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米国産牛肉の輸入、年末に約2割分、来年のお盆前には全面的に再開?? 2005-43 [牛‐肉、乳、飼育]

畑の便り  №05-43 2005年10月18日小針店で印刷・配布の再録です。



米国産牛肉の輸入、
年末に約2割分、
来年のお盆前には全面的に再開??


 この年末までには米国産牛肉の輸入が20ヶ月齢以下の牛限定で再開されると報道されてます。9月27日の畑の便りで予想した通りで残念です。米国大使館の農務担当公使は13日に、20ヶ月齢以下に輸出を限定することは日本向けの独特のもの、再開されたら30ヶ月齢未満まで拡大することを求めていくと発言してます。食品安全委員会の答申が案のままなら、来年夏には米国の求める全面的な貿易再開が可能です。

食品安全委員会の答申(案)は、
米国の主張を丸呑み


 今回の食品安全委員会の答申(案)は、米国の主張を丸呑みしています。米国は、BSE感染牛でも脳や脊髄などの特定危険部位SRMを除けば、安全で食用にできると主張しています。これに対し日本は、感染牛のあらゆる部位は食用にも、家畜の餌にもできないという方針。これは世界保健機関WHOの見解と同じです。

 日本は、まず肉骨粉飼料の完全禁止で感染牛の新たな発生を防ぎ、感染牛を減らすこと、次いでBSE検査で発見できる感染牛を摘発、排除すること、検査の技術的限界で摘発できない感染牛はSRM除去で対処する三段構えで、食肉の安全を図っています。

米国は、と畜場でのSRM除去や肉などへの付着防止に力をいれ、飼料規制やBSE検査など感染牛の減少や摘発除去はおざなりです。

 このため、BSE牛の新たな発生が防げません。牛への肉骨粉給餌禁止は日本は1996年4月から、米国は97年8月からです。日本では、この程度の規制ではBSE発生を防げませんでした。交差汚染という形で病原プリオン入り肉骨粉などが牛の口に入ったためです。それで2001年12月に肉骨粉を全て焼却し、牛だけでなく豚や鶏など全ての飼料で全面使用禁止しました。それ以前の飼料が全てなくなっただろう2002年6月以降に生まれた牛では、現在まで1頭もBSEは検出されていません。こうした牛が現在の飼育牛の約6割といわれてます。これに対し、米国は97年規制のままです。交差汚染が規制違反だけでなく、制度上も許容されている。病原プリオンを牛が摂取する合法的な抜け道があります。その点は食品安全委員会の答申(案)でも指摘しています。それでの交差汚染で新たなBSE牛が発生している。  平成15年9月発行「 牛海綿状脳症(BSE)の感染源及び感染経路の調査について」P93  農水省の牛海綿状脳症(BSE)に関する技術検討会 BSE疫学検討チーム

米国では新たなBSE牛の発生継続中=若齢牛に感染牛がいるのなら、日本流ならBSE検査で摘発しプリオンの蓄積量が少なく発見できない牛にはSRM除去です。それが出来ないのなら日本に輸出される牛肉には、制度的に交差汚染を受けた牛のものは除く措置が考えられます。9月12日の会合で、豚や鶏の牛の肉骨粉入り飼料での交差汚染を受ける可能性のある牛と、人工乳や代用乳でプリオン入り牛脂を摂取する可能性のある牛は、輸出から実質的に除かれているのではないかと論議され
「それができれば、評価は割合限定されて、分析は簡単にはなります」と吉川座長は応じています。


発生中の感染牛
の規模は??


 そういった交差汚染の可能性が特に高い牛が輸出されるなら交差感染の規模や程度を推定しなければ安全性は論議できません。感受性の高い幼若牛で感染機会が多ければ、若齢での感染牛が多く、プリオン蓄積量も多くなります。またBSE感染牛10頭からの肉骨粉などで、牛の飼料の肉骨粉を使用していた97年規制以前には、感染が新たに起きていた数を、仮に50頭とします。97年の直接給餌の禁止で、10頭に減れば総感染数は増えも減りもしません。10頭以上なら増え、以下なら減りますが、そのペースは交差感染での発生数の大きさで左右されます。

 答申(案)では、欧州の直接給餌禁止の規制効果、3年で半減を用いて2004年の時点では米国の感染は97年規制前の約四分の1に減っていると推測しています。日本のBSE発生数も同じやり方で推測し年毎の検出数を予測していますが、実際には予想より多くなっています。規制の効果が違いは欧州と日本では飼料成分や飼育法が違いますから当然です。欧州と米国も違いますから、米国の感染は約四分の1に減少という推測は実際、どれ位、感染が起きているのか、検出されているのか、その実態で検証しなければ、単なる仮説です。


