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豆乳  大豆イソフラボン 2004年 [サプリメント・健康食品]

2004年3月9日小針店で印刷・配布した「畑の便り№04‐11」の加筆再録

 先日、「新潟Komachi」のライターが来られました。巷では、豆乳を使った化粧品などが大流行だそうで、その背景は?人気の秘密は?という趣旨の取材でした。不勉強で、そんなに様々な商品、化粧品やら石鹸が売られているとは知りませんでした。それらは大豆のイソフラボンという弱い女性ホルモン作用(エストロゲン様作用)を示す成分がセールスポイントです。

一時は有害視されたイソフラボン

 数年前を思うと隔世の感があります。環境ホルモンが問題になった時、ダイオキシンなどとともにこうした植物性エストロゲンが取り上げられ、欧米では大豆、大豆製品が槍玉に挙がったことがあります。大豆、大豆製品を妊婦が食べると弱い女性ホルモン作用で、男が生まれなくなるのではという懸念がもたれました。日本でも問題にする人々がいました。

 もし、その懸念が当たっていれば、日本人など大豆を食べてきた人々では、男女比が欧米とは違うはずです。男が少なく女が多くなっているはずです。幸か不幸か、同じです。大豆イソフラボンは生殖には影響を及ぼしていないのは一目瞭然。なぜ日本で問題にして騒ぐのだろうか、不思議でした。現在では生殖器官に作用しないと見られています。

植物性エストロゲン

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 イソフラボンは大豆(黒豆=黒大豆)に特異的に含まれるポリフェノールで化学構造が女性ホルモンに似ています。女性ホルモンは、子宮・乳腺・前立腺・皮下細胞・骨細胞などにある女性ホルモン受容体ERに結合し、その結合体がいろんな酵素や遺伝子を発現し代謝活性を調節しています。これがあまりに強すぎると乳がん・子宮ガン・前立腺ガンなどになり、弱くなると更年期障害や骨粗しょう症がおこります。

 アジア地域に住む女性は、閉経後の女性ホルモンの欠乏による不眠、うつ、ほてり、骨粗しょう(鬆)症などの疾患が、欧米人に比べて低い、中でも大腿骨頸部の骨折率が欧米女性の1/2~1/3です。年取ってからの大腿骨頸部の骨折は、著しい運動制限、寝たきりに直結しますから注目に値します。人種差、つまり遺伝的な体質の差によるものでしょうか。アジアから米国へ移民した集団では増えていますから、そうではありません。この違いは、食生活に特に大豆、それに含まれるイソフラボンの摂取量の違いが深く関係していると考えられています。イソフラボンは女性ホルモンに似ているため女性ホルモン受容体ERに結合できます。女性ホルモンの不足を補っているのではないかとみられています。

女性ホルモン補充療法による発ガンで、代替療法で注目

米国では、閉経後の女性に不足する女性ホルモンを補充する療法HRTが広く浸透しています。1400万人が錠剤を飲んでいるそうです。この療法の効果とマイナスを調べるため米国でWHI(女性健康イニシアティブ)という大規模な調査が行われました。この調査では、50~79歳までの健康な女性1万6000人を対象にして、女性ホルモンを投与したグループと偽薬を与えたグループに分けて調べました。平均5.2年間経過を観察した時点での結果、死亡率に違いはありませんでしたが、女性ホルモンのグループでは、偽薬グループと比べて、乳ガン発生率が26%高く、心臓発作が29%高く、脳卒中発生率が41%高く、肺や脚の血栓発生率が2倍高くなりました。ただし、プラス面もあり、腰骨の骨折が37%少なく、結腸ガンの発生率が34%少なくなりました。

 その後、閉経後のホルモン療法を長期に受けると、卵巣ガンにかかるリスクが高まることも分かりました。女性ホルモン補充療法HRTは、このように長期的な場合にリスクが顕在化することがあきらかになりました。そこで目がつけられたのが大豆イソフラボンです。

参照・・ホルモン補充療法(HRT)が有用かつ安全と考えられると北米更年期学会、米国生殖医学会、内分泌学会、米国家庭医学会など結論(2013/7)・・http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&view=article&id=4531:2013717&catid=27:2012-02-23-21-43-24&Itemid=112 

