SSブログ

オーザックは安全なのか 2001年 [遺伝子技術]

2001年6月小針店で印刷・配布した「畑の便り」の再録

 5月25日、ハウス食品のスナック菓子の「オー・ザック」全品が、食品衛生法違反で回収になりました。袋には「遺伝子組換え食品を使っていない」と明記してあります。しかし検査で遺伝子組み換えポテトの原料混入が判明、しかもそのポテトが日本で未承認で、従って食品衛生法では使ってはならない遺伝子組み換え食品だった為です。 

 ハウス食品は「この原料は、米国ではすでに安全性が確認され、承認されているもので、人体への影響はないとされており、」厚労省も、米国やカナダで承認されていることから「ただちに健康被害があるとは考えていない」としています。本当に安全でしょうか。

 l_04.jpg

   遺伝子組替え「技術」は、あらゆる生物に応用されています。人間に用いられる場合「遺伝子治療」など言われます。遺伝子治療で最も懸念されているのは「ある遺伝子を加える場合には、その新しい遺伝子が間違った場所に導入されてしまう可能性が必ずあります。そして、これは恐らく癌もしくはその他の障害を引き起こしてしまいます。」遺伝子組替えの作物や家畜にこれと同じことが、それによって生じる危険性が(例えば、新たな毒素を作り出してしまうとか)起きない、少なくとも栽培や販売が許可されたものにはないと言い得るのでしょうか。

  親からもらった遺伝情報・遺伝子以外の、新たな遺伝子が細胞に入り込み、組み込まれることは、しょちゅう起きています。私の体でも、貴方でもだれにでも起きています。インフルエンザなどウイルスに罹れば、ウイルスの遺伝子が私達の細胞に入り込み、そして、私達の遺伝子に組み込まれ、やがて細胞を乗っ取り病気をおこします。

  遺伝子組替え「技術」は、このウイルスなどの細胞に遺伝子を入れ込み組み込ませる能力を利用したものです。人間の遺伝子治療では、ヒトに感染するマウス白血病ウイルスやアデノウイルスが用いられます。作物(植物)には、瘤病をおこすアグロバクテリウムが用いられます。病原性の遺伝子を除いて、遺伝子治療ではガン細胞を自殺させる遺伝子などが、作物では殺虫毒素を作る遺伝子や特定の除草剤を効かなくする遺伝子などをこれらのウイルスに組み込み、細胞に運ばせ入れ込み、組み込ませるのです。

  私達の体で、インフルエンザウイルスなどに冒された細胞はどう振舞うでしょうか。まずは入り込んだウイルスの遺伝子を不活性にするなどして正常化しようとします。それに失敗すると、自らの遺伝子やタンパク質を分解して死んでしまったり、免疫細胞に自らを殺すように信号を出します。このような細胞の自決はガン細胞などでも起きます。アトポーシス、計画的細胞死といわれ動物から植物まで殆どの生物に組み込まれた生命の仕組みです。このアトポーシスに失敗すると、ガン細胞は増殖して癌が発病します。ウイルスに侵された細胞でウイルスは増殖して発病します。(このように生物の防御機能から、遺伝子組替え「技術」は組み込み自体の成功率が極めて低い)

  さてウイルスは、自らの遺伝子を、とにもかくにも寄主細胞の遺伝子の間に組み込んで、姿を隠してアトポーシスを潜り抜ければ良い。遺伝子組替え[技術」に使われるウイルスなどは病原性や増殖性は除いてありますが、この点は変わらない。つまり「新しい遺伝子が目標とする生体の遺伝子中のどこにたどり着くのか実際にはコントロール出来ない。」遺伝子が間違った場所に導入されてしまったらヒトでは「これは恐らく癌もしくはその他の障害を引き起こしてしまいます。」遺伝子組替え作物では、「その植物が果実に異常な濃度の毒素を出すようになるかも知れない。この現象は“組み込み突然変異”、新しい遺伝子が組み込まれた場所に起因する予測することの出来ない変異」「一つの遺伝子が複数の特性に影響を与える現象として知られる“多面発現性”により、食品中に予測不可能な新しい毒素を生成することがある。」などが指摘されています。そしてアメリカ環境保護庁(EPA)は「多面性発現効果は、遺伝子組み換えを行った植物について30%までの頻度で生じる。」

  “組み込み突然変異”や“多面発現性”は「毒素の増大、以前には見られなかった毒素の生成、環境からの有毒物質蓄積の可能性の拡大(例えば農薬や重金属)、養分の摂取に関する思わぬ変異などの望ましくない影響は、遺伝子組み換えの行われた植物について、これらの変化を一つづつ検証しなければ、育種家は見過ごしてしまうであろう。(EPA)」しかし安全性評価では調べられていません。組み込まれた遺伝子がつくる成分だけ安全性を評価する仕組みになっています。これでは米国やカナダや日本政府の「安全宣言」はどこまで信頼できるでしょうか。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント

トラックバック 0