使えない米国のデータ


 米国では、昨年6月から検査牛を増やした拡大サーベランス調査を行っています。この調査データが使えるでしょうか?答申(案)ではこの調査を、検査牛が「米国における高リスク牛の抽出検査のみで行われ」「抽出検査による汚染の程度の推定が困難」。検査方法も「(日本の)WBのようなより感度の高い方法を導入していれば、(より多く)摘発可能」と評価。つまり、米国のBSE感染の実態を示す科学的に信頼性の足る検査データがない。感染は約四分の1に減少という推論も、検証できず仮説のままです。この拡大サーベランス結果から感染牛の数を試算していますが、それは「参考に留めておくべき」と自己評価しています。データがないため交差汚染の規模や程度を議論し、責任を持てる評価は難しい。それで「(交差感染を受けただろう牛の除外)それができれば、評価は割合限定されて、分析は簡単にはなります」という弱音がでるのです。

 日本政府、米国政府、カナダ政府の答えは、「そうした牛は除いてません。」この時点で、食品安全委員会は科学的評価はできない、米国産牛肉のBSEリスクは国産と同等/小さい/大きいとも責任を持てる評価は不可能、だから輸入再開に反対できないが輸入再開か米国と再交渉するかは小泉政府の政治決断でといった答申を出す道が採れました。そのように小泉政府の意向に逆らった時のお返しの仕打ちは総選挙で示されています。その小泉政府に日本国民は圧倒的議席を与えました。

 結局、答申(案)では、20ヶ月齢以下の米国産牛にはBSE感染牛が含まれる確率はきわめて低い、発症したり、BSE検査により発見される可能性は極めて低いとしています。感染率を裏付ける科学的で信頼性のあるデータはありません。発症時期や検査可能性はBSEプリオンの蓄積量によりますが、それはどれ位のプリオンを何時摂取したかに影響されます。米国からのデータには、それらを推測できるものがありません。欧州の研究から、幼若牛が大量に摂取したなら13ヶ月齢で検出可能まで蓄積すると見られています。答申(案)は机上の空論です。

 答申(案)は「日本向け輸出プログラム条件が遵守されれば、BSEプリオンによる汚染の可能性は非常に低い」プリオンの蓄積が多い脳や脊髄などは、米国では30ヶ月齢以下の牛の危険部位SRMに指定されず、除去義務はありません。(日本ではSRMで除去)日本向けには特別に除去が輸出プログラムの骨子です。答申(案)はBSE感染牛でもSRMを除けば安全という米国の主張そのままで、実質的に日本のBSE防止対策を否定しています。


答申(案)は
来年夏の再開を
約束する内容


また「米国では、2005年9月現在で、20ヶ月齢以下の牛が生まれた2004年1月時点において、一定の割合で交差汚染がおこった可能性が否定できない」が、それによるBSE感染牛が含まれる確率はきわめて低く、BSE検査により発見される可能性は極めて低いから検査除外として、日本の20ヶ月齢以下と同等の扱い=安全性を“科学的”に認めています。04年1月に生まれた牛は、来年6月には30ヶ月齢に達します。来年の7月以降に、と畜される米国産の30ヶ月齢未満の牛はすべて” 科学的に安全”な牛になります。

 在日米国大使館の農務担当公使は13日に、「20ヶ月齢以下に輸出を限定することは日本向けの独特のもの」・・今後は「30ヶ月齢未満」まで拡大することを求めていく・・「まず、日米間で貿易を再開することが大切。その後の協議となるだろう」と述べています。

 食品安全委員会のプリオン部会の吉川座長は5月に、BSEの発症までの潜伏期間が6~7年と見られることから、国、自治体による全頭検査が行われる2007年度末、2008年3月までの検査結果で現在の飼料規制、2002年からの肉骨粉の完全禁止の効果が読めるとし、それまでに若い牛から陽性牛が見つからなければ、検査対象から30ヶ月齢未満を除けると言っています。しかし、科学的にはあと3年たたないと分からない飼料規制の効果を見込んで、今年の5月に2003年7月以降に生まれた牛を検査から除外することを認めています。法律的には20ヶ月齢以下除外、その20ヶ月齢以下は自治体による検査に8月から移行しました。1年後の2006年夏に30ヶ月齢以下は検査除外に食品安全委員会は異を唱えられるでしょうか、何の障害があるでしょうか。

 来年、米国議会は中間選挙です。それで虹屋は答申が案のままなら、お盆商戦、米国の選挙に間に合わせて来年の夏、日本の牛で30ヶ月齢未満は検査除外となり、米国産牛肉にも適用され米国産牛肉の全面的再開と予想しますが、外れて欲しいものです。


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