イソフラボンの働きは選択的

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  イソフラボンは女性ホルモンに似ていて女性ホルモン受容体ERに結合できます。しかし働き方は女性ホルモンと同じではありません。乳がんの発生、増殖を女性ホルモンは促進しますが、イソフラボンはちがいます。イソフラボンが先に結合し女性ホルモンを邪魔して乳がんを予防する効果があると見られます。2003年3月には、日本女性2万人を追跡調査し、イソフラボンの摂取量が高いグループでは乳がんの発生率が54%低かったと厚生労働省研究班が発表しました。
 また、女性ホルモンは骨を作る作用をもちます。イソフラボンも同様の働きをしています。閉経後の女性ホルモンの欠乏を、イソフラボンが補えます。さらに女性ホルモンにはない骨吸収を抑制する働きも認められています。
 大豆やイソフラボンには他にも更年期障害を緩和したり、抗コレステロール作用、抗酸化作用、抗癌作用、美白といった肌の美容効果、生理不順の改善などが動物実験、細胞試験、臨床実験などで認められています。ただし、こうした効果の多くは医学的、疫学的には「効果がある可能性」という段階です。乳がん、骨粗しょう(鬆)症では「おそらく予防する効果がある」というレベルです。確実に効果がある、これだけ摂れば効果があると判断するためには、WHIのような無作為化比較試験が医学的、疫学的には必要です。
 男性では、イソフラボンは前立腺がん細胞が転移してより深刻な大きな腫瘍になるのを予防している、日本人男性が前立腺がんで死亡することがほとんどない理由と考えられています。
 しかし、大豆ならこれまでの我々の食経験から、まず重篤な副作用はないでしょう。それで例えば、米国食品医薬品局は高コレステロールの人は心疾患が予防のため1日25gの大豆蛋白を摂取することを推奨しています。(抗コレステロール作用は大豆だけでなく植物性タンパク質全般に認められています。)
 
 サプリメントと食品、どちらで摂る方が良いか

 サプリメントと食物とでの違いを、砂糖とご飯で考えてみましょう。
砂糖もご飯も炭水化物、消化吸収されブドウ糖となって代謝されます。ですから、体にとっては基本的には同じもの。では同じカロリーを砂糖とご飯で摂った場合の違いは?
ご飯は、まずでん粉に分解され、でん粉がブドウ糖に消化分解され吸収されます。時間がかかります。血糖値の上昇は緩やかで、持続的です。
砂糖はすぐさまブドウ糖、果糖(体内でブドウ糖に変わる)で吸収され、急カーブで血糖値が上昇します。ブドウ糖をグリコーゲンや脂肪に変える働きで処理しきれずに、血液に余剰なブドウ糖があふれます。余剰な血液中のブドウ糖はタンパク質と結合し、糖タンパク質をつくります。糖タンパク質になると機能が低下したり失う事が多いのです。

 血糖値を調整しているシステムでは、働いているタンパク質がブドウ糖と結合し生じた糖タンパク質が増加するにつれて調整する働きが弱体化します。ご飯の代わりに同カロリーの砂糖を毎日取り続ければ、ついには高血糖症・糖尿病にいたります。

 サプリメントは、摂りやすく消化吸収しやすくしてあります。そうでなければ、意味がありません。ですから、摂取直後に体内の濃度が急上昇します。砂糖と同様の問題を持つ可能性があります。

 大豆食品を食べると、イソフラボンは約6時間かけて徐々に吸収されます。サプリメントでは摂取直後に体内の濃度が急上昇します。骨髄細胞でのデータでは、食品での摂取による生理的濃度では、骨を形成する働きが見られますが、サプリメント摂取直後におきるような高濃度では逆に骨を形成する働きが抑制されています。

 都道府県別に見ると大都会で乳がん死亡率が高い傾向にあります。これは、都会ほど食の欧米化が進んでいるせいと見られています。味噌汁、豆腐、油揚、納豆など伝統的な大豆食品は、パン食と相性がよくないですね。大豆食品の摂取量の低下がイソフラボンの低下になり、乳がん死亡率の上昇に結びついていると見られています。豆乳は、飲料として手軽に、またパン食と共に摂れますから伝統的な大豆食品を補う意味で有用ではないでしょうか。

2004年3月9日小針店で印刷・配布した「畑の便り№04‐11」の加筆再録

虹屋小針店でよく売れていた豆乳 

 

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