといっていいほど、患者さんは効果と副作用を同時に味わうことになってしまいます。(国立がんセンター中央病院 西條 長宏)」

  このように抗がん活性と副作用は裏腹の関係にあるのですから、健康食品、サプリメントにしろ抗がん活性を謳うのなら副作用を調べ、開示することが重要です。

調べられない副作用(害作用)

プ○ボリス、アガリ○スなどは食品だから副作用がないと書かれていますが、通常に食品で食べる量では顕れないだけです。健康食品、サプリメントで大量に摂取した場合、プロボリスでは皮膚炎、アガリクスには肝臓障害が報告されています。下痢、湿疹など副作用を、体が順応するまでの一時的な好転反応とごまかしているものもあります。

  科学的証拠の水準、副作用情報などを念頭にバイブル本、健康雑誌などの情報を吟味すると、人で効果があるのか、安全性は「???」ではないでしょうか。

 2004年8月31日小針店で印刷・配布した「畑の便り№04‐36」の加筆再録


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント

トラックバック 0