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茶カテキンでダイエットはできるのだろうか!? トクホ② 2005年 [サプリメント・健康食品]

2005年3月8日小針店で印刷・配布した「畑の便り№05-11」の加筆再録

  今日、様々なハーブテーや健康茶が飲まれていますが、お茶、緑茶もお茶が日本に入ってきた頃は「飲み物」というよりは「薬」でした。それが、江戸時代を経て、お茶は当たり前のように身近かにある「日常の飲み物」に変わりました。そして、今日また「薬としての飲み物」として注目されいます。

  抗癌などいわれていますが、茶カテキンのダイエット効果が最もはやっています。「体脂肪が気になる方に適しています。」という特定保健用食品へルシア緑茶で、本当にやせるのでしょうか?

お茶、ハーブティー、健康茶

  今日、様々なハーブテーや健康茶が飲まれていますが、ハーブとは西洋の薬草や香草(木の葉や、樹皮も含む)の総称で、ハーブを乾燥して茶のように煎出して飲むものが、ハーブティー。日本のハーブの「ドクダミ茶」「ハトムギ茶」「ゲンノショウコ茶」などが健康茶。古来、生活が安定すると最も気になるのが健康です。
江戸時代には健康法-養生に人々の関心が向き、古文書などには家々の庭の片隅にこうした日本のハーブ・薬草や薬木を植えていた様や家々で融通しあう様、領主が他国から買っている薬草を領地内で栽培を奨励する様、村人や医師が山野で薬草を探す様が書かれています。柏崎の米山の山頂には、薬師神社がありますが、山頂付近に自生していた薬草を参詣者に分け与え信仰を集めていました。

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  お茶、緑茶もお茶が日本に入ってきた頃は「飲み物」というよりは「薬」でした。中国・宋からお茶を持ち帰った栄西は、鎌倉幕府の第3代将軍、源実朝が体調をくずしていた時にお茶を進呈して、すっかり良くなったという話が伝えられています。当時、禅宗の僧侶は修行の妨げである眠気を防ぐために流行したという話も伝わっています。伝来当初、お茶は薬でした。それが、江戸時代を経て、お茶は当たり前のように身近かにある「日常の飲み物」に変わりました。そして、今日また「薬としての飲み物」として注目されいます。

  抗癌などいわれていますが、「茶カテキンを豊富に含んでいるので、体脂肪が気になる方に適しています。」という特定保健用食品へルシア緑茶がもっとも飲まれているようです。 

茶カテキンはタンニンの一種

   茶カテキンは従来、タンニンといわれてきました。苦渋味があり、緑茶の味のベースになる成分です。茶葉に含まれるタンニンの85%以上が、カテキンに属する物質ですので、茶では、タンニンといえば、カテキンのことであるといっても、ほとんど同じです。茶葉には、10~20%程度含まれており、茶の水溶性成分の中で、最も含有量が多い物質です。

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 春、お茶の新芽が5枚ほどでると葉が成熟へと生育ステージが変わります。その代わり端の頃が新芽(葉)が軟らかくしかもおいしさの成分が新芽(葉)に移った時期で、摘み取りはこの時期に行われます。摘み取った新芽を薄く広げて日陰(室内)に半日ほど置いておくと、やや萎れた状態(萎凋という)となり、花のような香りができます。さらに時間がたつと、色も変わってきます。
これをお茶が「醗酵」すると言います。味噌や醤油お酒などの醗酵は、酵母菌などの微生物の働きによるものですが、お茶の醗酵は、茶葉が本来持つ酵素の働きによるものです。酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)がカテキンに働いて、酸化や重合(結合してより大きな別の物質になる)させます。この醗酵を、最後まですすめると紅茶、3割程度がウーロン茶、摘んだ葉を直ぐに加熱処理して止めるたが緑茶です。(この緑茶の製法が、ブレンドや産地偽装などの原因ですが、それは別の機会に)

  酵素の働きで、カテキンが酸化・重合して新たにできた物質が、紅茶のきれいな色や香りを生みます。抗がん性などの機能性ですが、酸化・重合したカテキンでは弱いそうです。

  茶カテキンは、従来はタンニンといわれていました。カテキンは緑茶タンニンとも言われます。柿渋もタンニンの一種でタンニンは多種ありますが、共通して蛋白質を凝集させる、結合して沈殿を作る性質(生体高分子成分の塩基性官能基に結合し収斂させる作用)があります。タンニンは語源的にはこれと同じで「皮をなめすために使われる鞣皮剤」です。皮の主成分であるコラーゲン繊維(タンパクの一種)にタンニンを結合させ、蛋白質を凝集させる性質を利用して、皮の安定性と強靱さを高めています。
下痢止めの生薬のゲンノショウコは、ガロタンニン(ゲラニイン)を重量比で約20%ほど含み、その強力な収斂作用で下痢を抑えます。逆に過剰に摂取すると便秘を起こします。茶カテキンもタンニンの1種ですから、蛋白質を凝集させる、結合して沈殿を作る性質を持っています。(ついでながら、多くのハーブにもタンニンが含まれています。)
タンパク質だけでなく他の体内の物質に働いて、結合してしまうことがが予想されます。案の定、2003年9月には、高濃度のカテキンは、銅と結びついてDNAを損傷することが明らかになりました。2002年には、緑茶カテキンをラットに高用量投与すると甲状腺腫が発現することが公表されています。東京都の研究所でも同様の結果が出ています。

