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輸入、血液製剤から、BSEに感染する恐れは? 2005-49 [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №05-49 2005年11月29日発行の再録です。



輸入、血液製剤から、
BSEに感染する恐れは?


29日(火)に、米国産牛肉の輸入再開に関する国民の意見募集が締め切られました。(虹屋の応募意見)焦点は米国産牛肉の安全性、BSE(狂牛病・牛海綿脳症)に関する安全性です。これは、日本が米国から大量に輸入している血液製剤の安全性に関わります。

BSEは血液で人→人感染
BSE対策の基本は飼料規制で発生を絶つ
米国で多発する人の海綿脳症 CJD
米国へのBSEの侵入を過小に見積もっている
不十分な米国の感染拡大ルート検討
解消されない不安、米国の調査結果





BSEは血液で人→人


 BSEが人に拡がるルートは二つあります。一つは、BSE牛を食べるルートです。もう一つは、感染した人、異型クロイツフェルトヤコブ病vCJDになった人からの輸血、血液製剤、臓器移植などです。残念ながら、血液検査でvCJDを調べられません。エイズHIVや肝炎は、血液検査で検出し、排除してます。潜伏期のvCJDはできません。日本やどの国でも、BSEが多発した時期に英国に滞在した人からの献血は断っています、受け付けていません。

 日本は米国から大量の血液製剤を輸入しています。米国のBSE対策に穴が開いていて、BSEが米国人に広がっていると、米国人の血液から作られた血液製剤で日本に持ち込まれる可能性があります。血友病HIVの二の舞をする可能性があります。

 米国産の血液製剤のBSE安全性は、米国産牛肉の基本的な安全性の確保が大前提です。牛肉輸入再開は、その上に様々な条件を付けると日本産牛肉と同じ水準の安全性が確保できるか、が問題の焦点です。大前提の米国産牛肉の基本的な安全性に疑問符がつくのなら、輸入牛肉、血液製剤の安全性も疑わしくなります。





BSE対策の基本は
飼料規制で発生を絶つ


 BSE対策は、大きく3種類あります。一つは、飼料を規制してBSEが牛に広がらないようにする発生源対策です。一つは、BSE検査で検出できる陽性牛を摘発し排除する策です。最後は、病原のプリオンのほとんどが蓄積している特定危険部位SRMをと畜、解体の際に取り除いてしまうことです。

 この3つのうち、一番大切なのは飼料規制です。仮に1頭もBSE牛がいなければ、検査も特定危険部位SRM除去も不要です。逆に、BSE牛が多数なら、どうでしょうか。1980年代後半の英国では高齢の牛で多数検出され、とうとう高齢牛は、検査もせずに全頭を焼却場に直送してました。検査は見逃しがあるし、SRM除去は取り残しや食肉付着が起こるからです。





米国で多発する人の
海綿脳症 CJD


また、中西氏は「米国からの輸入牛肉で、日本に100年に1人の変異型クロイツフェルトヤコブ病vCJDの患者が出るリスクがあったとしよう。とすれば、牛肉の消費が日本よりはるかに多い米国では小さく見ても、2000年代初頭から始まる100年間に1000人強の患者が出るはずである。もちろん、こんなこと起きてはいない。申し訳ないような気もするが、米国人が食べていることは、1000倍以上の検出力で試験してもらっているようなものなのである。」

 中西先生は、アイダホ州の7人(8人?)クロイツフェルトヤコブ病CJD発症の件はご存知でしょうか。アイダホ州は人口やこれまでの発症件数から、年間1~2人発症が普通で、現在のところ5人ほど過剰発症している。それに米国で弧発性の原因不明のCJDが増えて、CJD患者の急増、3倍以上は良く知られた事実です。(死後の解剖検査までvCJDと確定できないが、剖検される例が少ない。)中西先生はこれらの事実をご存知でしょうか?彼らの血液から製剤が作られていたら?





