SSブログ

コンフリーと、これを含むサプリメントで肝障害、食べないよう行政指導 2004年 [サプリメント・健康食品]

2004年6月22日小針店で印刷・配布した「畑の便り№04‐26」の加筆再録

 

04-26p03.jpg

コンフリー・・虹屋には懐かしい名前です。学生時代、実習農場の近くに生えていて、健康食品で流行っているコンフリーだから食べてみるかと指導教官に勧められ、無数に生える硬そうな葉毛をみて辞退した記憶があります。明治時代にヨーロッパから移入された牧草で日本各地に帰化していると聞きました。癌や成人病に効く、長寿をもたらすというその当時のコンフリーブームも、確たる証明もされず、効果も無かったのか立ち消えになりました。こんな物が、まだ食べられていたり、「究極のハーブティー    健康が肝腎」といった謳い文句でサプリメントで売られていたとは・・人のうわさもなんとやら、何の効果も無いことも20年も経つと忘れられ、うまく仕掛けると売れ筋健康食品に化けるのですね。

コンフリーとは

 別名シンフィツム、ヒレハリソウ玻璃草。コーカサスを原産地とし、ヨーロッパから西アジアに生えるムラサキ科ヒレハリソウ属の栄養豊富な多年草で、主な種として、通常のコンフリー、プリックリーコンフリー、ロシアンコンフリーなどがあります。草丈は60~90cmで、直立し、全身に粗毛が生え、葉は卵形~長卵形。6~7月初夏から夏にかけて花茎を伸ばして釣り鐘状の白~薄色の花を咲かせます。花は綺麗ですから、園芸で育てる人がいるそうです。

 長寿の人が多いロシアのカフカス地方で、この葉をよく食べることから、長寿の秘訣はこの植物を食べる習慣にあると、イギリスの植物学者ヘンリー・ダブルデーが「奇跡の草」として発表しました。確かに葉には豊富なビタミンAとたんぱく質が含まれているので、動物の飼料、牧草で栽培されているそうです。

 薬草としてもヨーロッパでは使われていますが、使い方は①骨折の治療 別名をニットボーン(Knitbone:骨接ぎ)。根を打ち砕くと粘着質になり、乾燥すると、骨折部の周りに固まり、骨を適当な位置に固定できる。②生または乾燥した根茎、葉を外傷薬、関節炎、痛風などへの弱い鎮静薬にする

③外傷、打撲、皮膚病に葉や根を水に浸して柔らかくし湿布薬、あるいは煎じ液を塗る。④神経痛、リュウマチにも同様に外用する⑤根や葉を十二指腸の潰瘍に内服するなど。「癌や成人病に効く」になるのでしょうか。長寿の人が多いロシアのカフカス地方で、この葉をよく食べることから、長寿というのも、今日ではあまりに漠然としています。

肝臓毒のアルカロイド

 一方害作用については、葉や茎には肝臓毒のピロリチジンアルカロイドが含まれていることが知られています。今回の措置でも、「諸外国では、コンフリーを摂取した場合の主要な健康被害として、肝障害が報告されています。主な肝障害は肝静脈閉塞性疾患で、主に肝臓の細静脈の非血栓性閉塞による肝硬変又は肝不全です。主症状は、急性又は慢性の門脈圧亢進、肝肥大、腹痛です。」

 ピロリチジンアルカロイドは、世界中で6000以上の植物種から350種類以上も見つかっています。それぞれ毒性の強さが違いますし、動物種での差、マウス、ラット、ヒトなどの顕れ方、感受性に大きな違いがありますし、個人差も大きいのです。詳細な毒作用のメカニズムはわかっていませんが、これまでのところ言われていることは、

04-26_12.gif

幼児は特に弱く、急性暴露後1週間以内に肝障害を生じる。ハーブ茶を飲んだ女性から生まれた新生児が肝障害を起こしたことから胎盤を経由した中毒の可能性が指摘されています。一方、年長の子供や成人の場合は一般に数ヶ月摂取すると肝障害が起きるといわれています。コンフリーについて、ラットで肝細胞がんと関連しているとの報告がある。他にも動物で、腎糸球体、膵臓、胃腸管損傷がみられてます。お茶を入れる方法、あるいは葉を使うか根を使うかなどによって問題のアルカロイドの含量は大きく異なるので、無害な摂取量を割り出すのが極めて難しいのです。

   それにもかかわらず、コンフリーを健康増進のための「奇跡の草」と持ち上げ、問題のアルカロイドが多い葉や茎を「他の野菜とまぜて野菜ジュースとして飲むとよい」(『健康食品百科』西崎統著・ブレーン出版)といった健康法が流布され、ジュースを作れない人の為の粉末、カプセルなどのサプリメントが 販売されています。

「日本においてコンフリーを使用した健康食品等がインターネットを使って販売されていることなど・・米国では、コンフリーを含む栄養補助食品の自主回収等を勧告しています。カナダでは、当局の許可を得ている製品以外は販売禁止となっています。」を踏まえて、今回の販売自粛、消費者への摂取を控えるようにいうお達しが出たわけです。

 長年、一説では2000年以上、ロシアで食用され、薬に用いられていましたから、その位の摂取量や使い方では問題がないのでしょう。サプリメントでは摂取量が多くなるので、単に健康増進、体調管理のために摂るにはリスクが大きすぎますね。 

 参照・・厚生労働省⇒http://www.mhlw.go.jp/index.html⇒トピックの医薬⇒2004年6月14日のシンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて

これまで知られている毒性などについては⇒内閣府の食品安全委員会、第2回かび毒・自然毒等専門調査会(2004年6月14日)の議事資料      http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20040614ks1 

 2004年6月22日小針店で印刷・配布した「畑の便り№04‐26」の加筆再録

 

健康食品百科

健康食品百科

  • 作者: 西崎 統
  • 出版社/メーカー: ブレーン出版
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: 単行本

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント

トラックバック 0