  ただ、甲状腺に異常が顕れる量は、人間に換算すると煎茶を湯飲みで、 一日233.6 杯も飲む量ですし、遺伝子DNAを損傷する濃度は、通常の約40倍ですから、普通に急須でお茶をのんでいては摂れる量、濃度ではありません。へルシア緑茶を花王が勧めるように毎日1本350ml飲んでも、摂れる量では有りません。問題なのは、茶抽出物などを使っているサプリメントです。(多くのハーブにもタンニンが含まれていますから、同様の注意が必要です)

東京都の研究所の結果 http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/health/08/08.pdf 

静岡大・・グルコン酸銅の発がん促進作用並びにカテキンとの複合影響による発がん修飾作用 http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/handle/10297/6466

国立がん研究センター・・緑茶摂取と甲状腺がん発生との関連は、閉経前と閉経後の女性で異なった(2011年)  http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2829.html 

 どれ位、体重が減るのだろうか

さて、「体脂肪が気になる方に適しています」カテキンがダイエットに効くという効果のほうはいかがでしょうか。特定保健用食品・へルシア緑茶の解説を見ても、効果があると認めた審査の際の資料や解説が出ていません。つまり、厚生労働省が、どれ位の効果が有ると認めたのかは不明です。

  特定保健用食品は、その効果を無作為比較対照試験(RCT)でしらべ有意水準5%以下なら効果ありと認められる仕組みです。有意水準5%以下というのは、この場合、「へルシア緑茶を飲んでも、体脂肪の増減には影響しない」という確率が5%以下であるという意味です。厚生労働省が、特定保健用食品で認めたということは、「へルシア緑茶を飲むと、体脂肪の増減に影響がある」ことです。肝心のそれくらい影響するか、メーカーの花王が言うように毎日1本350ml飲むと飲まない場合に比べて、どれ位体脂肪が減るのかは、国はノーコメントです。関知しないので、「体脂肪を減らす」ではなく「体脂肪が気になる方に適しています」という奥歯に物が挟まったような表現しか国は許していないのです。

 

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 花王のへルシア緑茶の解説には、臍周りの体脂肪の面積が半分以下になるというデータが効果として例示してあります。そのデータの大本の試験データを見ると、サプリメントの広告ではこのデータから「1日1本、12週間飲み続けると体重が約1.69kg減少する」と紹介されていますが、かなり、限定的な結果です。

  まず、試験の規模が80人と小さく、かつ被試験者サンプルに偏りがあります。例えば、女性は閉経後だけで、平均年齢が54.8歳。医薬では、3段階の有効性(危険性)を調べる人体試験が行われます。動物実験など見つけた候補物質を3回ふるいにかけて、効果のないニセ薬などを除いています。80人の試験規模では、第一回目の最初の試験規模でしかありません。三回目の最終の試験では、4桁の人数が必要です。
この数千人規模の試験でチェックしていても、実際に病院で使ってみると、効果が少なかったり、重大な副作用が出たりしていますから、この偏ったサンプルの80人程度の試験の結果では、体脂肪が低減するという定性的なことはいえますが、それが約1.7kgという効果の大きさ、定量的な点はかなり不確実です。それで、試験をした医師たちも、「71.8
%のヒト(人数)の体重が0.5kg 以上減少しました。」、花王も「ただし、(へルシア緑茶は)美容・痩身を目的としたものではありません。」とトーンダウンした言い方なのです。

  用量と効果は比例すると考えられますから、高濃度・大量に含有し錠剤など手軽に飲みやすい茶カテキンサプリメントが、花王のCMに便乗してダイエット効果をセールスポイントに氾濫するわけです。そうして摂取量や濃度が危険レベル、先ほどの遺伝子DNAを損傷したり甲状腺に異常が顕れるなどの危険レベルに達する恐れがあるのです。

  このように、厚生労働省認定の健康食品「特定保健用食品」は、効き目はあるでしょうが、どれ位あるか、量的に消費者が期待するほど有るかといえば???です。そして、この4月には「条件付き特定保健用食品」が新設されますが、それはどうなのでしょうか。 続く 

2005年3月8日小針店で印刷・配布した「畑の便り№05-11」の加筆再録

虹屋小針店で扱っていたハーブティー 

オーガニック レモンバームティー (アンデスシリーズ) オーガニック レモンバーベナティー (アンデスシリーズ) アンデス・オーガニック カモミールティー

 


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