専門部会の審議には
大きく3つの問題
一つは、
米国へのBSEの侵入を
過小に見積り


さて、食品安全委員会の専門部会の審議には大きく3つの問題があります。

 一つは、米国へのBSEの侵入を過小に見積もっていることです。日本のBSEの大元は、英国などからの生体牛(日本でと畜され、作られた肉骨粉での拡大)と肉骨粉、イエローグリースという肉骨粉を含んだ牛脂が挙げられ、その中に1~2頭の感染牛がいてそれが日本のBSEの大元とされています。

 米国でのBSE陽性1例目は、カナダ生まれの乳牛です。これを含め、カナダ産牛からは4頭のBSE牛が摘発されています。安全委は、カナダのBSEは1990 年代から増加し、(97年夏)規制前に生まれた牛群で最大となり、100 万頭当たりでBSE牛20 ~ 24 頭、規制後に生まれた牛群では緩やかに減少し2000年で10~12頭、2004 年では、5~6頭、と評価しています。

 米国は、90年から2003年5月のカナダでのBSE牛発生時点まで約1300万頭輸入しています。(肉骨粉では約350万頭~約620万頭分、動物性油脂で約560万頭分。)このなかのBSE牛が、2003年暮れに摘発された米国でのBSE陽性1例目だけと考えるのは馬鹿げています。しかし、安全委の答申案は「カナダからの侵入リスクは、米国の汚染に影響を与えたとは考えにくいので、現時点では考慮しない」。





不十分な
米国の感染拡大
ルート検討


第二の問題点は、米国での肉骨粉を含んだ牛脂イエローグリースでの感染拡大を見落としていることです。幼弱齢の牛は、10倍はBSEに感染しやすいのですが、幼弱齢の牛に与えられる牛用粉ミルク、人工乳・代用乳にこの牛脂が使われています。

 米国ではプリオンを大量に含む特定危険部位SRMも肉骨粉やイエローグリース製造の原料とされています。肉骨粉は、鶏や豚など牛以外の家畜やペットフードに使用が許されており、製造や給餌の際の交差汚染によるBSE汚染を安全委は指摘しています。イエローグリースは、自由に使えます、牛にも与えられています。その上、不純物≒肉骨粉の規制もありません。日本でのBSE解明の際には、この牛脂も取り上げているのに、今回の審議では、口を閉ざしています。

 米国では肉骨粉2%前後のイエローグリースが良く使われるといわれています。米国でのレンダリング(肉骨粉・イエローグリース製造)での真空処理法でのBSE牛1頭のイエローグリースには約30頭の新たな感染をおこす力(感染価)、連続処理/脂肪不添加法なら約3頭が見込まれます。

 先の肉骨粉での交差汚染やこのイエローグリース給餌を考えれば、米国の97年飼料規制でBSEの爆発的拡大は防げているでしょうが、現在、規制前に生まれた牛群で最大となったBSE曝露・感染が定常状態にあるのか、増加、減少しているのか、そのテンポは、実態調査の結果でしか分かりません。





解消されない不安、
米国の調査結果


第三の問題は、この実態調査、米国が04年6月から行っている拡大サーベランスが、杜撰で結果が当てにならない。BSE検査法の感度が悪く見逃していた可能性があることと、検査された牛が適切なものか不明なのです。

 米国提供資料では、死亡牛の一部とと畜場につれてこられたが歩行困難などで排除された病牛・廃棄牛全てが検査対象です。しかし実際には病牛・廃棄牛の20%ほどです。と畜場の検査員、獣医の目の前に牛はいるのに試料採取できないはずがありません。日本側に公表されていない検査対象の選別基準があるのです。死亡牛は「どうやって補足しているのかよくわからないところもございます。」(農水省・衛生管理課長)

 このように米国のBSE汚染は、規制面などをみると大いに不安があり、調査では解消されないのです。米国民はその牛肉を食べています。彼らの健康状態は先に述べたとおり。

 このまま日本の専門家が米国産牛肉に安全というお墨付きを与え、日米でBSEリスクに差が少ないとして輸入再開して良いのでしょうか??


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